一緒に遊んでくれる仲間を募集します。

一緒に遊んでくれる仲間を募集します。

一緒に砂防ダムで遊んでくれる仲間を募集します。

それが一体どんなことをするのかはこれまで当ブログに記してきた通りになるが、今回あらためてその内容について書き出してみた。
自身は砂防ダム音楽家なので「砂防ダム音楽家とはどんなものか」という解説になるが、これから専門職として目指したいと思っている人も、単純に遊びとして似たようなことをやってみたいと思っている人も読んでもらえればと思う。

非常に大まかにざっくりとした内容になるが、少しは参考になるかもしれない。

砂防ダム音楽家とはどんなものか

砂防ダム音楽家というのは音楽家だ。演奏場所は主に砂防ダムなどの堤体の近く。
まずは砂防ダムに行くことからその活動ははじまる。

砂防ダムがあるのは山間部だ。山間部で川の流れているところ。川の流れているところは地図で探し出す。地図の基本となるのは国土地理院発行の地形図で、縮尺は2万5千分の1。

まずは地形図を使って「せき」のマークを探す。せきのマークは地図の凡例にある通り二重線で示される。二重線は下流側が実線で上流側は破線で表されている。
二重線を見つけられたら、その場所へどのようにしていくのか考えよう。

車やバイクなどで行って堤体のすぐ横に横付けできるような林道至近のところもあれば長い区間、渓流を歩いて向かわなければならないところもある。目的地とする砂防ダムはその場所への行きやすさを基準に選んでも良いし、予想される経過要素(例えば渓流歩きそのものを楽しむとか)をもとに選べば良い。

地形図は2万5千分の1を用意しよう。

行こうとする砂防ダムが決まったら

行こうとする砂防ダムが決まったら、実行に移す。
まずは天気予報で行こうとする日の天気を確認する。天気は晴れている方が良い。くもりや雨など天候に応じて目的の砂防ダムを変更するという作戦もあるが、事故のリスクも考えとりあえずは晴れの日を予定日として選び出す。

持ち物は予定日の当日までに用意しておく。ウエーダー、フローティングベスト、ヘルメット、登山用ステッキ(またはノルデックウォーキング用のポール)の4点セットが基本。なかでもフローティングベストは釣り用のポケットが多いものがおすすめだ。

楽しい音楽活動の思い出にプラスされる要素として現場での各種データ測定があるが、その測定に必要な計器類を収納するのにポケットの多い釣り用のベストは好都合である。

風速計、温度計、湿度計、距離計、コンパス、照度計、騒音計などなどデータを大事にしようとすればするほどポケットは計器類でいっぱいになり、それらをすぐに取り出せるようにするためには、複数あるポケットのなかで収納場所を変えてやるのが便利だ。

風速計は右ポケットに、距離計は左ポケットに、と言った具合に。

また、データ測定というものに特に興味が無かったとしてもこれは優良な食料庫とでも思って着用しておくことをお勧めしておく。カントリーマアムとかキットカットとかチョコレート類、おかき、おにぎりとかパンとか。缶コーヒーなんかも入れておける。

現場で口にする食事のうまさは格別だ。渓行をより楽しいものにするために、また食糧を持ち歩くという行為から生まれる気持ちの“ゆとり”を持つためにも、ポケットには常に自分のお気に入りを忍ばせておきたい。

これも大事な遊び道具のひとつ

迎えた当日

スケジュールも持ち物も揃ったところでいよいよ当日を迎える。まずは車や公共交通機関を使って目指す砂防ダムの最寄り地点に降り立つ。車などで堤体のすぐ横に到着出来る場合を除いて、降り立った地点からは地図を見ながらの歩きがはじまる。

地図には山の高低差を示す等高線が描かれているほか、その土地の利用種別を示すマークが描かれている。針葉樹林や広葉樹林、果樹園、畑、荒地など。建物の存在を示す四角形が近くにあることもある。四角形は民家というよりは、作業小屋や植物などの栽培施設であったりすることが多い。

まずは慎重に入る。これから進入するエリアというのは、概して人気の少ない場所であるケースが多い。「作業小屋や植物などの栽培施設」ということのつまりは、民家があって人が見守ってくれている状態には無い地帯に入っていくということだ。

事故に遭うことが、街場でのそれと比べても本当に重大なことなのだということを自覚し、一歩一歩慎重に歩みを進めていきたい。判断に迷ったらよく考える。

人気の少ない山の中で、恥ずかしいという気持ちを捨てて歌うことが出来るというメリット反面、危険というデメリットが隠れている。山歩きも渓行も行き着いた先での音楽もすべてがいい思い出だったと言えるようにまずは安全第一で行動したい。

一歩一歩慎重に

スピーカーについて

いよいよ堤体に着いたら歌を歌う準備をする。スピーカーはじめ音の出るような設備を用意しよう。スピーカーは自分自身に身につけるようなタイプから据え置きして使うものまで様々だが、防水性能を備えた「アウトドア用」が最も適しているだろう。

Bluetoothなどの通信機能の付いたスピーカーが便利で手元の操作で再生、停止、選曲等すべて行える。音量は自分自身の耳との距離にもよるが、とにかく大音量に対応できるような機種が理想的だ。

無論これは砂防ダムの落水の音に対抗して、大音量を用意しなければならないケースが時としてあるからだ。再生ボタンを押して音が鳴っているはずなのに「アレッ?」と思うことがよくある。

前回に訪れた堤体でスピーカーを使用していて、今回もそのままの設定で再生ボタンを押したところ、全く音が聞こえないのだ。音量レベルをいくつも上げてようやくちゃんと音が出ていることが確認できた。などという現象が往々にして起こる。

電器屋さんやカタログでスペックが見られたら、ワット(W)数がより大きいものを選ぶのが良い。うるさすぎて困るということはまず起こりえない。静かすぎて困ってしまうということはあっても。

音も大は小を兼ねる。

いざ、歌ってみる

スピーカーに関して言えばこれくらい。ただ、個人的にはスピーカーによる伴奏機器というか伴奏設備の進化の歴史はここで止まって欲しくないと思っている。もっとこれ以上にさらにリアルな伴奏の音が得られるようになることが理想的だ。まるで今立っている谷底にグランドピアノをドカッと降ろしたような設備の登場に期待している。

そんな夢のようなことが実現される日は来るのだろうか?現在に生きる者の感覚として到底不可能な気もするが、そういったものを実現してきたのが人類である。あり得ないことを幾多起こしてきたのが人類である。大丈夫。いつの日かそんなことが実現される日を夢見て、それより早く野外での音楽活動の娯楽性を追求しておこう!

準備が整ったらあとはタイミングを見計らってスピーカーの起動ボタンをしてみる。そして歌ってみる。果たして・・・、

―ん???何?これ響いてんの?どうなの?―

その感覚・・・、がアタリ。

音が響かなかったその日の堤体は、その日の条件下の堤体でしかない。水量、天気、気温、渓畔林の状態など日を改めてチャレンジすることで成功体験が得られる場合もある。音が響かせられなかったということだけ持ち替えるのではなく、ではどういう状況だったらもっとうまくいったのかを考え、同じ現場をもう一度再訪する楽しさがこの音楽にはある。

考えつつ、悩みつつ、きょうもまた・・・。

退渓時は頭の中がいっぱいだ。

まずは歌ってみる。

次回、うまくやるために・・・、

うまくいかないことは宝だ。どうすればいいか試行錯誤して答えを探し出す楽しさがある。幸いにも砂防ダム音楽家という分野はまだまだ未知の世界が広い。一つ一つの堤体に堤長、堤高、方角、建設年数というデータがあってさらに水量、天気、気温、渓畔林の状態、堆積土砂の状態といった変化する要素が加わる。

一つとして同じ堤体はなく、また、堤体周辺環境の状態も恒久的で無い。その中で、同じ堤体に通い続けて答えを探ったり、あちこちの堤体に趣いて問題のヒントになるようなことを見つけ出すことが出来る。

また、音楽を「聞く」のは誰よりも自分自身で、その日の活動が良かったのかどうなのかということを判断するのも自分自身だ。落水による音がデカすぎてうまく声が響かせられないケースが多くを占めると思うが、逆に声が響きすぎてしまって面白みに欠ける体験をすることも少なくない。

自分自身によって今日の活動を振り返り、堤体選び(気象条件その他含め)の段階から成功だったかとか失敗だったかとかを評価できるという特性があるので、先生を呼んで善し悪しの判断を仰ぐレッスンと呼ばれる形式には、この音楽の楽しみ方は限定されないと思う。(大好きな先生を呼んで一緒に楽しむという、そういうやり方も決して否定しない。)

歌のプレーヤーとなって実践するのは自分自身で、目標も夢も自分で設定してそこに向かって進むことが出来るのが砂防ダムの音楽だ。秋の紅葉シーズンの中で歌う楽しさ、厳寒期の凍てつくような寒さの中で歌う楽しさ、春の落葉樹が芽吹く季節で歌う楽しさ、一面を覆い尽くす渓畔林の木陰の中で歌う楽しさ。
最も好きな季節は人それぞれ。

自分のお気に入りの堤体を見つけよう。そして歌おう。自分の好きな堤体のベストシーズンに訪れることが最高に楽しい。

砂防ダムで歌うということ。
たったそれだけのこと。
たったそれだけの遊び。

そんな遊びを一緒にやってくれる仲間を募集します!

山が、森が、水が、そして堤体が・・・、今日もここで待っている。