独り占め状態

大月駅

いやはや独り占め状態といって、だれもがピンと来ない時代を生きている。

砂防ダム等堤体類の下流区間。「堤体前」と呼んでいるその場所が、独り占め状態に出来ますよ。あなただけのものですよ。だれもいませんよ。

そんなふうに言われて、大喜びする人がどれだけいるというのだろうか?

この川が?この林が?このコンクリートの壁が?

独り占め?

えっ?

そんな返事をされたときには補足する。

これは演奏施設なのですよ。と付け加える。

その価値は上がるのか。

評価は上がるのか。

魅力的なものとして映るようになるのか。

こうして文章にして発信している。

音楽ホールを否定しない。

劇場を否定しない。

スタジオを否定しない。

ライブハウスを否定しない。

カラオケを否定しない。

しかし、上記したような演奏施設には無い、あらたな楽しみというものが堤体前にはありますよ。と、それだけはただただ伝えているつもりである。

価値のあるもの。

価値のあるものを紹介しているつもり。

果たして今後はどうなる?

堤体前。

独り占め状態。このことばを言われて、人が歓喜するような時代はやってくるのだろうか。

駅前通り

シバザクラ

4月12日、午前8時20分。大月駅。

本日向かうのは、山梨県南都留郡西桂町。

さっそく西桂町に・・・、と、そのまえにまずは大月市内の目的地へ。

うわさに聞いていたもの。

駒橋信号交差点のシバザクラを見に行くのだ。

気温は9度。天候はくもり。

キャスター付きのデカバッグをガラガラ鳴らしながら、駅前通りの坂を登ってゆく。

そうだ。今日はキャスター付きバッグを引いている。

旅にはレギュレーションを設けた。

電車移動。

車がないぶん、どこでも好きなように、あっちへ行ったりこっちへ行ったりできない。

反面、旅の情緒というか、旅の面白さみたいなものは車移動のときより増幅するのでないかと期待している。

身一つ。ひ弱な状態で旅ができることはスリルをはらんでいる。車という鉄の囲いを失った弱さで、しかし道端に落ちている小さなものに気がつきながら旅を進めていくことができるミクロの旅だ。

ワクワクしている。

駅前通りをまっすぐすすんで丁字路を左に折れると「大月第一トンネル」があらわれた。

そのままトンネル内。トンネル内の歩道に沿って進む。歩道すぐとなりの車道は、車がビュンビュンと走りぬけてゆくような状況だ。

しかし危機感は無く。

ぼーっとしている。

いや、これはいつものこと。

特段、ぼーっとしている。

春だからか?

歩道に設けられた鉄の柵に護られながら、ぼーっとしながらトンネルをくぐりぬけた。

午前8時45分、駒橋信号交差点に到着。

うわさに聞いていた駒橋信号交差点のシバザクラ。

信号交差点をみごとに飾るシバザクラ。

早速カメラを取り出し、写真に収める。

「あっ、アイツ写真撮ってるぜ~」

交差点を通過するドライバーの声が聞こえてきそうである。

いや、関係ない。

見事なシバザクラの丘。むしろ、アンタたちこそわき見運転注意だよと言ってやりたい。

この道は山梨県の大動脈、国道20号線だ。花壇の存在に気づいたとして簡単にはUターンしてかえってくることができない。

へへっ。

きょうは日曜日。

しかし朝の時間帯だからか?

花壇のまえには誰もいなく独り占め状態である。

いっしょに咲いていたシナレンギョウとサツキとハナズオウもカメラに収めた。

それにしても圧倒的なシバザクラの色。目ん玉も脳も赤紫色に染まってしまいそうだ。

強烈な色彩。

目が覚めた。

駒橋信号交差点
水平には花壇に。
垂直には丘に。
こぼれ落ちそうなほどに。
シナレンギョウやサツキも。

オリンピック

午前9時半、ふたたびの大月駅。

途中から晴れてきたので暑い。駅前トイレを借りて着替えることにした。中に着ていたインナーシャツ、アンダータイツのおかげで汗をかいてしまっていたのだ。

暖かい春の旅に期待しつつも、着るものはしっかり着てきた。

旅の締めくくりにあるのはやはり堤体前での歌である。さあ、これから・・・、というときに寒くて立てません。これでは旅そのものが台無しになってしまう。

万一、冷たい風がビュービュー吹くような状況に立たされたとしても、しっかりと歌えるように。

屋外でたのしむ音楽。エアコンに守ってもらうなんてことは出来ない。良くも悪くも屋外の音楽なのである。

午前9時40分、駅前トイレで着替えを済ませると、大月駅富士急行線のりばへ向かった。

切符を買い、改札口へ。

改札口を通り駅構内へ。

人だらけ。

イベント?

山梨でオリンピック?

あれ、アスリートっぽくない人もいるじゃ・・・、

弁論大会だ。弁論大会。きっと、弁論大会があるのだろう。

日本語スピーチコンテストというやつだ。テレビで見たことあるわ。

各国の代表たち。

これだけの人数、一人あたりの持ち時間は・・・?

30秒ずつくらい?

立ち食いそばより早いわっ!

午前10時3分、河口湖駅行きの普通列車がホームに到着。ごった返す訪日外国人にまぎれ車両に乗った。

座席定員100パーセント越えの車内。

越後線とか、信越本線とか。遠くむかしの学生時代を思いだしてみても、こんなに人だらけの電車に乗った記憶はほとんど無い。そして、ここまで外国人だらけの電車に乗った記憶は確実にゼロだ。

例えるならオリンピック。

なにかの競技会場に向かう列車内といった感じ。

みなテンションは高い。

とてもにぎやかな車内だ。

世界各国のことばを聞きながら、電車に揺られた。

大月駅富士急行線のりばへ向かう。
混雑する駅構内。
普通列車の河口湖行きを待つ。
乗車。
中吊り広告までインバウンド仕様。

買い出し

午前10時15分、電車は赤坂駅に到着。

ここで途中下車。

向かったのは、赤坂駅から徒歩1分のところにある「スーパーマーケット公正屋都留店」。

公正屋である。

公正屋といえば魚。魚なのだけれど、公正屋は惣菜もうまい。

旅のお供を。

なにかいいものを。

ここはひとつ、見つけて引き連れたい。

店内に入る。向かったのは鮮魚コーナー。

真アジ、真イワシ、ニシン、ホウボウ、ウマヅラハギ、カサゴ、イナダ、ワラサ、クロダイ、スズキ、キンメダイ。

文字で表すには簡単。

しかし、これ。挙げたのは「切り身」じゃない。切り身じゃ無くて、お頭付きの魚。

つまりのところ60センチ以上もあるようなワラサやスズキがどーん!と置かれているのである。さらに「大衆魚」とはちょっと外れたところにありそうな、ホウボウやカサゴが氷の上に乗ってあたりまえのように売られている。

さらに、そのホウボウとカサゴのとなりにはベニズワイガニ、殻付きカキ、殻付きホタテが並べられている状況。

あれ?ここ山梨だっけ?

惣菜コーナーに向かった。

鶏レバーやわらか煮、若鶏の西京味噌焼き、あぶり焼きチキン、和風から揚げ、鶏竜田から揚げ、国産やきとり、鶏のガーリックペッパー焼き・・・。

全体的に鶏が多くて、もちろん豚もあれば、魚もあれば、フライドポテトもある。

他のスーパーマーケットチェーンで置かれているような加工品もやっぱり多い。しかしながら、店の規模からすれば惣菜コーナーは広く、豊富なラインナップから品物を選べる。

いい店に来られた。

惜しむらくは・・・。

惜しむらくは、国中地方には店が無い。店は郡内地方にだけ点在している。

山梨県内の地域スーパー。しかし、家の近所には店が無いという哀しみ・・・。

仕方ない。来る度、ここに立ち寄るしかないということだ。

再訪を想い、店をあとにした。

赤坂駅にて途中下車。
公正屋へ
和風から揚げにした。
あとはコレ。黒あめ。
買い出しのあとはふたたび赤坂駅へ。

イタリア人

午前11時22分、赤坂駅にてふたたび富士急行に飛び乗る。

朝の訪日外国人移動キャンペーン。さすがにもう終わったでしょ。

・・・、

またも座席定員超えの車内。

乗った車両には10人くらいのイタリア人のツアーが同乗していた。客らはツアーガイドの話しに真剣に耳を傾けている。

ツアーは男性も女性もいて年代は30~60歳くらいのグループ。

イタリア語で話しをしているので、なにを言っているのかはわからない。しかし、ツアーガイドの説明する内容に対してとにかく真剣に耳を傾けている。

旅先の移動の電車内での説明だ。ときおりシンジュク・・・、などと言っているので、日本の観光地の話をしているのだろう。

そうだ。

ツアーガイドの話しは新宿のはず・・・。

しかし、その話しに耳を傾けるときの表情。

本当に神妙な表情だ。

まさか、

「昨晩起こった重大事件の続報!」

なんて内容では無いはず。

たしかにさきほどツアーガイドはシンジュクと言っていた。

ヤバい話しではないはず。

いや、でもちょっと信じられなくなってきた。

え?え?なにかヤバいことでも起きたか?そんな深刻な話しをしているのか?

こうしてブログに書いていて、砂防ダム音楽家だって深刻な話しをしているわけではない。堤体前に行って歌って帰ってくるという遊びをただただ提案しているのである。

これは日本人が考案した遊びなので、日本発祥の遊びだ。

遊びを伝えているつもり。こちらは。

ラクに聞いてもらってかまわない。

くれぐれも、

「昨晩起こった重大事件の続報!」

そんな顔じゃなくていい。

といったって、

こんな表情で聞き入るのがイタリア人さん?

濃い~お顔だとそう見えてしまう?

将来がちょっと不安になってきた。

午前11時42分、三つ峠駅に到着。電車を降りた。

駅前にある登山道案内図を確認し、まずは西桂町役場方向へ。

西桂町役場の手前で左折。富士急行線のガードをくぐって北進する。

ミネラルウォーターの製造元である「富士ピュア」まえの曲がり角では右折。

午後0時5分、本格手打ち讃岐うどん「ふうが」に到着。

時刻は昼をまわった。食べなきゃ。

頼んだメニューは天ざるうどん。

涼味。

コシのあるうどん。

美味絶佳。

鋭気を養った。と、同時に貴重な「塩」をいただくことができた。

午後0時半、ふうがを出た。

ふたたび富士ピュアの曲がり角まで行き右折。

山祇神社(やまつみじんじゃ)に向かう。

この日、山祇神社は例祭日。

これは三つ峠駅で電車を降りたときからのことであるが、町中には縄が張りめぐらされ、さらに、その縄にはところどころ紙垂が掛けられていた。

山祇神社。こちらは社叢も敷地もあまり大きなものではない。しかし、西桂町全体を上げて祭るほど、ここは町にとっての重要スポットなのである。

きょうは「お呼ばれ」して来たのかもしれない。ご縁あってか、ハレの日に当地を訪れることができた。そして先ほどは塩も口にしている。

あとは参拝だ。

午後1時10分、山祇神社に到着。

旅の安全を祈願した。

午後1時15分、堤体に向かう。

三ツ峠山方向に向かって、ややきついのぼり坂を登っていく。

一帯に植えられている桜の木は、町民ひとりひとりの木。

すべての木ではないが、一本一本町民の名前が掲げられている。花はもうほとんど終わってしまっているが、ところどころには散らずにまだ残っている木もある。

午後1時25分、三ツ峠さくら公園と柄杓流川第一号堰堤の堤体前に到着した。

真剣に話しを聞く表情、
ビビらずうまくしゃべれるのだろうか?!
三つ峠駅
駅前にある登山道案内図
目的地の場所を確認。
画像中央のボコッと突き出た山が「三ツ峠山」。
ふうが
春。冷たいうどんがうまかった。
山祇神社にむかう。
到着。
旅の安全祈願のため参拝した。
三ツ峠さくら公園と柄杓流川第一号堰堤に到着。

柄杓流川第一号堰堤

水は帯状に湛水。帯の幅は2メートル程度。堤体の中央、集中するかたちで落ちている。

水が集中する原因としては、堆積地の土砂に着いたアシ。アシが密生することによって、堆積地上には流路が形成されている。

流路によって狭められた水。

水はやがて放水路天端下流カドに達し、堤体水裏斜面を一気にながれ落ちる。

水裏斜面。その表面には残存型枠による割石模様。

水は割石模様に激しくからみつきながら落下する。

一気に落下。そして着水。

アシの密生と激しくからみつく水。

堤体本体周辺は非常にさわがしい景色だ。

柄杓流川第一号堰堤
表面は残存型枠による割石模様。
ケヤキ
マダケ
ヤマハンノキ
アカマツ
堤体前からトイレが近い(徒歩10秒くらい)。

待ち

公園の芝生広場にレジャーシートを敷き、荷物を置き、さらに体も預ける。

待ち。

待ちだ。

ここでいますぐに歌うことだってできる。

しかし、

自分の歌を聞いてくれる人(聴衆)は必要ない。

自分の歌を評価してくれる人も必要ない。

旅の歌は「歌が好き」ということを最大、突き詰める歌でありたい。

まずは自分自身のやりたい歌をやる。

自分自身の歌いたい歌をうたう。

日曜日の公園である。やはり公園を訪れて遊んだり、のんびりレジャーシートを敷いて過ごしている人がいる。

だからといって、

プレーヤーと聴衆という関係にはならなくていい。

時間が解決してくれる問題である。

屋外でやる音楽だ。

空間は徐々に闇を呼ぶ。

やがて闇に追われ、人々は帰りの路に就くだろう。

チャンスの時間はそんなころ。

人がいなくなった公園。

自分自身しかいない堤体前。

プレーヤーとして、そんな演奏施設の到来を待つ。

レジャーシートに座り、待った。
カラーマーカーを持参した。
数字は堤体本体との距離。
単位はメートル。
これなら距離を一目瞭然で知ることができる。
飴をなめながら待った。

聞こえない

午後4時20分。チャンスは来た。

自作メガホンをセットし、声を入れてみる。

鳴らない。

設定した立ち位置は堤体から62.5メートルの地点。

カラーマーカーの60メートル地点と65メートル地点のちょうど中間の位置。スニーカーでもエントリーできる芝生上の立ち位置だ。

立ち位置に実際たってみると右岸側には斜面、左岸側には平地。いずれも林地になっていて、反響板効果(音が樹木に当たって響くような効果)が得られそうには見える。しかし思ったように響いてくれない。

いや、まったくと言っていいほど聞こえないのだ。

立ち位置至近のノイズが気になる。

堤体本体から落ちた水。水はその後、二カ所の階段工区間を通過する。階段工はいずれも自然石を布積みした階段工で、水は組まれた石と石のあいだをすり抜けながら落下していく。ノイズは落下した水が接地する際に発せられたもの。

階段工が近すぎるのか?

さらに、もう5メートル下がってみる。5メートル下がって立ち位置は67.5メートル。67.5メートルの地点からふたたび声を入れてみる。

鳴らない。

やはり階段工によるノイズの影響が大きく。立ち位置に立っていても常に耳が叩かれているような感じで、まず自分の声が響いているのかどうか。そこがまったくと言っていいほど把握できない。

立ち位置はさらに下がって75メートル地点。

階段工からはだいぶ離れることができた。ノイズの影響はあからさまに小さくなり、音によって耳が叩かれる感じはかなり軽減された。

これならばノイズと声とのバランスに期待がもてる。

ふたたび声を入れてみる。

ようやく。

ようやく堤体前は鳴ってくれた。

方位は割石模様のミゾで計測したもの。
レーザー距離計はメートル表示に変更。
風は無風。
銘板。
階段工。影響大きいノイズ源。
右岸側。
左岸側。
さらに左岸側手前は、駐車場になっていて開けている。
公園。意識的に整備された空間である。

デメリットとメリット

結局、この日は午後6時まで堤体前で遊んだ。

自分自身のやりたい歌をやれたこと。

人がいない状況で歌えたこと。

堤体に対し声を入れていくなかで、響きを求め、立ち位置を探ることができたこと。

すべては達成された。

プレーヤーとして、聴衆というもののいない堤体前を望んでいる。しかしながら、それがいついかなるときも実現できるとは限らない。

この日は夕方、夜闇まえの時間帯まで「待つ」ことができた。待つことを選択した結果、求める環境は用意された。

柄杓流川第一号堰堤。

当地は、堤体前にして公園という特殊な環境。その公共性。やはり、自分自身の一存で空間を独り占め状態にすることはできない。

公共スペースであるがゆえの難点。

反面、空間へのアクセス、また空間そのものの過ごしやすさという点では非常に利便性に優れた堤体前であった。

最寄り駅から歩いてここまでたどり着けたこと。

芝生広場、駐車場、遊具など「人」を対象にした設備のなかで歌えたこと。

トイレが近かったこと。

意識的に整備された景観を見ることが出来たこと。

レクリエーション施設としての堤体前空間。これを完成させることは、砂防ダム音楽を愛する砂防ダム音楽家同士にとってのひとつのゴールでもある。

見た目や響きといった音楽的なことのみならず、空間としての過ごしやすさが打ち出された演奏施設を想像する。

砂防ダム等堤体類のひとつの未来の姿であり、そこに目標があり、さらにその先には「もっといいところ。もっといいところ。」という堤体の産地間競争がある。

どんな演奏施設が良いのか?ということは、頭の中でもイメージできるし、コンピューターグラフィクスで描くこともできる。

しかしながら、やはり実践であるとか、実物を見ることの大切さというものがあるわけで、それを今回おとずれた「三ツ峠さくら公園」は実現させてくれた。

真似するべき点、改善するべき点。様々あるだろう。そんな様々を実体験を通じて学べることができた、貴重な歌える堤体さがしの旅であった。

実体験を通じて学べた。

どう評価する?!

不老園

少雨。

雨が降らない。

こんな時でも、

堤体前へ。

じつは雨には強いという特性を持つ。

雨が降るとき。

雨が降らないとき。

演奏施設となる砂防ダム等堤体類。これにはさまざまなタイプが存在するからだ。日常的に水をたっぷり湛水させている堤体もあれば、ふだんは伏流でまったく水の気配すら感じさせてくれない堤体もある。

たいていの沢には水が流れている。

流れているなかで、水が見えているか、見えていないか。

形式のちがい。

伏流の沢では水が見えていない。水は地面の下を隠れるように流れている。そんな沢は、雨が大量に降ったときにだけ、地面の下に隠れきれなくなった水が地表水となってあらわれる。

どこがいいのか?

どこがいいのかと思い出す。

豊富なバリエーションのなかから堤体の選択をする。

雨がたくさん降ったというならば、伏流堤をねらうことになると思うし、雨が少ないというのであれば日常的に豊かに水をたたえている堤体を目指す。

水が無い!

は、大量の雨によって解決され、

水が多すぎだろ!

は、渇水によって解決される。

マイナスもしくは0(ゼロ)に対する大きな数の足し算。あるいは、大きな数からの引き算。

解は大きすぎず、小さすぎず。

水量のちょうどよい案配を探る。まるで算数のようだ。

連日の少雨、渇水報道もなんのその。数十年に一度の水不足というのであれば、むしろ素晴らしき堤体に出会えるチャンスにすら思えてきた。

普段、見ることの出来ない堤体の顔に触れてみたい。普段とは、ボリューム感の異なる堤体の声を聞きたい。

そんなワクワクとともに。

歌える堤体さがしの旅へでかけた。

不老園の梅

不老園

3月1日、午前9時、山梨県甲府市酒折。

甲府市内。開花のうわさを聞きつけやってきたのは「不老園」。

入り口で入場料¥500円をはらい、敷地に入る。

開園は2月1日からしていたのだとか。しかし観賞用の花梅を専門とする庭園のため、3月下旬にはふたたび閉園してしまうのだという。

春のみの開園。ほか、秋の紅葉シーズンには臨時開園というかたちで15日間程度、開園するのだという。

期間限定の開園。

運営は「奥村不老園」という一般財団法人。甲府市市営の施設ではない。

たしかに甲府市も春の観光スポットとしてPRしたりはしている。しかし、直接的に公金をつぎ込むようなかたちでバックアップするようなことはしていない。

へ~、そうは思えないけどな~

総数二千と言われる梅の花の華やぎ。丘の南向き斜面に植えられた梅の花に終始圧倒させられた。

花は斜面の下から上まで満開。さらに、つぼみ~7・8分咲きの混じる構成。全体的に花の鮮度が良い。

いちばんいい時期に入れたかもしれない。

ラッキー!

ちなみに、ネットのくちこみでは坂を登らなきゃいけない。とかアップダウンが激しい・・・、みたいなことが書かれているのだが、実際現場の匂いとしては、そのような不満にふてくされに陥る人の気配は全くと言っていいほど感じられなかった。

そりゃそうだ。文句を言っているヒマなど無い。

下から見上げれば、上の階にも、そのまた上の階にも花が咲いている。丘を駆け上がり、いま花を見に行かないでどうする?といった状況だ。

ぐいぐい元気に坂を登るお姉さん。

お姉さん?成人式は3周目も4周目も経験したのですか。

みんな元気に坂を登っている。

いや、

なにかホッとしたところがある。

おなじ日本人としてこんなこと言うか?そんなコメントばかり見すぎていたのかもしれない。

ネット民は。

きのうもきょうも。

どんなことがが起きても否定的な言葉ばかり。

目に毒だ。

見過ぎを反省していた。

外に出てきてよかった。

不老園は、花梅を専門にした梅園。
花を見るための通路はしっかりしている。
黄色に咲くのはオウバイ。
丘の上の花が登行を誘う。
丘の上からは、甲府市街と山々のパノラマ。
こちらは甲州野梅という品種。
甲州野梅はもともと山梨県の自生種であるという。
疲れるより、好奇心と楽しさが勝った。

甲府市北部へ

午後11時15分、不老園を出発。甲府市北部、さらに山深い地域を目指す。

山梨県道6号線(山の手通り)を西進。

「善光寺」交差点を通過し、愛宕トンネルをくぐり抜ける。

甲府市武田、朝日、美咲、塩部とすすむと、甲府市湯村。湯村では「常磐ホテル」「甲府記念日ホテル」といった湯村温泉のホテルのまえを通過する。

「千塚」交差点では右折。道は山梨県道7号線(昇仙峡グリーンライン)にかわる。

ホワイトツリー、千野自動車板金塗装、天然石パワーストーン翔雲といった看板を見ながらすすむ。セブンイレブン甲府山宮町店、山宮温泉を通過したあたりから道は山間道路らしくなる。

金石橋の東詰を通過し、荒川に沿って北進。甲府市平瀬、甲斐市吉沢の集落を通り過ぎると長潭橋(ながとろばし)。長潭橋をわたって直後には左折。

渓谷沿いの観光道路は歩行者に注意しながら進み、昇仙峡はちみつファームまえの丁字路までたどり着いたら左折。

4つのトンネル(覚円隧道、能泉隧道、御岳隧道、仙娥滝隧道)を抜けると左手に静観橋(せいかんばし)があらわれた。

午後0時25分、静観橋東詰にある「橋本屋専用駐車場」に到着。

「善光寺」交差点
甲府市朝日4丁目付近
湯村温泉「常磐ホテル」まえ
「千塚」交差点
山梨県道7号線(昇仙峡グリーンライン)
長潭橋
夏季~秋季は道路一部区間に制限あり。
渓谷主体の観光スポット。あたりは「昇仙峡」と呼ばれる。

橋本屋

静観橋をわたり、橋本屋店内へ。

店内は椅子席も座敷席もある作り。

どちらでもどうぞ!とのことで座敷席に腰を掛けた。

渓谷沿いの茶屋。それにしては落ち着いた雰囲気である。



しばらく考えてみた。



店内にBGMが流れている。J-POPのBGMだ。

窓も多少、換気程度に開いてはいるが、ほとんど閉まっている。

せせらぎ疲れ・・・。

こんな言葉があるのかは定かではないが、この店には渓谷を見たあとの客、近くの滝を見てきた客がおとずれる。

ほとんどの客にとって、渓谷の音環境は非日常的なもの。川の音を慣れない体で大量に聞いてきた。そりゃ疲れるってものだ。

耳も脳もせせらぎでいっぱい。

せせらぎで満腹になっている人にせせらぎは要らない。

あえて、J-POPでもてなすという業。

音に配慮するやさしさ。

「お客」に対する洞察力。

勉強になる。

ほうとうの代金だけじゃ安いか・・・。

いや、

やめた。

それはまた今度。

再訪時に。

こんどは蕎麦にしようか?

静観橋と橋本屋
店内にはJ-POPのBGM
橋本屋のほうとう
食後は付近を散策。
周辺は土産物屋や甘味処。
ツルッとしていて。ツルッと。
仙娥滝

林道は通行止め

午後1時35分、橋本屋専用駐車場を出発。堤体に向かう。

影絵の森美術館まえを通過。新静観橋をわたり、「荒川ダム」の看板にて右折。「大黒屋」のまえを通り過ぎ、多目的広場の駐車場に車を停める。

水不足が言われている。ダムはどうか?!

車から降りて、ダム内のようすをチェックする。

水。異常なし。

思いのほか水はしっかり張られていた。

ふたたび車に乗り込み、堤体を目指す。

「荒川大橋」をわたり、直後の丁字路を左折。

大渡隧道をくぐり、2本の橋(大滝橋、板敷橋)をわたる。直後には中津森隧道。

中津森隧道を出てしばらく走ると、道路のど真ん中にカラーコーンがあらわれた。

午後2時20分、林道野猿谷線の通行止めカ所に到着。

道は閉ざされている。陸路がダメなら川を歩くしかない。

車は通行止めカ所ちかくの道幅ひろくなったところ(車の反転スペースでは無い。)に移動させ、駐車した。

車から降りて、入渓の準備。

ウエーダー、ジャケット(風を通さないもの)、フローティングベスト、ヘルメット、登山用ポールなどはいつも通り。

ほか、動物よけホイッスル。

動物よけホイッスルは「WIND STORM」。

こちらは耳がキンキンするほど強い音が出せるので気に入って使っている。最近、気がついたことなのだが「WIND STORM」のロゴが上下逆さになるように吹くと、不発を防ぐことができる。

ロゴのまんまの向きで吹くと、笛のなかに入っている球が動かなくなることがあり、音が不発になるときがある。

パワーがあってもこれじゃあ・・・。なんて抜かしていたのであったが、真相は自分自身が正しく使えていなかったということらしい。

反省。

渓へは荒川(野猿谷)の左岸斜面から入ることに。

中津森隧道より300メートルほどの地点。そこに、渓まで降りられそうな斜面を見つけることができた。

一歩一歩、斜面を慎重に降りる。

無事、降りきった。

入渓。

野猿谷を遡行する。

渓はかなりおとなしい印象。源頭となる山は金峰山(2599メートル)、朝日岳(2579メートル)、国師ヶ岳(2592メートル)。

冬場~春の渓。

キーワードとなるのは「雪代(ゆきしろ)」。

沢登り業界でも、釣り業界でも、雪解け水を意味する雪代という言葉がよく使われる。

山の標高のたかいところで雪が解けることにより、その下流部分で水かさが増す(水かさが安定する)。

午前中におとずれた不老園では広河内岳(2895メートル)、農鳥岳(3026メートル)、間ノ岳(3190メートル)といった山々に積もる雪を見てきた。

麓を流れる広河内(南巨摩郡早川町)においては増水、もしくは水量安定していることが予想される。

標高2000メートルを越える山々にもいろいろ個性があるようで、雪が降りやすい山もあれば、そうでない山もある。

いま現在、足元をながれる荒川についていえば、雪代の存在感があまり感じられない。

渓はどちらかと言えば痩せ細っていて、水が上流から圧力とともに押し迫ってくるような感覚が全くと言っていいほど得られない。

ペターッとした水面。ペターッとした石張り露天風呂の浴槽を蹴ってすすんでいるような感じだ。

水深的にも浅いところが多い。

それでもところどころには深さ1メートル程度の淵が出来ていて、その場合は都度、河岸ルート(陸上)を歩きながら上流をめざした。

午後3時20分、「野猿谷堰堤」に到着。

堤体に向かう。
「荒川ダム」の看板にて右折。
荒川ダム(能泉湖)のようす
荒川大橋
林道は通行止め。
通行止めがなければ、堤体真横まで車で行けるのであったが・・・。
「WIND STORM」は、この向きで吹く。
斜面を降りたところ(入渓点)から。
右上に走るのは林道野猿谷線。
野猿谷洞門(右上)が見えたら堤体は近い。
野猿谷洞門と氷。
ペターッとした水面。
堤体着。(野猿谷堰堤)

静物的

水は幅狭く、薄く帯状に落ちている。

水裏斜面に張り付くように落ちる水。水裏斜面をゆっくり、摩擦をともないながら落ちる水。

水は放水路天端からにかぎらず、上段3カ所、下段2カ所の水抜きにも分岐して落ちている。

帯状に落ちる水と分岐した水はやがて池の水面に着地。

空間上に解き放たれるような落下ではない。着地もまた静かなものである。

堤体本体下流部20メートルほどで池はおわり、渓流区間にもどる。しかし、ここもまた上流からの水の圧力のフォローが弱い。

段差状になった渓を重力に引っ張られながら仕方なく下りていくという感じで、流れに勢いが感じられない。

非常に動きに乏しく静かな印象をうける。

いや、これは水のせいだけではないだろう。

堤体前を取り囲むようにして生えるフサザクラやケヤキが、枝まるはだかの状態で非常に寂しい。風の抵抗物質となる葉を失っていて、枝もほとんど揺れていない。

額縁があったら、絵となりすっぽり入り込んでしまいそうなほどおとなしい景色である。

景色全体としてきわめて静物的といえる。

水は幅狭く、薄く帯状に落ちている。
着地もまた静かなものである。
瀬も勢いがない。
水深が浅くてフラットなところ。立ち位置になる。
左岸側
右岸側

こんなメリット

自作メガホンをセットし、声を入れてみる。

立ち位置として設定したのは、堤体から54ヤードの位置。

鳴る。

声は堤体本体に当たったのち、両岸の斜面に向かって響いている。

とくに放水路天端の下流カド(天端中央のなるべく高い位置)に向かって声を入れてやると反応がいい。

左右両岸から川の中央に向かって伸びるフサザクラの低い枝のなかを通過して、しっかり堤体本体に声が当てられている。

「堤体のここに声を当てたい!」とおもった部分が見えていることは大切で、それが葉(視界を遮る物質)の無い枝による見通しの良さで実現できている。

堤体本体のうち“目標物”がしっかり視界のなかに捉えられているなかで、声を入れることができている。

夏季、葉によって隠れる部分。
葉が無いぶん、見通しが良くなっている。
声を当てたい!と思った場所をしっかり見ることが出来る。

批判をする前に

結局、この日は午後6時まで堤体前で遊んだ。

視覚的にも聴覚的にも非常に静かな堤体前で楽しむことが出来た。

堤体本体をまえにプレーヤー自身、意図した場所に声を当てていくということができ、きわめてゲーム性の高い「歌」で遊べた。

冬場~春の堤体前というのはみどりが少なく、一見すると魅力が半減しているように思える。

“商品的な画”と言えば、もっと葉っぱが多くて、水も多くて、生き物もあちこちで動いているようなもの。

このような状態を自宅にいる段階から想像すれば、堤体前まで足を運ぶこと。そもそも、そのことに果たして意味があるのかという疑問が生まれてくる。

しかしながら、このように実際、冬場~春の堤体前に来てみると、なんとゲーム性にすぐれた現場が存在するのだということがわかる。

視界が自由に効く堤体前は、プレーヤーに声を当てるための目標物をもたらしてくれる。

人間のものごとに関する感覚というのはいい加減なもので、そのとき目のまえに見たものによって安易に判断を下してしまいがちだ。

葉っぱが少ない。

水が少ない。

結論。この堤体前は、冬場におとずれるべき場所では無い。

目の前にある景色を一回見ただけ。それだけで、まるで全てを知ったかのように判断し、たやすく感想を得てしまうのである。

その感想は果たして正しいのか?

まったく異なる時期に同じ場所に来た場合、その場所がどのような状態にあるのかということまで想像してみる。現況だけでなく、時間が経った先のことまで考えてみる。

価値あるものにまったく気がついておらず、批判の言葉だけが口をついて出るのはなんともマヌケなはなしだ。

堤体前で見ることの出来る景色。それは、そのタイミングで現場をおとずれたからこそ見られた景色。

安易に批判をする前に。

ダメと思うまえに。

まずは肯定的にものごとを見るようにしたい。

静かな堤体前。立ち位置の自由度が高かった。
ほぼ真北向きの堤体。
当日は風も静かだった。
銘板
非常に静かな堤体前であった。

あたらしい音楽関係のしごと7選

あたらしい音楽関係のしごと7選

今回は、あたらしい音楽関係のしごと7選というテーマでお送りする。

砂防ダム等堤体類をまえに歌ってみて・・・、

楽しい!と感じた方向け。

だったら、これをいっそ仕事にしてみませんか?という提案である。

屋外メインの仕事からインドアメインの仕事まで書いてみたので、参考にしていただけたらとおもう。

2月8日。山梨県南都留郡山中湖村。

屋根やさん

あたらしい音楽関係のしごと。1選目は「屋根やさん」。

堤体前という空間において、屋根を提供する仕事だ。

砂防ダム等堤体類を演奏施設として使用するとき、屋根があることによって様々な効果が得られる。

雨よけ。

日よけ。

歌いやすさ。

傘や日傘があることから考えれば、上の2つはなんとなくわかるとして「歌いやすさ」とは。

音に詩が付いている。とも、詩に音が付いている。とも解釈できる歌において、プレーヤーは詩を大事に扱いたい。

詩に書かれている「ことば」により近づくためには、歌に集中力をもって取り組むようにしたい。

よけいなことは考えず・・・。

そんな根性論から道を切り開いていくことも大事。しかし、ものごとに集中するためには、まずはそれに見合った環境をつくりだすことが重要だ。

プレーヤーにとっていちばん歌に集中できる「明るさ」を用意すること。

自身においては圧倒的に暗いところで歌うのが好きだ。

一年を通じて、なるべく木の生えている堤体前に立つようにしている。とくに、落葉樹が葉を付ける夏期のゲームにおいては、頭上を渓畔林の葉が覆っていて、空からの光を遮断してくれるようなところに立つ。

落葉樹の葉によってできた暗がりの下に入ることによって、詩の持っていることばに対し驚くほど近づくことができるからだ。

環境要因によって形成された屋根の下に立つ。そのことによって、プレーヤーは歌いやすい状況というものを手に入れることができる。

やはり屋根というものは大事だ。

ならば常緑樹、落葉樹ともに木々に乏しい堤体前では、屋根を人工的に作り出すということが有効になってくるだろう。

タープテントと呼ばれる広大な一枚布をプレーヤーの頭上に張ることが出来れば、渓畔林のときと同様の効果を得ることができる。

タープテントのカラーはブラック、ネイビー、ダークグリーンなど暗めのカラーがいい。堤体前に暗がりを作り出すことを目的としているからだ。

数人のプレーヤーによって、セルフサービス形式で設営されるタープテントもいいが、プロフェッショナルサービスによるスーパータープテントの実現に期待をしたい。

図太い金属製パイプを河原に突き立て、ぶ厚い布を張ったヘビーデューティー仕様のタープテントはプレーヤー各氏から絶大な信頼を得るだろう。

職人技によるタープテントの設置・撤去はじつに見事なものだ。華麗な身のこなしによってタープテントが張られるシーン。一つ一つの所作に無駄がないタープテントの解体シーン。

設営されたタープテントの美しさ、的確さのみならず、お客はそのかたちが出来上がるまで、また無くなるまでの一部始終をひとつのエンターテイメントとして観察することができる。

あたらしい音楽関係のしごと。1選目は「屋根やさん」。

ワカサギ釣りのドーム船は、
湖上の「屋根やさん」。
雪の日でも出艇!
湖上の快適フィッシング。

食べ物屋さん

あたらしい音楽関係のしごと。2選目は「食べ物屋さん」。

食べ物屋さんといえば当ブログでも毎回のように登場するわけだが、やはり人間が生きていく上で食は欠かせない。

各地の堤体に向かっていて、その場所ごとにある食べ物屋さんにはお世話になっているばかりである。

砂防ダム等堤体類というのは数に地域差があって、たとえば伊豆半島であれば狩野川水系がいちばん多い。また、単一の市町村として見れば、狩野川上流域を広くカバーする伊豆市がいちばん多い。

山梨県であれば甲州市。甲州市といえば日川、重川。

ただし、上記のデータは堤体の単純な数のことを言っている。「入客」という観点から見て重要なことは、お客が実際に来て歌いたくなるような堤体を自治体が持っているかどうかということ。

自治体としては数が多い、少ないを気にするより、本当に「戦える」堤体を保有しているかどうかが重要だ。

結局、個人としても集団としても堤体というものは見た目、明るさ、水量、ノイズなどの要素によって、一つ一つ評価がされてしまう。さらにその評価はランキング化もされてしまう。

堤体のランキング化が行われるなかで、食べ物屋さんは優れた堤体の近くにあることが理想だ。

音楽好きを多数むかえる食べ物屋さんとして、店をアピールするための要素は数多い。飲食店としての商品情報のみならず、堤体の万物流転に関する情報。

葉っぱの状態、水量、開花状況、旬の食べ物、道路の通行止め状況、土砂崩れの状況など。

いまのいま(リアルタイム)を伝えてくれることによって、お客側は安心してその地をおとずれることができる。

あたらしい音楽関係のしごと。2選目は「食べ物屋さん」。

食べ物屋さんへ。
室内は暖かい。
今日の天気が気になる・・・。
その前にまずは腹ごしらえ。

タクシー運転手

あたらしい音楽関係のしごと。3選目は「タクシー運転手」。

どこかイイトコ連れてって!

そんなお客の要望を叶えるのがタクシー運転手の仕事だ。

木の状態、水量、いまの時間帯などの条件から、もっとも良い堤体前にお客を送り届けなければいけない。

どんなところに行きたいですか?

堤体前の景色についてはアンタにお任せすると言っている。

先客がすでに入っているのはイヤらしい。ならば人が入っていないところに案内しなければならない。

タクシー乗り場には、そもそも杖を突きながらやってきた。足はあまり良くないのだけれど、それでも堤体前に立って歌いたいのだという。

あとはトイレが近いのが悩みだと。

そうか。では、トイレからあまり離れていない堤体が良さそうだ。

たったいま後部座席に乗り込んできたこのお客を満足させるため、今日までに培った経験と観察力をフル稼働させ、どんな堤体前がいいのかと想像する。

美しき自然条件だけがお客の要望とは限らない。演奏施設として一定時間を過ごす堤体前について、お客がなにを欲しているのかというところを聞き出し、それに見合った場所を用意するのがタクシー運転手の仕事だ。

野趣あふれる堤体前がいいのか。

響きのいい堤体前がいいのか。

快適性にすぐれた堤体前がいいのか。

足が不自由でもたのしめる堤体前がいいのか。

場所を多く知っていればいるほど、お客のニーズに合った場所を案内できるはずだ。

「なにアンタ。イイトコ知ってるじゃない。名前はなんていうの?あらそう。じゃ、つぎはアンタの名前で頼むようにするからね!」

あたらしい音楽関係のしごと。3選目は「タクシー運転手」。

美しき自然条件だけがお客の要望とは限らない。
何を優先して欲しいのかはお客によって異なるからだ。
お客のニーズに合った場所を案内したい。
とにかく場所をたくさん知っていることが重要だ。
自分自身を売り込んで!

お土産やさん

あたらしい音楽関係のしごと。4選目は「お土産屋さん」。

前述のとおり2選目では食べ物屋さんをあげたわけだが、実のところ現代の飲食店というのはメチャクチャに忙しい。

もう、メチャクチャのグチャグチャのコテンパンに忙しい。森山自身、かつて牛丼店で働いていたからわかる。

商品をつくる。

皿洗いをする。

厨房、客席を掃除する。

これだけでもモームリさんしたくなるくらい忙しい。

原因は食材価格の高騰。光熱費の高騰。各種備品の値上げ。店を潰したくないなら人件費を削減しろということになる。驚くほど少ない人数で店舗を運営するよう指示がくる。指示を出すのは、飲食店各店をとりまとめる運営本部。

従業員一人あたりの業務量が爆発的に増えるなか、何が楽しくてこの仕事を始めたのだと自分自身に問いかけるようになる。

お土産屋さんの仕事がチョロいと言いたいわけではないが、雇われという身分で現実的に活躍をしていくことを考えれば、わずかでも業務量の少ない(汚れの少ない)仕事を選ぶほうが賢明である。

もちろん飲食店をやっていて、それでもワタシはお客さんと会話ができるくらいの余裕があるよ。きちんと店を回せているよ。という人は、そのまま飲食の仕事を謳歌すればよい。

飲食店をやる。土産物屋をやる。いずれの仕事をやるにしても、お客と雑談ができるくらいの余裕がほしいところだ。

雑談も雑談。しかし、心理学の世界には「返報性の法則(プレゼントに対してお返しをしたくなるという心理的作用)」というものがあるらしい。雑談はプレゼント。これがお金に変わる可能性を秘めているというのだからバカにはできない。

やはり堤体というものの近くに住んで、なりわいをしている人のリアルタイムの情報は貴重なのである。

「金曜日の夕方にカミナリをともなった夕立が降ったよ。」

この一言がどれだけ重要なことか。

あたらしい音楽関係のしごと。4選目は「お土産屋さん」。

無料見積もり、
スーパーの試食コーナー、
試供品の提供、
そういったものは全て、
「返報性の法則」を利用しているのだとか。
ビジネスは、
深い。

プロスペクター

あたらしい音楽関係のしごと。5選目は「プロスペクター」。

プロスペクター(Prospector)とは、「探鉱者」とか「鉱山師」と訳される英語である。金・銀・銅、レアメタル、石油。いずれにおいても、それをさがし当てる存在がいなければ鉱物資源は国家の地下に永久眠ったままである。

砂防ダム。日本全国で約9万基。

治山ダム。日本全国で約44万基。

足して単純計算、53万基。

演奏施設としての可能性を秘めた場所が全国で53万もあるのだという。

とてつもない数だ。

そんななか、当ブログでは「歌える堤体さがしの旅」をメインテーマとし、歌って遊べるような砂防ダム等堤体類を見つけ紹介してきた。

各地の堤体を知るにあたって国土地理院地図をはじめとした資料を利用し、実際に現地を訪れるなかで歌ってみるということを試してきた。

堤体とその下流部区間である「堤体前」ごとに空間の形状は異なり、そのことによって響きに違いが生じる。さらに、木が生えていたり、大小の転石があったり、水の落下地点(ノイズ発生源)があったりと、堤体前ごと演奏施設としての差異は潜在的に決して小さくないということがわかる。

堤体前の響きが、場所ごとに違うというのであればその一つ一つを調べる人物が必要であると森山は考える。

53万という途方もない数を分母にすることになるが、逆にいえば演奏施設として利用できる可能性をもった場所をそれだけ膨大な数、国家として抱えているということも言える。

宝の持ち腐れになってはいないか。

53万の堤体は物質的にはそれぞれが独立している。しかしながら、この場所を求めて遊びまわる人々は、各地の堤体を連動して評価しているのだということを忘れてはならない。

ランキング化とは前述のとおり。

堤体Aと堤体Bは比較されている。

北海道の堤体も青森県の堤体も山梨県の堤体も静岡県の堤体もすべて一元化された中で比べられている。

「歌える堤体」を1つさがし当てることのメリットは、当該ローカル地域の利益だけにとどまらない。その恩恵は全国に波及する。

53万の可能性に賭けてみようとは思いませんか。

あたらしい音楽関係のしごと。5選目は「プロスペクター」。

53万の可能性。
その可能性に、
賭けてみませんか。
(堤体はもう近く。)

もの書き屋さん

あたらしい音楽関係のしごと。6選目は「もの書き屋さん」。

歌える堤体さがしに取りかかった結果、実際に良い堤体が見つけられたところで、では、その堤体を秘密の存在にしておくのか、世に発信するのかは個人の自由だ。

良い堤体前で歌うことによる利益は、まずはその歌った本人のものとなる。そこで止めておくのか、「アナタもどうぞ。」とし、世に送り出すのかという違いである。

100カ所知っているなら、100カ所ぜんぶ教えてなんてせがむことはしない。しかし、その1割から2割程度でいいから歌える堤体というものを世に発信してくれませんかとは願いたい。

それも、ちょっと書いてくれればいい。ちょっとでいいから書いてほしい。そのちょっとの執筆があとあと大きな火になる。

当ブログ。かつては静岡県の堤体を中心に紹介していた。

しかし、最近は山梨県でのエピソードが連続している。最近の動向だけ見れば、森山は静岡が嫌いになったのか?という声がきこえてきそうだが、決してそんなことはない。

≫「歌える堤体」を1つさがし当てることのメリットは、当該ローカル地域の利益だけにとどまらない。その恩恵は全国に波及する。

これは、前述のとおり。

つまりのところ、山梨県において「歌える堤体」をさがし当てること。その成功利益は静岡県側にも波及するというのが持論だ。

静岡県の歌える堤体の価値を上げたいのならば、本当にやらなければならない努力は静岡県外の歌える堤体を見つけ出し、紹介すること。

これは逆も然り。

山梨県の堤体の価値を上げるために、静岡県の堤体を紹介するという手法がある。

同一県内、異なる自治体同士だってそうだ。

ヨソが良い堤体を持っていて、ウチも良い堤体を持っていて・・・、

じゃあ、どっちの方が良い堤体なの?という比べっこがはじまる。

砂防ダム等堤体類の演奏施設としての価値。それを最大限、高めるためにやることは、

自力本願。

では無く、

他力本願。

でも無く、

相互作用。

お互いが比較されるからこそ、その価値が高まる。

すなわち、

ちょっとでいいから書いてほしい。

「砂防ダムでおもいっきり歌ってみましたー!」

これだけで全然ちがう。おもいっきりやれた。おもいっきりやれるような心理状態にさせてくれた。そんな堤体前であった。たった一行のコピーから読み取れる。この宣伝効果がデカい!

あたらしい音楽関係のしごと。6選目は「もの書き屋さん」。

歌える堤体の紹介は、
相互作用。
価値はお互いに高まる。
そう考えると、
やる気がみなぎる!

雑誌編集者さん

あたらしい音楽関係のしごと7選目は「雑誌編集者さん」。

これは究極。究極なのだけれども「業界」の二文字を使いたいならば、絶対に越えなければならない高い高い壁だ。

業界として、書店・図書館という場でその存在を対外的にアピールできる。

業界として、ケガ予防、遭難予防のためのアナウンスができる。

業界として、プロ砂防ダム音楽家を輩出できる。

業界として、イベントを自前で用意できる。

いずれも「業界」の二文字が使えなければ、説明のつかないことだ。

雑誌が運営できるくらい、ファンが多くて資金もあるようなジャンルになること。そこまでいくのが目標である。

あとは、みんなの「歌える堤体さがしの旅」が読みたい!という欲。

そんなこともあって。

あたらしい音楽関係のしごと7選目は「雑誌編集者さん」。

以上、

今回は、あたらしい音楽関係のしごと7選としてお送りした。

きょうも距離を測り、
角度を測り、
風を測る。
冷えっ
とりあえずは避難だ。
立派な東屋がある堤体前。
ギア紹介。
あとはこちらも。
ゲホゲホ・・・、うまい。
雪に吸収され気味でした。響きは。
銘板。

もじ煮

釜無川河川緑地公園

日々の歌える堤体さがしの旅では堤体本体のみならず、その「周辺環境」としてどんなものがあるのだということを研究している。

周辺環境に関する情報は地図から。

地図を読むということにおいて、毎回お世話になっているのはグーグルマップ。グーグルマップを見ながら食べ物のウマそうな店をさがしたり、良さそうな温泉を見つけたりしている。

わざわざ「歌」のため、遠くへ出掛けることを提案している。

これはとても面倒くさいことだ。

とくに今のような時期。寒くて、なかなか外へ出づらいこともあるだろう。

気が乗らないときの解決策。

店に行く。

店に頼る。

例によってグーグルマップを開いた。

「もじ煮」

もじ煮という料理を出す店があるらしい。

これは食べたことがない料理。

未知の食べ物に好奇心が湧いた。

歌える堤体さがしの旅。今回は「もじ煮」とともに。

パラソルのような屋根がならぶ釜無川河川緑地公園。

現状を変えたい

1月18日午前9時、山梨県韮崎市「釜無川河川緑地公園」。

グーグルマップによれば、もじ煮を出す店の開店時間は午前11時であるという。まだ時間が早すぎるので、とりあえずは店のある韮崎市内の公園で待つことにした。

天気は晴れ。気温は9.4度。

公園の南東側。ずいぶん広い駐車場だなと思った。駐車場の向こうには丸印にHと書かれたヘリポートが見える。

土がむき出しの駐車場。なんともテキトーなことをしていると見せかけ、じつはドライバーに重要な国交省公認の仮眠エリアなのだという。

ひとやすみ ひとやすみ

アニメ「一休さん」の看板に迎えられ、駐車場に入場した。

いいよなぁ。一休さんは。

あんな動きで。

あんな動きで良いアイデアが浮かぶというならば、あたまの上で指を何十回でも何百回でも回してやろうと思う。

ポクポクポクポク・・・、

チーン!

いまは良いアイデアが必要だ。

現状を変えたい。現状には満足していないから。

現状を変える。ものごとを大きく変える。

ものごとを大きく変えたい。

体力が必要だ。

体力勝負。

あとは柔軟な頭。アイデア。

若い人が有利だ。

若い人が動いてくれるような仕組みを作りたい。いや、その前にまずは若い人たちに興味を持ってもらえるよう、シニア世代が動かなければならない。

つまらなさそうだ。

しんどそうだ。

面倒そうだ。

儲からなさそうだ。

変えるべき現状。その性質上のネガティブな要因を一つ一つ解消し、逆に良いところを見つけてどんどんアピールするようにしたい。

オレが教えてやる!

いや・・・、

そんな体勢じゃなくて、

ともに学ぼうね。という気持ちで。

現状を変えた先には、それは幸せな世の中が待っているはずだ。

幸せつかむために。

若い人に動いてもらう。もちろん、シニア世代にも動いてもらう。

若い人が。シニアが。いきいきと働けるような仕事を。そんな仕事を私もしたい!

南東側にはうっすら富士山が。
公園には蛇口もトイレもある。
ベンチもある。
実をつけた低木が。
トキワサンザシ

抜群のスープ

午前10時20分、釜無川河川緑地公園を出発。国道20号線に乗り、北杜市方面に車を走らせる。

JA梨北、セブンイレブン韮崎一ツ谷店、桐沢橋東詰、入戸野入口バス停などを経て穴山橋をわたる。

円野郵便局前の歩道橋をくぐり、600メートルほどすすむと目的の店に着いた。

午前11時10分、「食道やま輝」に到着。

店に入る。

明るい店内。

ダイニングテーブルは6卓。うち、3卓は二人掛けのテーブルで、カウンター席は3席ほど。

連れ立ちだけで無く、単身でも入りやすそうな店だ。

ほか、四人掛けの座敷席が二つ。さらに店の北側には和室があり、宴会などにも対応できるようになっている。

ドライブインのような軽快さとゆったり感を併せ持った空間だ。

しばらく待ったのち、名物の「もじ煮定食」が運ばれてきた。

事前にグーグルマップで調べてたとはいえ、はじめて目にするもじ煮。

一人用の鉄鍋に入れられた豚モツ。さっそく口にする。

うまい!

モツが柔らかく、食べやすい。

モツ煮といえば、味噌煮であることがほとんどだが、こちらは醤油仕立てのちょっと甘めのスープ。このスープが良い。

スープがさらっとしていて、しかし旨味がしっかりしている。

鍋の底に沈んでいるものはなにかと探れば牛すじ煮込み。この牛すじ煮込みがまた醤油のスープと合っていてうまい。

鍋には大根も沈んでいた。大根も当然のことながら文句なし。

抜群のうまみ。抜群のスープ。

抜群のスープにすっかり魅了されてしまった。

来てよかった。

釜無川河川緑地公園を出発。店に向かう。
桐沢橋
穴山橋
「食道やま輝」に到着。
明るい店内。
もじ煮定食
抜群のスープ!

黄金色の舗場

午前11時45分、堤体に向かう。

国道20号線、来た道を今度は南東に600メートルもどり右折。山梨県道12号線を南進する。

道は南アルプス市方面につづく田んぼみち。当然だが、今の時期は舗場が休耕中。

水の無くなった黄金色の舗場。

冬の陽気。空気も稲株もカラッと乾いていて景色がおとなしい。

ほんとうに羨ましいかぎりだ。

各地の堤体を紹介していて思う。それは「渓流」というのがなんとも諸刃の剣であるということ。

好きな人は好きだし、嫌いな人は嫌い。本当によく分かれる。

自身は砂防ダム音楽家として、当然のことながら渓流というものを見せていかなければならない。

良いものとして。

楽しいものとして。

だが、それが至難の業なのである。

景色として激しすぎる。

水の動きであったり、音であったり、木々の揺れる葉っぱであったり。渓流というものが持っている刺激的要素。その刺激的要素に苦心させられる。

激しすぎる景色とは運命共同体。これとお別れして商売するというのは砂防ダム音楽家としてあり得ない。しかし、簡単じゃない。どうにか良い見せ方が無いのだろうかと日々悩んでいる。

まったく羨ましいかぎりだ

この休耕中のおとなしさ。

冬の舗場を見て、無意味だなんて思わない。このおとなしい景色に大きな価値がある。

午後0時半、山梨県道12号線に架かる「小桐橋」に来た。

車から降りて、橋上より本日入渓する「高川南沢川」をチェック。

異常なし。

ふたたび車に乗り込み、100メートルほど東進したところで原山神社わきの丁字路を右折。道なりに進む。

400メートルほど舗装路をすすんだのち、道は未舗装路へ。未舗装路区間に入ってからもやはり道なりにすすみ、800メートルで御庵沢小武川林道の冬期閉鎖ゲートがあらわれた。

午後0時50分、御庵沢小武川林道、冬期閉鎖ゲートまえ着。車はゲートまえ、道幅の広くなったところに駐車した。

山梨県道12号線
黄金色の舗場
小桐橋
高川南沢川の看板
橋上から川のようすをチェックする。
原山神社わきの丁字路からは道なり。
御庵沢小武川林道の冬期閉鎖ゲート

清哲林道

車から降りて高川南沢川のようすを再度チェックする。ゲートを横からかわし、直後にある南沢橋から川を見下ろした。

異常なし。

そのまま林道を300メートルほど登る。

午後1時05分、画像.Aの看板前へ。本日入渓する高川南沢川。それと御庵沢小武川林道、清哲林道の位置関係を看板にて確認する。

よし。

確認を済ませたのち、車にもどった。

入渓の準備。

気温は7.6度。

汗をかいてしまい、放置するほうが寒くなる。そのときのために着替えを持って行くのはひとつの手段。しかし、これだと荷物増量ということになってしまうので不可。渓行はスマートにいきたい。

やはり、今回も着込み過ぎ!に注意し、寒すぎない程度にインナーを脱いだ。

手にはネオプレン製のグローブをはめる。

ネオプレン製のグローブは両手ともに親指、人差し指、中指の三本、手袋の先が切れているもの。三本の指は外に露出している。

堤体前では計器類をつかった計測をおこなうため、機械のボタンを押したりするのにこのほうが都合が良い。

ほか、ウエーダー、フローティングベスト、ヘルメット、登山用ポールを用意し、準備完了。

午後1時40分、御庵沢小武川林道、冬期閉鎖ゲートまえから歩きをスタート。100メートルほど北進する。さきほど車でやって来た道を引きかえす感じだ。

黄色の「不法投棄禁止」の立て看板があらわれた。

立て看板の右側を行くと御庵沢小武川林道。左側を行くと清哲林道。

清哲林道を選択する。

清哲林道に入った直後、暴れ枝のウツギが行く手を阻む。林道を塞ぐように生える低木は、この道が廃道であることを伝える。

樹木に遮られ車は通れない。いや、だれも見向きもしない道になってしまったから木が生えてきたのか。往時のすがたを想像するには目の前に生えている木を無くして見る。

立派な土の道があらわれる。

堤体の資材を積んだトラック。キャビンには建設会社の作業員の面々。

単なる口過ぎと揶揄される公共事業も、昔のこととなると妙にロマンがある。

男たちは何を想い、林道に分け入ったのであろうか。

南沢橋よりすぐ上流の堤体横を通過し、林道を奥へ。

深く積もった落葉樹の葉っぱに足元を取られながら廃道をすすんだ。

しばらく行くとガードレールがあらわれた。

ほんとうに単なるガードレールなのだけれども、廃道の残置物となると妙にプレミア感がある。おもわず画像に収めてしまった。道のど真ん中に木が生えているところも趣があって良い。

ガードレールに沿って林道を登っていくと、一段と沢の音が大きくなった。

午後2時05分、高川南沢堰堤に到着。

画像.A
川、林道の位置関係を看板にて確認する。
清哲林道へは看板の左側へ。
清哲林道
倒木をくぐってすすむ。
ガードレールと樹木
高川南沢堰堤

スッポリ

水は帯状にしっかり落ちている。

銘板によれば堤高は10メートル。そのうち目視できるのは主堤の水タタキから上の部分。放水路天端までは6メートルほど。両側の袖天端はさらにプラス3メートル。

右岸側をはしる清哲林道。左岸側をはしる御庵沢小武川林道。主堤の水タタキ部分からの高さでそれぞれ15メートル(清哲林道)と、40メートル(御庵沢小武川林道)の両岸斜面は存在感が大きい。

圧倒され、肝心の堤体はV字断面のなかにスッポリと収まってしまっている。

声を響かせようとする範囲としては堤体本体によって出来た壁までとするのでは無く、さらにもう一段向こうの空間を狙うのが良さそうだ。

スッポリ。ならば、堤体本体はあまり意識せず山全体を鳴らすつもりで。

V字断面でつづく谷の奥へと声を通すことができれば、より広い範囲での響きを楽しむことが出来るであろう。

水は帯状に。
枝葉を押し流す。
堤体前は倒木が多い。
左岸側。上には御庵沢小武川林道。
右岸側。清哲林道のガードレールが見える。

鳴らない

自作メガホンをセットし、声を入れてみる。

最初はとりあえず、堤体本体によって出来た壁までの響きを試す。

鳴らない。

渓の流れは蛇行するほど緩やかな傾斜上にあるが、残っている小石(これより下流にある石積み堤によって、洗掘がされにくくなっている。)によって、河床には細かな段差がいくつも出来ている。

水の動きとして横が弱い。冬の減水も影響しているだろう。細かな段差がつづく渓流区間では、水は縦に落ちるような動きが多くなる。それら一つ一つがノイズの発生カ所として機能し、蛇行をしつつもにぎやかな「瀬」が形成されている。

どうやら堤体本体をねらうように響きの当てどころを低くすると、ノイズに声がヤラれてしまうようだ。

それではと、もっと高いところを意識して声を入れてみると響きを得ることができた。

眼前にあるノイズ発生源との戦いを避け、なるべく高く、遠くを意識して。事前の予想のとおり、堤体本体によって出来た壁を狙うのでは無く、堤体のさらに奥、もう一段向こうの空間にむかって声を入れてみると反応が良くなった。

声を返してくれるのは木の枝か。斜面か。空気か。

なにが作用してこうなるのかはわからない。しかし、結果として響きが得られ大変に心地よい。

おおよそ南西向きの堤体。
測るが、狙うのは堤体よりもう一段向こうの空間。
風は微風の好条件。
指出しの手袋は計器類を扱いやすい。

後悔せず

結局、この日は午後4時15分まで堤体前で過ごした。

日頃の堤体さがしの旅では、両岸斜面との対比により見かけ上、堤体が大きく見えないという条件に出くわすことがある。

そういった場合にどうするのか。

歌うことなく通過し、別の堤体をめざすというのもひとつのやり方。声を発して遊ぶところを探しているのだから、しっかり音を包み込んでくれるような大きな堤体こそが望ましい。大きな堤体こそがすばらしいという考え方。

いや、それは間違っている。

プレーヤーとして勇気を持って立ち上がったこと。地図を見ながら見知らぬ山に分け入ったこと。堤体を見つけることができたこと。一連の行為について、結果について、まずは喜びたい。

なぜ、堤体に向かうのか。

現状を変えたいと思う気持ち。

砂防ダム等堤体類をもちいた音楽は、現状を変えたいと思う人たちのための音楽である。

その気持ちを持って堤体を目指せたというだけで立派なことだ。

歌える堤体さがしの旅。

肝心なこと。

後悔せず。

今年もまたいろんな堤体に会いに行こうと思う。

銘板
河床には細かな段差がおおい。
なるべく高く、遠くを意識して声を入れた。
グリーンの多い時期も楽しみな堤体前だ。
午後4時すぎまで遊んだ。

本年もありがとうございました

ソーラーパネル

一面に並べられたソーラーパネル。

これが将来、エネルギー不足という事態を迎えた折、ソーラーパネルありがとうとなるのか、やっぱり無用の長物だったとなるのか。

現時点でわからないこと。それはソーラーパネルというものを応援すればいいのか、否定すればいいのかということ。

見た目にはやっぱり良くない。

本来は、荒地で草ボーボーなはずのところ、きっちり長方形に切られた、精密な、正確無比なパネルがきれいに並べられている。

これがなんとも気持ち悪いと感じるのは、人間感覚ならではなのだろうか。

人間以外の動物たちはこれを見てなんと感じているのだろうか。

どのような目的を持ってこのような区画を作り上げたのだと思っているのか。

まさかこれが「遊び」のためだったなんて言えるか。

スマホでゲームをする。好きなテレビを見る。好きな音楽を聴く。娯楽施設へ出掛ける。

現代人の遊びに電気は不可欠だ。

遊びそのものに電気を使うことはもちろん、ガソリンスタンドの利用など、間接的に電気のお世話になっている場合もある。

しかもその対象は広く。大人から子供まで。これは運転免許を持ってあちこち自由に行けるわれわれ大人だけに限ったことではない。

幼稚園児、保育園児、小学校の低学年だって、今や電気が無いなどという条件下では刺激的なエキサイティングな遊びができなくなっている。

子供一人遊ばせるのにスマホが無くてはならない。

親が子の小さな手にスマホを乗せてやる。

図らずもスマホゲームの英才教育。

小さいうちから、遊び=機器を使ってやるもの。で、叩き込む。

そのうち大人から子どもまでみ~んなスマホゲームのお世話になる。

そんな社会が形成されつつある。

ぜいたくは敵だ。

そんな戦時中のスローガンよろしく、人間生活最低限のためのエネルギー利用に切り替えられるならば苦労はない。

やはりそれはムリだろう。

自身だってすでに知ってしまっている。電気を使った遊びを。だから手放せない。そして、どうやらこのことは今後の人生においてもずっとつづくのだということが確定的となっている。

それでもまだ理性的なコメント。ネット上にはそんなコメントが多い。

「発電所を作るなー!」

電気をつかって書き込まれたコメント。

きわめて理性的な行為であると思う。

環境問題どうしたいのか。という問いに対して。

自身は、もう理性的に立ち向かうことをやめることにした。

飽きっぽい性格の持ち主には合わないやり方だと思ったからだ。

それよりも、人々がもともと持っている快楽や欲望というものに訴えかけることにした。

そのほうが人は動いてくれるかもしれない。

今回もまた、堤体前に行って歌ったというエピソードを投稿する。

歌える堤体さがしの旅。

2025年最後の投稿である。

ソーラーパネルには霜が降りていた。

昭和生まれ

12月28日、午前8時25分、山梨県北杜市白州町白須。

スタートはコンビニの駐車場。

気温はマイナス3度。

ピリッ!とした寒さに耐えながら、冷たくなったデジタルカメラを握る。

南の美しき山は雪をかぶっている。甲斐駒ヶ岳だ。

北の美しき山も雪をかぶっている。八ヶ岳。

駐車場となりのソーラーパネル地帯は雪をかぶせてはいないが霜が降りている。

すでに朝日はのぼっていて、その霜の降りたソーラーパネル地帯を太陽がジリジリと照らしている。

こんなふうにパネルを霜が覆っているようでは発電効率が悪いはず。管理人を呼んであげて、水を撒くなりワイパーで削るなり霜を除去するような何らかの処置をしてあげたほうがいいように思える。

几帳面だと言われる日本人の性格とソーラーパネルの管理とが合ってない。洗車大好き日本人を以てして、ここはノータッチということなのだろうか。

それもそのはず、ここには管理人がいない。無人なのだ。

こんな無人施設を発電所というのだから時代は変わったものだ。

仕事がら山に向かう機会に恵まれているが、建設現場だって、キャンプ場だって、ごみ処理場だって、土産物屋さんだって「人」というのは必ずと言っていいほどいるもの。

みんなどこの施設も営業していないのかな?なんて横を通ると、事務所の蛍光灯がポッと点いていて人の気配に安心するものなのである。

やっぱり人だ。人。

AIというものが人並みに仕事をしてくれる時代が来るという。

果たしてそれらが非常事態発生時にきちんと作動してくれるのかどうか。

人だったら、まさに人道的感覚をもって物事に対処してくれるような気がする。だから人のほうが安心だと思っている。

昭和生まれの悲しい性か?

南の美しき山。甲斐駒ヶ岳。
快晴の日の旅になりそうだ。
コンビニを出発するころには霜も解け・・・、

武川米

午前8時45分、コンビニを出発。

午前8時50分、道の駅はくしゅうに立ち寄る。

店内、広いスペースには地元産の野菜がならぶ。産地は釜無川右岸地域である白州、武川。ほか、釜無川左岸地域である小淵沢、長坂、大泉、高根、須玉、明野。

山梨県産の農産物といえばもも、ぶどうの2大果物をイメージするが、旧北巨摩郡武川村を擁する北杜市は稲作のさかんな地域だ。

当地のブランド米「武川米」は日本国内でも最高級の米とされ、もともと高値で取引されてきたもの。

今年も昨年にひきつづき米の価格が高騰した。日本人の主食をになう製品が、まさかこれまでの値段の倍以上になろうとは、だれもが予想しなかったことであろう。

今や新米5キロ¥4000円と聞いて、高いのか安いのかがよくわからない。新米であるから珍重されなければならないのは確か。しかしながら、それで¥4000円ですと言われて、値段をつり上げられているのか、適価なのかがよくわからない。

米の値段だけは本当に相場がわからなくなってしまった。

こんな時は、いっそ一番のものを口にしてみるのもアリかもしれない。感覚が麻痺したような今だからこそ、最高級品に手を出すのもこわくない。

最高級品は迷わない。なんてったって「コシヒカリ」じゃなくて「農林48号」とかいうなんともなんとも意味ありげな、サイケデリックな名前が付いているからだ。

今日はこれくらいで勘弁しておいてやる!

「新米」のシールが貼られていたいなり寿司にした。

2キロ¥3000円オーバーという超高級価格にチビッたわけでは無い。すぐに食いたい。どこで口にするかがウマい、ウマくないの別れ道となるからだ。

堤体前でのお楽しみに購入。どこで食うのがウマいかって、それはやっぱり堤体前ということになる。

道の駅はくしゅう
道の駅内に設置された湧き水スポット
湧き水で手を温める。
こちらの方が気温よりも遙かに温かい。
午前9時の開店とともに店内へ。
農産物、加工品ともに北杜市全域から集まる。
真冬なのに!トマト。
最高級の米。武川米。

尾白の湯へ

午前10時10分、道の駅はくしゅうを出発。

太陽がだいぶ高くなってきた。しかし、まだまだ寒い。

寒さの解決方法は?

温泉!

尾白の湯をめざす。

「白州農協前」の信号交差点から西進。「シャルマンワイン」「しろきや」といった看板を見ながらすすむ。ハッピードリンクを過ぎて、道なりにそのまますすむと北杜市立白州中学校のグラウンドわきへ。

白州中学校グラウンドわきを過ぎたところで右折すると昨年も来た「べるが通り」に。

眼前に見える山に向かって長い長い直線道路をツッ切ると尾白川渓谷方面。直線道路の途中、ひだりに曲がると大武川方面。

いずれの川に入るにしても、まず体を温めたいなら「尾白の湯」へ。尾白の湯はべるが通りの南側に位置するので左折する。

ちなみに尾白の湯は「名水公園べるが」というアウトドアアクティビティの付属施設である。確実に到着するため、名水公園べるが行きの看板にしたがう。

午前10時25分、名水公園べるがに到着。

到着直後のぐるぐる・・・。名水公園べるがはただの公園ではない。

キャンプ場、BBQ場、グランピング、遊具つき公園も備える広大な敷地は20万平方メートルもあるのだという。

それゆえ「尾白の湯」の玄関前に到着するまえに公園内をぐるぐるさせられる。それも車で。

公園内は木々に覆われていてたいへんに心地よい。低いところに生える艶入りの葉はシャクナゲ。シャクナゲがたくさん植えられているあたり、ここは春のシーズンも楽しみなスポットだ。

生えている木々の下を通り、レンガの道を踏み、森の中のハウスを見、場内をぐるぐるしながら行くとようやく「尾白の湯」の建物を見ることが出来た。

午前11時、尾白の湯に到着。さっそく館内に入る。

館内、公園のぐるぐるに反してこちらは直線的。エントランスのある棟から温泉設備のある棟に向かう途中、渡り廊下がある程度で建物はかなりシンプルな作り。

しかしながら、シンプルさのなかにある窓の多さ、エントランス棟の天井の突き抜けるような高さ。これらのおかげで館内は非常に明るい。

南向きの玄関から入って、最奥部の浴場にいたるまでずっと明るいという印象。浴場は北向きながら、やはり高い天井にともなう採光がとれていて、まったく暗いという感じがしない。

露天風呂へは内湯側からドアを開けて行く。ドアを開けた瞬間、猛烈な寒さに襲われたが、それに耐えて眼前に絶景の山を見た。山は八ヶ岳。

無色透明の「白湯」と黄銅色の「赤湯」。露天風呂は2種類の湯が楽しめた。

湯の温度は・・・、アレ?温度計が無い。

どうやら、道の駅はくしゅうで湧き水の温度を測った際、どこかへ置いてきてしまったようだ。

シマッタ・・・。

温度計は拾った人に大事に使ってもらうことにしよう。

年の瀬に思ってもみなかった奉納をすることとなった。

厄年くる年。

数えの四十二。

ただでは終わらせてくれないラストのようである。

べるが通り
尾白の湯へは、この看板を左折。
名水公園べるが内をぐるぐる・・・、
公園事務所
尾白の湯に到着。
北向きの窓辺もこんなに明るい。
露天風呂からは美しき八ヶ岳。

堤体に向かう

午後0時10分、尾白の湯を出発。堤体に向かう。

本日入渓するのは北杜市内、大武川の支流となる「桑木沢」。大武川といえば今年の3月1日に入っていて、そのときのことは「釣り場のじじい」というタイトルで当ブログに投稿している。

めざす車の駐車スペースは当時と一緒。異なるのはスタート地点というだけ。

名水公園べるがを出発。東側サブゲートから出て南進する。

丁字路を右折。尾白橋をわたるとみちなりに進んだ。

「おっぽに亭こっこ」「北杜市白州運動広場」があるあたりが北杜市白州町横手。横手を過ぎると北杜市白州町大坊。

大坊の丁字路からは、3月1日とまったく同じ道。

篠沢大滝キャンプ場の看板前ではY字分岐をひだりななめ前方へ。大武川の左岸道路を走り、大武川砂防堰堤直前では道がおおきく右にむかってカーブする。カーブにしたがって行き、そのまま林道内へ。林道内、1.3キロほど進んだところで橋。橋の名は「篠沢橋」。

篠沢橋をわたりきり、50メートルほどで林道ゲート。この林道ゲート前は車両の転回場のようになっている。

午後0時55分、林道ゲート前。車は転回場の端に駐車した。

東側サブゲートから出て、堤体に向かう。
大坊の丁字路
篠沢大滝キャンプ場方面へ
Y字分岐はひだりへ
大武川砂防堰堤(画像中央)
大武川砂防堰堤直前の林道入口
林道を奥へ
篠沢橋

桑の木沢探勝路

だれもいない駐車スペース。

スラックスを脱ぎ、その下に履いていたアンダータイツを脱ぐ。

駐車スペースから堤体までは歩いて15~20分ほど。近すぎず、遠すぎずの距離。ウエーダーを履いて水中を歩いたりするが、それでもアンダータイツ有りでは暑すぎる。

汗をかいてしまっては逆に冷えてしまう。寒い思いをしたくないからあえて脱ぐ。脱いだアンダータイツは車内に置いていくことにした。

上半身もやはり長袖シャツを脱ぐ。ただし、こちらは一時的なもの。脱いだシャツを腰に巻いて、いつでも着込めるよう準備する。

午後1時20分、歩きをスタート。

先ほど車でわたってきた篠沢橋を戻るようにわたり、直後を左折。看板によれば「桑の木沢探勝路」という林道らしい。もう一枚立ててある看板には「篠沢大滝まで徒歩100~130分」と書かれている。

篠沢大滝に向かう人用に開かれた林道ということだ。その名がキャンプ場の屋号になるほどのものなので、よっぽど見事な滝なのだろう。100~130分歩いた者だけ・・・、というところがまた期待感を掻き立てる。

看板を過ぎた直後には、もう1本の橋が出現。こちらは「しるたる沢橋」。しるたる沢橋もわたりきる。

橋をわたりきったら100メートルほどすすむ。すると動物避けに立てられたネット製フェンスがあらわれる。

フェンスには開口部分があり、こちらを開けることによってフェンスの中に進めるようになっている。

篠沢大滝に向かうならフェンスの内部へ。桑木沢に入渓するならフェンスの直前を左に折れる。

折れたところが入渓点。

午後1時半、桑木沢に入渓。上流にある堤体をめざす。

入渓直後、岸沿いに残雪を確認。これを踏んだ瞬間ツルッといくことは稀だが、靴底に付着したりするので注意したい。どんなに高級な靴底だったとしても、雪が付着してしまえば途端に摩擦力を失ってしまう。

雪の上はなるべく歩かないように。それでもルート上、行きたくなったら雪を踏んですすむ。

雪を踏んでしまったあとにはデコボコの岩の上を歩いたり、砂の上を歩くようにした。靴の摩擦力に頼れなくなった分は地面の摩擦力で補う。

陸上、水中、陸上、水中と交互にすすむ。

午後1時40分、「篠沢砂防えん堤」に到着。

桑の木沢探勝路の看板
篠沢大滝よりも篠沢砂防えん堤のほうが断然近い。
しるたる沢橋
入渓点から
深みのあるところでは陸上を歩く。
ふたたび水中にもどる。
堤体前着。

水の分散

水はきれいに落ちている。放水路天端を横長にひろく使っているところがいい。

冬期の減水期に入ってしまっているなかでの水の分散。

水量は限られ。しかし左右に満遍なく振り分けられていることによって、印象はやわらかい。

ドサッと一点に集中するような落ち方は重苦しく、音も低周波で心地悪い。

今ここに恐怖心を与えるような、気持ち悪さを与えるような水の重さは必要ない。

堤体の水裏側(堤体の下流部側)に設けられた超速の勾配を白泡ともないながらゆっくり落ちてくれている、やさしい感じの落水は親しみやすい。

しかしながら二段構成になった堤体より下流の区間は、ふたたび荒渓としての厳しさを取り戻す。

落ち込み、強く叩き、大石にぶつかりながら下流へとつづく水のすがたを見せてくれる。

高めに保った視線の先には、親しみやすい堤体。しかしながら、その下流を見れば、また音を聞けば、決してやさしいだけの渓では無いということがわかる。

水の分散
水は水褥池へ
護岸がきっちりしていない感じも好きだ。
水は副堤からも落ちて渓にもどる。
デカ石がゴロゴロ。洗掘作用によるもの。
こちらは堤体前一番の巨石。

鳴ったり鳴らなかったり

自作メガホンをセットし、声を入れてみる。

音は鳴ったり鳴らなかったりという展開。

堤体の縦横の大きさ、左右両岸高く続く斜面。大場所と言って間違いない堤体前は谷の左右両岸が開き気味で、音が逃げていく印象に強い。

もっと空間が閉じていて、音が残ってくれるような形状であれば響きが得られやすいはずだ。

真上の空に向かって、左右斜め上の空に向かって。空隙にむかって声を入れていってもやはりなにも帰ってくるものがない。

時折、音が響いてくれるのは風の影響か。

悪いもので、響き=風みたいなイメージができあがってしまっている。

空気が動いたタイミングで響きが得られたという経験は多い。しかしながら、この篠沢砂防えん堤堤体前は両岸が開きすぎている。

見た目から受ける印象がかなり難しい堤体前。しかしながら、うまく鳴ってしまう瞬間があるので逆に戸惑う。

結果として音は響いてくれている。けれども、その理由が不明なため、なんとも釈然としない感じだ。

左岸側
右岸側
銘板
およそ南西向きの堤体。
風は吹いたり止んだりという展開。
空間を広々と利用する
石の上の立ち位置。

無事に完結

結局、この日は午後3時50分まで堤体前で遊んだ。

堤体前にたどり着けたこと。

堤体前に立って歌えたこと。

歌い終えて、帰ってこれたこと。

一連の行動が無事に完結でき、良かった。

ことしも一年、堤体前という空間に通って歌うということをくりかえした。

大きな堤体から小さな堤体まで。砂防ダム等堤体類というものがバリエーション豊富にあるなか、いろいろなところに出掛けることができた。

また、その旅のほんの一端ではあるが、こうしてディスプレイ越しにいろいろな場所を紹介することが出来た。

不思議なもので、こんなところがあるよ。と、さまざま書いていくなか、自分自身にも気づきというか学びのようなものが生またりして、いろいろと勉強することが出来た。このことがまた、幸せなことであった。

山のことは山の人たちがうまくやってくれているだろう。

川のことは漁協の人たちがうまくやってくれているだろう。

生態系のことは研究者たちがうまくやってくれているだろう。

すでに報道にあるとおり、希望的観測ふくめた街の人たちの思いは、残念ながら実体に即してはいない。

高齢化とか公金の不足とか規制の甘さとかいろいろなことが言われているが、しかし、一番ヤバいなと思うのはやっぱり、

人がいないこと。

人がいないから何も語られなくなっている。良くない出来事が起きているのに、それを知る人がいない。知らないから、伝えられない。逆に、良いことが起きているのに、それが知らされない。拡散されない。

人がいて、見ていなければ絶対に対策には繋がらない。

山に川に人が来られるような仕組み作りは、早急に解決されるべき課題である。

自身においては引き続き、砂防ダム等堤体類を使った遊びとして音楽というものを薦めていくこととします。

堤体前の広い空間で歌う気持ちよさ。

その快楽、その欲望に火を付けるような文章がもっと書けるようになれば、フィールドはもっと良くなるかもしれません。

本年もありがとうございました。

来年もまたよろしくお願いします。

立ち位置は、いろんなところを試してみる。
この平坦地は旧河床なのか?
今度はそこから声を入れてみる。
腹が減ったので、いなり寿司を取り出す。
堤体前で食うメシはやっぱりうまい。
堤体前。自由気ままに過ごした。
本年もありがとうございました。

駅から徒歩で行ける堤体

吉久保ガード

駅から徒歩で行ける堤体はじつはとても理想的といえる。

砂防ダム等堤体類をまえに歌うということのメリットのひとつに環境負荷が少ないということが上げられるからだ。

今すでにある堤体を利用し、そこで音楽をおこなう。

電気もガスも水道も使わない音楽をする。

川も森林も太陽もすべてが自然エネルギー。自然エネルギーを利用し、長期持続可能なかたちで音楽をする。

堤体前に立って歌っているそのときだけを考えれば、環境負荷においてほぼこれにかなうものは無いといえるのではないか。

砂防ダムの音楽は環境にやさしい。

であるからこそ、唯一の欠点。このことで頭が痛い。

唯一の欠点は、堤体までの移動において環境負荷が生ずること。

山に向かわなければならない。坂を登らなければいけない。長距離を移動しなければならない。

やはり車というものが手放せなくなってくる。

秋の紅葉シーズン。

この時期は日本各地で交通渋滞が起きるのだと聞く。

木の葉っぱが紅に黄色にいろ付く季節。

じつに日本人の「粋」な趣味であろうとおもう一方、その行動によって多くの温室効果ガスが空気中にばら撒かれている。

静寂の植物観賞のうらで、せかせかと排気ガスを吹き上げるエンジンのことを考えるとやはり気分は晴れない。

美しいことをやっているように見えて、じつは犠牲をだすような行為をしているのが憎い。

音楽の美しさとか、音楽のすばらしさを説くなら、そういった見えにくい部分についてもしっかり矛盾無くクリアされてなければならない。

移動において。

移動においてはこの上なく、配慮されたかたちで行われることが理想的だ。

なにが一番理想的なのか。

電車だったら環境負荷を抑えることができる。

一度に人を大量輸送できるから。

各個人で自家用車を出すより効率がいいから。

電車に乗って最寄り駅まで。

そして、

電車から降りて歩いて堤体へ。

駅から徒歩で行ける堤体。

この移動こそがもっとも理想的なのだ。

JR笹子駅前

問題アリ

問題アリである。

申し訳ない。

???

冒頭いろいろ偉そうに書いてしまったのに、

車で来てしまった・・・。

という暴露から話しははじまる。

11月16日、午前11時15分。山梨県大月市笹子町黒野田。JR中央本線笹子駅。

駅前駐車場に車を停めた。

駅前駐車場は、

タイムズのB笹子駅駐車場。

タイムズのB駐車場といえば自身が静岡県時代から大変お世話になっている駐車場だ。

運営はタイムズ24という会社。

あの駐車場のタイムズである。

以下はタイムズのBのつかいかた。

スマートフォンで「タイムズのB」のサイトにアクセスすると、トップ画面に検索窓があらわれる。

この検索窓に都道府県、市町村などを入力すると、地図があらわれて駐車場の位置を示してくれる。

駐車場は駐車料金の書かれた吹き出しで示してくれるのでまずはそちらを確認。駐車料金は一日あたりの駐車料金である。さらに吹き出しのところをタップすると、駐車場の名称や代表画像を見ることができる。

代表画像のタップで駐車場の予約画面へ。予約画面では駐車可能な車のサイズや利用時間、予約可能な日にち等、より具体的な利用条件を確認することができる。

利用条件を確認してオッケーならば、あとはクレジットカードの登録、利用する車の車種の登録、ナンバーの登録などを済ませたのちの決定ボタンで予約完了となる。

自身が使ってみての感想としては、コインパーキングも無いような田舎において駐車場が確保できること。このことが大きい。

砂防ダム等堤体類を追いかけていれば田舎に行くのは当たり前。そんな中で、きちんと駐車場を確保することができる。

さらにスマートフォンひとつで予約~決済までできる手軽さが良い。

駐車場に空きさえあれば、当日予約も可能。

気象条件の急激な変化、堤体前環境の予想はずれなどにより、出掛ける先が急きょ変更になった場合でも駐車場を確保することができる。

ちなみに、まさしく今回は予想はずれが起こった。急きょ大月市笹子に入ることが決まったのであるが、前日の11月15日に予約をすることとなった。

まさかの前日予約。

祈るような想いでサイトを開いてみたところ、なんと運よく空きがあって予約を入れることができた。

秋の紅葉シーズン真っ只中という状況下、しかも日曜日の予約である。

本当に運が良かった。

予約は早い者勝ち。長いところでは13日前から予約を入れることができる。今回予約することができた笹子駅は4日前から予約を入れることが出来たようだ。

車を停められて一安心。

これで本日のスタート地点が出来た。

タイムズのBは予約制の駐車場だ。

北条氏綱

腹が減っては戦ができぬという言葉は北条氏綱という人が言った言葉らしい。

では、北条氏綱のことばを借りて、

「腹が減っては戦ができぬ!」

笹子駅ちかくの笹一酒造へ歩いて向かう。

午前11時25分、笹一酒造の付属施設であるSASAICHI KRAND CAFEに到着。

店に入り席に着く。するとさっそくお冷やが運ばれてきた。だが、なにやらコレが普通ではない。

「笹一酒造の仕込水」と書かれた中瓶が、水を注ぎ入れるためのコップとともに渡された。

さて、どんなものかと・・・。

口に入れてみるとじつに雑味のない水。

うまい、まずいとかじゃなくて、とにかく味がしない。

良い水なのだなということがわかる。

水に感心していると注文していた品「笹一酒粕ほうとう」が運ばれてきた。

こちらは本当にうま味の濃いスープで作られたほうとう。やはり酒粕がその濃さにつながっているようでクセになる。

このクセにはまってしまい、スープは全部を飲み干してしまった。

そしてなんとなくからだに良さそうなところもまた心地よい。

このほか、当日は口にすることがなかったが、同じく酒粕をつかった「かき氷」がこの店の名物とのこと。

こちらはもっと暑い時期にチャレンジしてみたい。自身は下戸なのだけれども、ほうとうは完食。おいしくいただくことができた。かき氷のほうも期待大だ。

再訪を誓い、店を後にした。

SASAICHI KRAND CAFEへ。
笹一酒造の仕込水
笹一酒粕ほうとう
甘味、コーヒー、お茶、アルコールなども楽しめる。
窓からの景色もよかった。

笹子駅で準備

午後0時10分、笹一酒造を出発。

午後0時15分、ふたたびタイムズのB笹子駅駐車場に到着。

「駅から徒歩で行ける堤体」だ。

歩こう。

駐車場に停めた車のハッチバックを開け、入渓用の装備をとりだす。

今回は背負子スタイルで堤体に向かう。ウエーダーを履くのは、堤体至近にたどり着いてから。

堤体前までの距離はおよそ3.0キロ。3.0キロなのだけれども、やはり登り坂をともなった道が待っているため、まずは薄着でスタートする。

上半身はTシャツのうえにジャッケットを1枚だけ。下半身は防寒タイツを履かずにスラックス1枚だけ。

少し迷った。なぜならこれから年明け1月・2月の厳寒期でも同様のシステムで動いているからだ。

暑すぎはしないか?

しかし、よくよく考えれば厳寒期には新規開拓をすることが多いから遡行がメインとなる。

今回のように道路歩きメインの(このあと道路歩きメインの行程が待っている。)行程とはまた少しちがっている。

まぁ、少なくとも危機を感じて流すような冷や汗とは無縁であろうから、心穏やかに歩けるはず。考えるべき課題は、ごくごく単純な歩行運動によって発生する熱のことだけだ。

あとは、到着後。堤体前でいかに快適に過ごすかということも忘れず。

移動時の状況。足が動いている。それに反して、堤体前で歌っているときには足が止まっている。

寒くなる。

そのときのための防寒着も忘れない。

吸汗発熱素材の長袖を腰に巻いておく。

これならショルダーバック等を重量増させることなく持ち運べる。

動いているとき、止まっているとき。双方の状況を想定し、準備をすすめた。

ふたたびの笹子駅で準備。
笹子駅。無人駅だ。
観光パンフレットと山の案内図。
やはりここもまた山のさかんな地域だ。
駅前の案内図

堤体に向かう

午後0時50分、準備を終えタイムズのB笹子駅駐車場を出発。

まずは「笹子駅入口」丁字路信号の横断歩道をわたる。

スタート早々。

予定通りの。

ショッピング。

「みどりや」に立ち寄り笹子餅を購入。

再スタート。

東進するとふたたびの笹一酒造。笹一酒造のまえを通過し、笹子川橋をわたる。

午後1時10分、富士急バス「吉久保入口」バス停に到着。左折し、JR中央本線吉久保ガードをくぐる。

吉久保ガードをくぐったあとは丁字路を右折。「稲村神社」にむかって歩き、神社の直前で左折。

道なりにすすんでいくとやがて進路は東進から北進に変わる。

中央自動車道にかかるオーバーブリッジ「原平橋」をわたり、さらに北進をつづけると動物遮断用のフェンスが登場。

午後1時35分、動物遮断用のフェンスを開けて通過。通過の後にはフェンスを閉じる。

フェンス直後の櫻公園では小休止。公園の中央には大鹿川が流れており、川のようすをチェックする。

異常なし。

ここで公園の少し下流に注目。少し下流にはなんとも年季の入った石積み堤を確認することができる。

これが少なく見積もって50~60年モノの堤体。なのだがいろいろと不明。銘板を探してみたのだったが見つけることが出来なかった。ちなみに櫻公園自体はこの石積み堤堆積地にできた公園ということになる。

午後1時55分、櫻公園を出発。

橋を一本わたり、道幅の狭いスギの林間道を登っていくと、沢の音が一段と大きくなった。

堤体だ。(堤体名不明)

堤高は20メートルほど。堤長もかなり長い堤体。

惜しむらくは左岸側にはっきりとしたブルドーザー道がこしらえられてしまっていること。渓畔林が育つ環境とはほど遠い。いや、もし仮に生えてきたところで妨害樹木でしかない。なんて言うより先にシカたちのえさになるのが現実か。

土木工事用に付けられた、なんとも無機質な砂利道。

敷かれた砂利をふみ鳴らして堤体を巻くことができた。そのことが唯一の救いであった。

堤体の堆積地へ。

ここで背負子を下ろしウエーダーに履き替える。ここからは渓行になる。

堤体の直前までスニーカー履きで来られたのは非常によかった。スニーカー歩行によるスムーズかつ疲労感少ない移動は非常に効率的なものだった。

午後2時25分、ウエーダーに履き替え、歩行を再開する。

堆積地の小石を踏みならし、倒木を跨ぎ、スギの林間を抜けるように遡行していくと目の前に堤体が出現した。

午後2時40分、「大鹿川砂防ダム」に到着。

みどりや
みどりやでは笹子餅を購入。
笹子川橋
稲村神社
歩きのコースは滝子山の道しるべにしたがう。
山がいい色している。
細かいところを見られるのも歩きの良さ。
動物遮断用のフェンス
櫻公園(奥にあるのが石積みの堤体。)
スギの林間道
ブルドーザー道
堆積地へ
ウエーダーに履き替えてすすむ。
大鹿川砂防ダム

陸地

水は湛水し帯状に落ちている。

水の落ちる先は水タタキ。水タタキ区間を通過後、水は左岸側に向かうとそのまま護岸に寄り添い下流へとつづく。

護岸の長さは70ヤードほど。

しばらく水と護岸は並行し、護岸が切れ目に達する直前、見計らったように水は護岸から離れて下流へ。

なんとも目をもった生き物のような川である。しかし、実際のところは川の中央一帯に生える渓畔林の影響であろう。

堤体供用開始より上流から流れ着いた微量の土砂が先駆性樹種「フサザクラ」を育んだ。そのフサザクラの幹や根が流れの抵抗物質となって土砂をせき止める。

そこにさらに、また別のフサザクラが生える。このフサザクラの幹や根がまた流れの抵抗物質となって土砂をせき止める。

以降その繰り返し。

結果的には川の中央付近にフサザクラの渓畔林と大量の土砂が残る。行き場を失った川の水は、片岸側につくられた直線状の護岸に助けられ、どうにか土砂の圧力に負けることなく流れを保つという格好になる。

左岸側の護岸に寄り添って流れる水。対して、川の中央付近は完全な陸地。

この陸地を立ち位置にする。プレーヤーは、正面には放水路天端から落ちる水を見、足元には水が流れていないという状況に立つ。

陸地に立って歌えるのだから、これは始めたての人でも比較的違和感なくやれるのではないだろうか。

水の上で歌うなんて・・・、という否定的な人にもきっとエントリーしやすいはず。

いろいろと期待をさせてくれる堤体前だ。

鋭くスリムな落水。
赤サビも景色と馴染んでいる。
左岸側に追いやられた流れ。
左岸側護岸上
右岸側護岸上
公園のような雰囲気をもった堤体前だ。
陸地には落ち葉が積もる。

転石・段差の少なめな河床

自作メガホンをセットし声を入れてみる。

鳴る。

それもかなり心地よく。

視界の先にある堤体本体、左右両岸、いずれもコンクリート物質に囲われた空間であるが、きちんとその外側、広い範囲で声が鳴っている。

護岸より高いところ。内側には広葉樹が生え、外側にはスギ。

声はちゃんととスギ林の深いところまで届いて、その奥から返してくれる。

ノイズと声とのバランスもいい。

やはり堤体前はコンクリート物質に囲われた空間。ノイズ自体もその空間内を支配しようと響くのだが、声で負けることが無い。

そもそも転石・段差の少なめな河床は、ノイズ発生源に乏しい。コンクリートの壁の中で音を支配しようとしたところで元々のパワーが小さい。

ノイズ攻略が「壁」によって難しくなることがある。しかしこの場所の場合、元の力が大きくないため脅威とはならない。

しっかりとしたノイズが襲ってくる堤体前という印象。しかしながら、そのパワーにおいてはヒトの声で十分対応できるレベルにあるといえそうだ。

銘板
風は無風
北西向きの堤体
立ち位置は響きをもとに設定する。
公園・街路樹のような空間が心地いい。

良いものが出来れば

結局、この日は午後4時半まで堤体前で過ごした。

今回入った大鹿川砂防ダムは駅から徒歩で行ける堤体である。

歩きで行けることによって、冒頭記したような環境負荷をおさえる遊びが展開できる。

ほかには?

誰にでも行ける堤体。これが実現できるであろう。

砂防ダム等堤体類を前に歌うという行為を提案している。しかし、これが一部の人にしか実現できない遊びであったら面白くない。

子どもから、お年寄りまで。金持ちから貧乏人まで。歌の上手い人から歌の下手な人まで。

だれにでもやれる遊びでなくてはならない。

遊びとしてやること。また、遊びを研究すること。その発展にも期待をすることができる。

音楽的なこと。それだけで見たって、まだまだ上手くいかないことが多い分野である。

堤体前について。もっともっと万人受けする居心地のいい空間というのが作れるかもしれない。

一部の人たちだけがアレコレ悩み、答えを出すというのもひとつのやり方。一方で、もっともっと多くの方に砂防ダムというものに触れてもらうなかで、解を出せる人物を待望するというのもまた魅力的なはなしだ。

結果が出せれば何だっていいはず。

良いものが出来ればみんながそこで遊べるようになる。

そのきっかけとなるように。

まずは多くの人が堤体前にたどり着けるように。

理想のために。

駅から徒歩で行ける堤体。

誰にでも行ける堤体。

今後はこういった堤体さがしもやっていきたいとおもう。

歌える堤体さがしの旅はつづく。

午後4時半まで堤体前で過ごした。
フサザクラ
オニイタヤ
オオモミジ
ヤマグワ
アブラチャン
ウツギ
オニグルミ

堤体の産地間競争

玉川の谷止工群


山でおこなう響きづくり。

やるならやっぱり木が生えているところがいい。

木がいっぱい生えていて、森林を形成しているようなところ。

実際そういったところで歌ったり声を出したりすると、音が非常に豊かに響いてくれることがわかる。

これぞ森林の機能。見た目がいいとか落ち着くとか、利点はそれだけでは無いのだ。

そんなことを考えて。

そんなことを考えてみると、もはや堤体前で無くたっていい。

堤体前で無くたって、森林のなかで音楽を成立させていけばいいのでは。

わざわざ堤体前に行かなくたって。

堤体前に行く必要性。本当にあるの?

そもそも、なぜ堤体を音楽に利用しなければならないのか。

堤体は丸太張り
本体はしっかりコンクリートで出来ている。
人間の足跡は皆無。代わって動物の足跡。
ガブガブやったのはイノシシか?

集合場所としての機能

堤体を音楽に利用する理由は?

①堤体が声を当てるための壁になるから。

②堤体がノイズの発生源になるから。

③堤体がプレーヤーにとっての歌うための目標物になるから。

④堤体が明かりの供給源になるから。

⑤堤体とその周囲の見た目(一定ではない)が、プレーヤーの心境に影響をおよぼすから。

⑥直線をともなう建造物は方位を持つ。方位と太陽光との関わりを考える戦略的な遊びができるから。

⑦似て非なるもの(各地の堤体において、どれもが似たようなフォルムでありながら、堤高、堤長はじめとする長さや形状がちがっている。)を相手にするなかで、お互いを比較して遊べるから。

音楽を楽しむ上での特性をあげれば数多い。堤体相手に歌うことで、他にはない、より高い満足度につながる音楽ができるはずである。

音楽以外のことではどうか。

集合場所としての機能。

GPSの時代である。

座標で示す。この方法を使えば、森林中のとある地点だって、原っぱのど真ん中だって、どんなところでも数値で指し示すことができる。

数値をもとに集合場所を設定することができる。

「今度の演奏会は北緯35度○○分○○.○○秒、東経138度○○分○○.○○秒で行います!ライフジャケット、ヘルメット必装で当日参加も可能です。みなさん奮ってご参加ください。」

・・・。

これは違和感アリまくり。

ちゃんと建物名で呼ぶのが一般的であろう。

堤体に当てはめてみる。

「今度の演奏会は○○川の○○川第1コンクリート堰堤で行います!ライフジャケット、ヘルメット必装で当日参加も可能です。みなさん奮ってご参加ください。」

おっ?

なんと。堤体名が建物名のかわりになるので、意外と歯切れ良く伝えることができるではないか?!

木の群生地。
木はオオバアサガラという木。
オオバアサガラ(葉表)
オオバアサガラ(葉裏)

堤体さがしのロマン

10月19日、午前7時、山梨県北都留郡小菅村。

砂防ダム音楽家のブログだ。たまにはストレートに堤体前から始めてみようということになった。

小菅村内、国道139号線「玉川」バス停から新玉川橋をわたり、林道を2キロほどすすむと冒頭からの画像にあるような堤体群に出会うことができる。

計5基の谷止工群。5基ともすべてコンクリート製。うち上流3基が水表・水裏丸太張りの堤体で、下流2基がコンクリートむき出しの堤体である。

当日の状況としては、最上流の1基目から2基目までが伏流。2基目から最下流の5基目までが湛水(水が滝のように流れ落ちている状態)。

風は無風。曇天で、いまにも雨が降り出しそうなそうな上空は天気予報どおりの空模様といった感じであった。

さて、冒頭からの話しのつづきであるが、この堤体群を集合場所にするということで仮定した場合、文章化するにはどうすればいいか。

やはり最も歯切れ良く伝えることができる方法は、○○堰堤とか、○○治山ダムという感じで、堤体名を用いること。

堤体名。それを知るのは銘板から。

銘板を読んでみる。

平成29年度

治山事業

施行地 玉川

工種 谷止工

施工主体 山梨県森林環境部

請負者 (株)丸一土建

堤体名は?

う~ん・・・、

無い。

これでは文章化できない。

堤体というものが山に存在するということを考えて。堤体というものが山に存在するということから考えて「堤体さがし」というのも、これは砂防ダム音楽家としてのひとつの楽しみなのである。

自らの足で。

自ら歩いて。

見つけた堤体。

玉川の谷止工群。当地は一級河川「多摩川」に属する治山設備だ。その点から考えれば、こんな山奥の堤体にだって中央省庁の書棚の一冊には、それらを指し示す正式名称というものが一個一個書かれているのかもしれない。

「小菅玉川第○谷止工」のような・・・。

だが、そんな資料から名前を引っぱってくるということが、果たして許されるのであろうか。堤体さがしのロマンという観点から見て、高まる感情を台無しにしてはいないか。

堤体名は自らがその場所に降り立って、自らの目で見て知る。

その名は銘板によって知る。

そうすると決めている。

銘板からその名を知り、さらに「歌う」という行為を通じてより深く堤体に慣れ親しむ。

ここまでするから面白い。

響きの良くない堤体だ。見た目の良くない堤体だ。そんなことは、じつはどうでも良い話し。

苦労して、その場所に降り立ったこと。

何十年も昔に作られた、何という堤体なのだということを知ること。

堤体を見つけた喜び。

そういった思いも込めて歌うこと。

これぞ堤体さがしのロマン。

堤体さがしという行為に端を発して、生まれる感情というものを一番大切にしていたい。

銘板には「治山事業」「谷止工」とあった。
ヘビイチゴ
フサフジウツギ
ヨウシュヤマゴボウ
稜線美し小菅村。

午前11時15分、自家用車に乗り込み谷止工群から離れる。

いつの間にか雨が降ってきていた。雨は弱い雨で、車のワイパーを一番遅いものにしても対応できる程度の雨である。

林道を下ってゆく。

林道の途中にある「玉川キャンプ村」のサイトをを見ながら、土の道を下ってゆく。

午前11時20分、新玉川橋をわたり、国道139号線へ。国道139号線を西進する。

ほうれんぼうの森、チャーちゃんまんじゅう、多摩清流苑小菅浄化センターまえを通過。

平山キャンプ場、奥多摩山草園の入り口も通過すると、左手に田元橋があらわれた。

午前11時40分、田元橋をわたり、さらに丁字路を左折。

ヤマブキの丘(植えたヤマブキらしい。)を越え、山沢橋をわたって坂道を登ってゆくと、やがて「道の駅こすげ」の看板があらわれた。

正午、道の駅こすげに到着。

新玉川橋
新玉川橋、玉川キャンプ村の入り口看板
田元橋(左端)
看板にしたがい、道の駅こすげに向かう。
道の駅こすげ

麺屋梅ノ木

車のルーフをたたく雨。

相変わらず弱い雨が降っている。

さて、どうしたものか。道の駅こすげに到着する直前、距離にしてわずか200メートル手前。「麺屋梅ノ木」の状況である。

こちらは味噌ラーメンの銘店。

銘店とわかっていながら、日曜日の真昼のピークタイムまで放置してしまった自分自身が悪い。

来店を予定していたのであれば、谷止工群をもっと早く切り上げるべきだった。

満車に埋まる店先の駐車場と、来店客の行列。

闘わなければいけない。

その味にたどり着きたいのであれば。

行列との闘い。しかしその様子をあらためて想像してみて、やっぱり闘う気が失せた。

車を降り、道の駅内の「道の駅こすげ物産館」へ。

物産館にてちょっと買い物。

物産館での買い物を終えると、同じく道の駅内の「源流レストラン」に向かった。

午後0時25分、源流レストラン店内へ。

店先の券売機。

「とりあえず迷ったらコレ!」と。

郷に入りては郷にしたがう。

券売機で食券を受け取ると店内へ。

店内、道の駅のレストランにしては洒落た感じがする。

使い古したピザ窯が置かれていたり、レコード盤ほどもある大きなコースターが並べられていたり、ドライフラワーが飾られたりしている。

源流の「流」の字を店名に使用しているが、もっと動きの無い静かな空間といった感じだ。

商品の出来上がりは、ブルブル震えるカード型の機械が教えてくれた。

皿は客側が受け取りに行くシステム。これなら店員がホールをあたふた駆け回らなくて済む。

温かいパスタ。

落ち着いて食事をとることが出来た。

源流レストラン
決済は券売機でおこなう。
店内へ
道の駅のレストランにしては洒落た感じがした。
勧められたメニューは大当たり!!(ペペロンチーノ)

戦闘基地

午後0時50分、道の駅こすげのとなり「小菅の湯」へ。

鍵付きの小さなロッカーに靴を預け、券売機にて入館料を支払う。券売機はさきほどの源流レストランと同じ音がする。当たり前だ。券売機の機種が同じなのだから。

受付を済ませ、さっそく男湯に向かう。男湯ののれんをくぐり浴場内へ。

とても豪華な施設。

内湯は大風呂の四角い湯船が一つ。大風呂の半分程度の寝湯が一つ。円い浴槽のジェットバスが一つ。

打たせ湯が二つ。かけ湯、水飲み場が一つずつ。

洗い場は全部で16あり、うち一つは「爽快!ボディーシャワー」という名の強烈な全身シャワー。

サウナは6~8人くらいが一度に入れる広さ。サウナを出たあとは「源泉水風呂」でクールダウンすることができる。

露天エリアは岩風呂が一つ。五右衛門風呂が二つ。リクライニングチェアーが三つ。「イベント風呂」と称する、大きなひのき桶風風呂が一つ。

更衣室内、無料ロッカーは全部で136。

浴場内から出ても勢いは衰えず。

休憩室は5部屋。休憩室とは別に食事処が1。有料の予約室が2。

全くもって村営などとは思えない規模の日帰り温泉施設である。もはやスーパー銭湯と言われるような入浴アミューズメント施設と同等の設備内容だ。

先の源流レストランでも感じたことなのだが、設備投資という名のギャンブルが上手い。しかも単純にお金を掛けたというだけでなく、センスある作りなのである。

おもえば東に隣接する自治体は西多摩郡奥多摩町。つまり東京都ということになる。

対東京仕様となるとこれくらいやるのか。東京都内の公営・民間入浴施設と闘うことを考えると、これくらいの規模でやるのが普通なのか。

いや、リピーターというところまで考えるとこれは正しい選択。お情け無用のガチンコ勝負をやっていくには、これくらいの設備投資が必要になってくるのだろう。

温泉。その産地間競争。

争いに勝つために完全武装した戦闘基地を見た。

「小菅の湯」へ
村営とは思えない規模の日帰り温泉施設だった。。
休憩室だけで5部屋もある。
今度来たときはこれにしようか?
食事処も豪華な感じだ。

入渓の準備

午後1時45分、小菅の湯を出るとふたたび道の駅こすげの駐車場にもどった。

雨はいつの間にか止んでいた。

入渓の準備。

本日向かうのは、道の駅の西側を流れる「山沢川」の堤体。

道の駅からの距離は800メートル。道の駅至近の堤体。選択した移動手段は徒歩。

道の駅駐車場で準備をして、堤体に向かう。

北都留郡小菅村。

ご多分に漏れず。

山梨県郡内地方に属する山間地域の村は、ご多分に漏れず登山家たちにとっての恰好の遊びのフィールドなのである。

山は鶴寝山、奈良倉山、三頭山など。

山の頂をめざす登山家たち(トレイルランナーたちも)の発着地点として、道の駅こすげが利用されている。

したがって道の駅駐車場という場で、アウトドアーマンとしての装いに身を包むことにためらいは無い。

頭の先から足の先まで、ゴリゴリの山人間になってやろうと思った。

ただ、一点だけ。

本日向かうのは河川である。

河川に入渓する。それなりの配慮が必要になってくる。

山梨県内、銘渓として名高い「小菅川」。小菅川といえば、小菅村漁協のきわめて意欲的な管理下に置かれた川である。ならば同時に、小菅川の各支流においてもその温度の高さがあるのだということを忘れてはならない。

本日、入渓する山沢川はまさにその小菅川の支流にあたる川。全面禁漁区の川。

もちろん、魚の採捕を目的として川に向かうのでは無い。だからといって無頓着であってはいけない。川に向かう自身の装いについては、気に留めておかなければならない。

釣り人に見間違われるような格好をしている。

過去には「声かけ」を経験した。(これは小菅村ではなく別地にて。)そのときは事情を説明して相手方の理解が得られたものの、わざわざ漁協関係者にご足労いただくカタチになってしまった。このことについてはきちんと反省しなければと思っている。

同じ過ちを繰り返したくない。

ちょうど良いあんばいというのを探りたい。

背負子をせおうことにした。背負子にウエーダーを搭載することで、見た目上の刺激を少なくできるだろうと考えたからだ。

背負子、ウエーダーほか、フローティングベスト、ヘルメット、グローブ、登山用ポールなどはいつもの通り。

渓行には「チャーちゃんまんじゅう」をお忘れなく!
道の駅内の観光案内スポット「ふれあい館」
11月1日は大地の恵みまつり
ウエーダーは背負子に搭載した。
ポールの先は登山家仕様で。

ヤマグルマ

午後2時05分、道の駅こすげを出発。小菅の湯の西側に延びる下り坂をおりてゆく。

午後2時15分、柿の木がある丁字路にさしかかった。丁字路は左折。

林道を歩く。

日曜日だというのに天気予報の雨予報が効いているのか。登山客とすれ違うことがない。

おそらく堤体前は貸し切りになるだろう。堤体前もそうであるし、堤体のすぐ横を通る林道も通行人なしという状態で。

山というフィールド。そこで歌うこと。人がいない。これもまた堤体前の音楽の特徴の一つ。

午後2時35分、「ヤマグルマ」の看板に到着。

ここで背負子を下ろしウエーダーに履き替える。

ウエーダーとは腰の高さまである防水長靴のことである。(履き替えるときにズボンは脱がなくても大丈夫!野外でも更衣室はいらない。)

午後2時55分、ウエーダーに履き替えたところで堤体前に向かう。堤体前に向かう経路については「ヤマグルマ」の看板にしたがう。

斜面に付けられた丸太階段を降りてゆく。急斜面に付けられた丸太階段も登山用ポールの補助を受ければ難なく降りてゆくことができた。

午後3時、堤体前着。

下り坂(小菅の湯の西側)
柿の木の丁字路。
おっ、
秋だ。
こんなところにも。
「ヤマグルマ」の看板に到着。
ウエーダーに履き替える。
「ヤマグルマ」の看板にしたがう。
登山用ポールの補助を受けながら降りた。

片落ち型

水は放水路天端全体から落ちている。しかし、水の偏りが強くほとんどが右岸側に集中している。

右岸側は天端の底を切ってドサッと落ちていて、対する左岸側は堤体水裏表面に膜を張るようにうすくうすくゆっくりと落ちている。

左右均等に・・・、とはいかないが、水量のあまり多くない沢の堤体で勝負する(堤体の産地間競争)ことを考えると、こういったカタチもありかもしれない。

「片落ち型」とでも言おうか。見た目としてはあまりきれいなものではないが、水が片側に集中して落ちることによって、しっかりとしたノイズを発生させている。

天端から落ちた水は水タタキ上に乗り、高さ1メートル程度の落差で完全に堤体から離れる。

以降、水は堆積地上(さらに下流に堤体がある。)のゆるやかな勾配を下る。

バックホウによって河道改修された直線的な流路は幅10メートルほど。左岸側すぐには植林地の斜面が迫る。対して右岸側は幅10メートル程度の平地。

まるでレジャーシートを敷いてピクニックが出来そうな縦長のスペースが出来ている。

樹木は左岸側がスギの植林地。堤体から30ヤード付近にカヤの大木。50ヤード付近にオニイタヤが数本。

右岸側は堤体本体から下流に向かってフジキ、チドリノキ、ヤマグルマ、ケヤキ、サワグルミ。

全体的にはスギに囲われた空間になっている。河道改修でできた直線的なアルミサッシ断面は左右両岸の樹木によって、横、ななめ方向からの採光がおさえられている。しかし、流路の真上はしっかり空まで遮蔽物なく抜けている。

夕方ゲーム・夜闇まえ向きの堤体前か。

森林による暗がりが有りつつ、採光を得る森林の切れ目(樹冠の切れ目)もしっかり確保されているという状況。

明るい時間帯では暗がりの性能に頼り、空が闇に落ちる寸前では採光からの光に頼る。

夕方ゲームの浅い時間帯にも、深い時間帯にも、ともに楽しめそうな空間だ。

水が右岸側に偏っている。
しかしノイズの大きさを考えれば利点とも言える。
右岸側
左岸側
右岸側にはピクニックが出来そうな縦長スペースが。

ガンッ!

自作メガホンをセットし、声を入れてみる。

設定した立ち位置は堤体から71.5ヤードの地点。

声が心地よく鳴っている。

とくに響きが良くなるのが、水平方向よりも上を意識したとき。

水平方向を向いて声を入れるのではなく、若干うえを向くような感じで声を入れてみる。

若干うえを向くほうが、樹木に声が当たりやすい。やはり、山でおこなう響きづくりにおいて樹木は欠かせないのだ。

「全体的にはスギに囲われた空間」とは前述したとおりだが、そのスギ林全体がガンッ!と鳴ってくれている。

距離は71.5ヤード
方位は210度
風は無風。
上を意識するとよく鳴ってくれた。
チャーちゃんまんじゅう
この生地の甘さとみそのしょっぱさと。もう最高!

あだ名

結局この日は、午後5時まで堤体前で過ごした。

堤体前での響きづくり。そのためには樹木の存在が欠かせないのだということを再認識したゲームとなった。

また、樹木に囲われた堤体前。予想に違わず夕方ゲームの浅い時間帯にも、深い時間帯にもしっかり歌って楽しむことができた。

惜しむらくは・・・。

惜しむらくは、堤体に銘板がないこと。(銘板が見つけられなかった。)

なんと午前中におとずれた玉川の谷止工群同様、この堤体にも銘板がない。

堤体名を知ることができない。しかし、集合場所としての機能を果たすためにはやはり呼び名が必要だ。

どうするか。

あだ名を付けてはどうか。

この堤体にふさわしいあだ名を。

この堤体固有のあだ名を。

ヤマグルマ堤。

ピクニック堤。

こすげ夕暮れ堤。

どんなあだ名がいいだろうか。

ほったらかし温泉。

信玄餅。

森の中の水族館。

ハーブ庭園旅日記。

富士山駅。

チャーちゃんまんじゅう。

やはりネーミングは大事だ。

堤体の産地間競争。

将来、本当にそんな時代が来るというならばテキトーに付けた名前ではいけない。

ライバルに勝つためには少しでもいい形でアピールしたい。少しでも競争力がアップするような名前を付けたい。情報あふれるネット社会のなかで効果的にはたらく名前を付けるようにしたい。

日本的な名前がいいか。

横文字系でちょっと長めな名前がいいか。

ただの物体的な特徴だけで名付けること。地名を頭にしたような名前を付けること。そんな昭和流の慣例にしたがう必要はもうあるまい。

元気な若者たちによって、若者たちに愛される。そんな名前が付けられればベストだ。

大事な大事な堤体の呼び名。あだ名。

堤体があだ名で呼ばれる。そんな良き時代の到来に期待している。

右岸のヤマグルマと左岸のカヤ。
ヤマグルマは村指定天然記念物。
木の幹が力強い。
葉が車輪状に付くことが名の由来。
こちらはカヤ。
カヤの葉っぱ

無料エリア

山梨県立博物館

砂防ダム等堤体類。

それは演奏施設。

今回は「無料エリア」というタイトルを付けてみた。歌が無料エリアでおこなわれることについて考えてみたい。

まずは河川。河川に立ち入らなければならない。

川が流れていて、堤体が建っていて、堤体下流部の区間があって、また川になって・・・。

砂防ダム等堤体類を抱える河川の構造である。

うち演奏施設として利用される場所は、堤体下流部の区間。自身が「堤体前」と呼んでいる区間である。

日本全体で見たとき、堤体前の99パーセントはその場所に立ち入ることにお金がかからない。

のこり1パーセントについては、釣り堀やキャンプ場などがあって実質的にはタダで入れない区間のこと。

実質的に。とするのは、こういった区間ももともとは国や都道府県の所有物であるから。釣り堀やキャンプ場などは使用認可の下りた、河川の使用者なのである。

堤体前としても、河川全体としても、立ち入ることにお金はかからない。

河川は公共用物。

公共の持ちものであるというのが本来の考え方。

であるならばもっと有効利用していってもいいのでは?

国にとっての、都道府県にとっての、つまりそこに住む日本国民にとっての財産である「河川」がきちんと利用できているかどうか。

河川であそぶこと。

それは権利。

権利をきちんと行使することによって、より身近に、より親しみを持って、自分たちの財産の存在を知ることができるはずだ。

御坂農園グレープハウス

海の家

9月7日、午前11時、山梨県笛吹市御坂町「御坂農園グレープハウス」。

ただぶどうを買う。では面白くないと思った。

「モリヤマです。」

あらかじめウェブサイトで入れておいた予約。

シャインマスカット狩りができるぶどう畑はここには無いらしい。聞けばシャトルバスが入り口のところまで迎えに来てくれるので、そちらに乗り込んでぶどう畑まで行くのだという。

会計を済ませ、シャトルバスを待った。

風通しのよい店内。

賑やかな店内。

きょうは日曜日。

土産物エリアには、ももやぶどうの箱入り菓子、ゼリー、飲料。雑貨、宝飾品がならぶ。

土産物エリアのとなりにはビニールハウス。こちらは飲食ができるエリアだ。

ビニールハウス、壁にはよしず。土の床。床のうえには整然とそろえられたテーブルセットが並ぶ。

どう見ても「海の家」。いや、違う。

天井をぶどうの枝葉が覆っている。ついでにいえば立派に実ったぶどうの房があちこちにぶら下がっている。

客はみな、ぶどう畑の下でガヤガヤ言いながら飯を食っている。

雰囲気は海の家。しかし、ちゃんと見ればやっぱりぶどう畑。

もう9月だというのに。

9月だというのに、この活気。

夏は終わっていない。

ぶどう畑の下で楽しむバーベキューやほうとう。

それはもう美味いに違いない。

なんてったって「みどりの下で」という、このシチュエーションがいい。

みどりの下で過ごすこと。渓畔林の下で歌う砂防ダムの音楽。その環境に似ている。

似ている環境。

で、活況。

その様子を見るかぎり、少なくともこのシチュエーションに心地よさがあることを証明してくれている。

堤体前に立って歌うこと。そのことを商品化するにはまず、この活動自体が普遍的に評価される行為であるかどうかということを販売者側が判断しなければいけない。

売り込む側の人間として。

まずは判断。

イケるのかどうか。

なんとなくいいよね。という感覚を持ってこれまでやってきた。

しかし、その感覚がウソでは無かったのだということを知ることが出来た。それどころか、これだけの活況が見られたのだ。まったく信じていなかったというわけでは無いけれども、大きな自信になった。

良いものが見られたと思う。

この場所に来ることができて良かった。

頭上を覆うぶどうの枝葉
トイレへとつづく廊下もご覧のとおり。
冷却設備は絶賛稼働中。
う~ん・・・、まさしく海の家。
ぶどうのほか桃も置かれていた。
売店で氷水を買い、シャトルバスを待った。

シャトルバスに乗り込む

午前11時20分、シャトルバスの点呼が始まった。

名が次々に呼ばれる。結構な人数だ。

畑に入園するためのチケットは名が呼ばれてから手渡された。

チケットを受け取りシャトルバスに乗り込む。バスに乗り込んだのは十数人。その人数、すべて乗車が済むとバスは発車。御坂のまちをバスが走った。

窓の外は明るい。晴れている。

同じ目的を持った同士のバス移動。なんともいえない安心感がある。

外はいっそう晴れやかだ。

出発からほどなくしてバスは停車。

ぶどう畑に着いたようだ。

バスの運転手の案内にしたがい、バスを降りる。

現地には現地担当の世話役がいた。世話役にチケットを渡すと、ぶどう畑に入ることが出来た。

ここで収穫用のバケツとはさみを渡される。さらに、氷水用のバケツがもうひとつ。収穫用のバケツはピンク色。氷水用のバケツは白色。

世話役に案内され、ぶどう畑を奥にすすむ。

棚の高さは1メートル半くらいか。あまり高いものでは無い。腰を屈めながら歩く頭上スレスレにはブドウの枝葉が張りめぐらされている。

ぶどうの葉っぱ。

これが本当にぺら一枚の葉っぱなのだけれど、一枚あるだけ断然涼しい。確実に太陽からの直射日光を防いでくれている。

ある程度行ったところで世話役が立ち止まった。

「ああいうところに付いている実はあんまり良くなくて、ああいうところに付いている実がいい。」

「あのあたりで食べてる子たちがいるけれど、ホントはああいうところよりも向こうに行ったほうが良い。」

しわくちゃの口もと。古希を軽く越えているであろう世話役紳士の口もとからは、科学的根拠に基づいた美味いぶどう探しの格言がこぼれる。

「色はやっぱり黄色くなったのが甘い。完熟だから。それじゃあ始めて!」

バスで一緒だった十数人がここで解放された。各々、ぶどう畑各所に散らばる。

自身も広大なぶどう畑のうち、世話役に言われたとおりの場所を目指した。

ぶどう畑にはすでに先客がいた。これより前に9時のバス便、10時のバス便がすでに到着していたからだ。そんな中にあって、ぶどう畑には果実袋を傘にした立派なシャインマスカットがいくつもぶら下がっていた。

世話役は言っていた。黄色が甘いと。しかし、どれも同じように見える。さっき見たやつも、いま目の前にぶら下がっているやつも。みな、同じように見える。

色の差があまりはっきりしない。

結局のところ、手に取ったシャインマスカットが甘いかどうかは、口にしてみなければわからないようだ。

選択のパラドックス。

迷っていた。

しかし、そんな思いも好奇心と食欲に後押しされ・・・。

きっと太陽の光の加減で黄色くなったように見えていたに違いない。これは良さそうだというものを一房見つけることができ、茎の付け根からはさみで切り取った。

ぶどうの房。

まずはその造形美を鑑賞する。鑑賞がおわると、実をひとつひとつ外して白色バケツに放り込んだ。

しばらく待った。

しばらく待ったのち、氷水から引き上げたぶどうを口にする。

新鮮なシャインマスカットの味がした。

新鮮なシャインマスカットの味がするシャインマスカットを食った。

シャトルバスに乗り込む。
晴れやかに移動中。
到着!
食べ放題。好きなものを切って楽しめる。
氷水で冷やす。
ぶどうの葉っぱ。これが一枚あるだけで断然涼しい。

暗い空間ではさらに涼しく

新鮮なシャインマスカットの味を知ってしまった。そんな体験だった。

午後0時50分、シャトルバスに乗り、ぶどう畑からふたたびグレープハウスにもどった。

ほうとう食いたかったなぁ・・・。

すでに腹はいっぱい。移動することにした。

御坂農園グレープハウス駐車場にて自家用車に乗り込み、山梨県道311号線を北上する。

本日は夕方のゲームを予定している。残暑きびしい9月のシーズン。まだまだ日の高い時間帯に無理して入渓する必要も無かろう。

目指したのは“箱”。デカくて、コンクリートで。なんてったって“県立”なのだから。

午後1時15分、山梨県立博物館に到着。

有料エリアの次の展開だ。

無料だと体裁がいい。

そんな想いも虚しく、有料施設であるという。

ならば。

せめて県民割引だけでも・・・。

伸びた背筋に、目線は高く。意気揚々、受付カウンターに向かって歩いていったところで入館料は県内外、どこのお国であろうが居住地問わずで一律料金だという。

現金決済。

館内は期待に応えてくれる涼しさだった。冷房設備によって強制的に冷却された快適な空間。いちばん奥の広い展示室はプラネタリウムのような雰囲気で、照明を抑えた暗い展示室。

暗い空間ではさらに涼しく感じた。

もういいや。

わずか30分ほどで退館。

内容は悪くないのだと思う。相性の問題というだけ。

歴史ものは得意じゃない。過去を振り返っていたって何も変わらないと思っているからだ。

博物館のエントランスから外に出る。博物館敷地内にある「かいじあむの庭」が見たかった。庭の一部にはドングリの森というタイトルが付いていて、ところどころ樹名板の付いた木を見ることが出来た。

ドングリの森ではシラカシ、クヌギ、コナラのどんぐりを拾うことが出来た。

館内は涼しく。
しかしまたすぐに外へ出てしまった。
かいじあむの庭
シラカシのどんぐり
クヌギのどんぐり
コナラのどんぐり
イワテヤマナシ
ムクロジ

御坂みち

午後2時55分、堤体に向かう。

山梨県道311号線を南進。ふたたび御坂農園グレープハウスのまえを通り、「栗合」の五叉路信号交差点。直進通過し、山梨県道34号線をすすむ。

山梨県道34号線、両脇にもも、ぶどう農園を見ながら進むとやがてあらわれるのが「若宮」信号交差点。

若宮信号交差点で右折し、国道137号線・通称「御坂みち」へ。

この御坂みち。きつい登り坂をともなう3ケタ国道はおおむね直線的に伸びている。登り坂でありながら、しかし直線的。ややも強引に引いたのかという登り直線道路では、走行性能に劣る車両のため登坂車線が用意されている。

直線的、かつ片側2車線となった道路はバイパスの雰囲気が強く、山の快速道路といった感じ。

しかしこれが困ったもので、走行するのが令和現代の車。飛ばすように走る車が多いのだ(いまは軽だって速いぞ!)。そのためか、馬力面だけでなく精神面でも少々疲れてしまう。

登り地獄。そんなときには。

まさに地獄に仏。国道の両脇には駐車場付きの土産物屋がならんでいる。

取扱品目は、もも、ぶどう、焼きとうもろこし。

走ることに疲れてしまったらこちらに逃げ込んでしまえばいい。

運転の休止、糖分摂取で疲労回復ができるであろう。

御坂みちにもどる。

道はやがて「ドライブイン黒駒」「藤野木直売所」を過ぎたあたりで登坂車線が終点をむかえる。この登坂車線が終点をむかえた直後、左折分岐箇所(山梨県道708号富士河口湖笛吹線)があらわれるので左折。

左折から入って600メートル。道の左側にあらわれた駐車スペースに車を停車させた。

山梨県道34号線沿いは果樹園が連続する。
御坂みち。登坂車線を登る。
逃げ込んでみたのだったが・・・、
これは大誤算!というか遅すぎた。
登坂車線が終点をむかえた直後、左折分岐箇所があらわれる。
駐車スペース入り口

上流側にも下流側にも堤体が

午後3時半、駐車スペースに車を停車させると本日入渓する金川(かねがわ)が確認できた。

渓相は堆積地。

よく見れば、堆積地には上流側にも下流側にも堤体が確認できる。

上流側には堤高8メートルの堤体、下流側にも8メートルの堤体。

どちらに入るにしても所要時間に大差は無い。しかし、より手軽にあそべるであろう堤体は上流側。こちらはなんといっても車から降りてすぐのところに立てる点(立ち位置)が良い。

一方の下流側の堤体は、さらにもう一つ下流の堤体約10メートルも合わせて合計およそ18メートルという高さ。この高さが魅力的だ。

高さのあるダイナミックな堤体を相手に楽しむことができる。

時刻はまだ夕方4時まえ。時間的余裕がある。下流側の堤体に入ることに。

入渓の準備をおえたあと、堤体側面の斜面を降りてゆく。片手に一本携えた登山用ポールの補助にたよれば3本脚で斜面を降りているも同然。より安定したかたちで斜面を降りてゆくことができる。

午後3時55分、斜面を降りきり堤体前へ。

堆積地上流側の堤体
そういえば前週は台風が通った。
ミズナラのどんぐり
堆積地の下流側へ
上段8メートルの堤体
中段6メートル、下段4メートル。合計10メートルの堤体。
堤体は三段あわせて約18メートル。

良くも悪くも

上段8メートル、中段6メートル、下段4メートル。合わせておよそ18メートルの堤体。

中下段の堤体はいくらか水が地下に向かって逃げているようで、上段に比べて水が少ない。

よく見れば、中下段より10ヤード程度下ったあたり。そこに、水を排出する配管出口が確認できる。

堤体をきっかけに取水が行われるというのはよくあること。

水の利用目的としては、簡易水道や農業用水ということが多い。

建設当時は、ここよりさらに下流にむかって配管が伸びていたか?残念ながら、堤体下流部というのは、河床とそこから左右両岸に向かっての斜面が非常に不安定になりやすい。

せっかく配管をきれいに施工したところで、斜面の崩落等が起こり使用不能になってしまうケースが圧倒的に多い。(使用不能となった下流部分はすでに撤去されたと思われる。)

堤体本体より上流側に文化財等を抱えている場合、効果的にはたらく場合もあるが、下流側はその逆になりやすい。

堤体のすぐ下流に大事なものが置かれるという位置関係を作ってはいけない。ほとんどの場合において河床低下が起き、それにともなう斜面の崩落が起きる。崩落するリスクはむしろ自然河川の時よりも高くなる。

河床低下が起きること。このことによって堤体下流部には「部屋」のような空間ができる。自身が演奏施設として利用する空間はこうして作られるのだ。

良くも悪くも河床低下。その原因をつくっているのは紛れもなく砂防ダム等堤体類なのである。

上段にくらべて中下段の水が少ない。
まるでみどりのトンネルのよう。
渓畔林のゾーンが川の中央部に近い。
これだと木に対して直接、声があたりやすい。
石がゴロゴロしている割にノイズは小さめ。

ジンクス

自作メガホンをセットし、声を入れてみる。

鳴っている。

昭和59年製、中下段の堤体より下流は河床低下によって急激にV字に切り込んでいる。

急激なV字切り込みにより、左右両岸からは落石が多数発生。その落石をかすめるように水が流れているが、水との摩擦はさほど大きくないようでノイズは小さめ。平穏に流れている。

立ち位置からは「ななめ撃ち」の格好になってしまっている。(堤体を真正面に見ることが出来ず、ややななめ向きに角度が付いてしまっている状態。)これも堤体前が急激にV字に切れ込んでいる影響によるもの。

状況としてはジンクス的な意味合いが強い。

響き得られず。という経験が多い。

しかし、今日のこの場所はよく鳴ってくれている。

約18メートルという高さが声をしっかり受け止めてくれている。

渓畔林のゾーンが川の中央部に近く、声を受け止めやすい状況にあること。

全体的にノイズが小さめなこと。

風が吹いていること。

ななめ撃ちの格好ではあるが、プレーヤー側にとって有利な要素がいくつも重なっておりジンクスを打破できている。

銘板(上段の堤体)
方位は南南東
風は断続的に吹いた。
上段までの距離
中段までの距離

堤体前を学ぶ

結局、この日は午後6時まで堤体前で遊んだ。

堤体前の環境というのは「自然まかせ」の性質が強い。

水が多い。水が少ない。

葉っぱが多い。葉っぱが少ない。

風が強い。風が弱い。

また、自然現象によってもたらされた空間を演奏施設とするため、場所そのものについては偶然的に作られた形をしている。

急激にV字に切り込んでいる。

落石が多数見られる。

渓畔林のゾーンがこうなっている。

専門の設計者がいて出来上がった空間では無いということ。

したがって、見た目がよくないとか響きがよくないといったことが当たり前に起こってしまう。

もちろん逆もある。見た目よし。響きよし。

演奏行為のあとには必ずといっていいほど評価がおこなわれる。演奏施設に対する評価。その評価が安定しない。

無料エリア。が、今回のテーマであった。

無料の良さとはなんなのか。

気軽に行くことができる。

だれでも行ける場所になる。

富裕、貧困問わず誰でも受け入れてもらえる場所になる。

予約システムを生み出さない。予約システムを生み出さないことは独占者の発生を防ぐ。

独占者がいないことによってオープンな場になる。

オープンな場ができることによって、プレーヤー同士の交流が生まれ、プレーヤーは情報を手に入れることができる。

無料であることによるメリットはじつに多い。

管理者不在(演奏施設としては)。ゆえに管理そのものが一切無く、一演奏施設として評価は安定せず。しかし、上記のようにメリット多数。無料であることに価値がある。

現況無料。ならば将来的にも・・・。

堤体前は無料でありつづけてほしいと思っている。

そういった思いのなかでの今後の課題、改善点。あるとすれば、堤体前に幅をもたせること。

「自然まかせ」で出来た場所だけでなく、人工的に整備された堤体前というものがあってもよいのではないか。

見た目においての専用設計。

響きにおいての専用設計。

レクリエーション施設としての専用設計。

ほかにも演奏施設としてコレを備えていたらいいなぁという専用設計。

まず第一歩として。

まず第一歩として、理想の演奏施設をイメージできるようになりたい。

ただ闇雲にコンクリート打ってみた。木を植えてみた。水を流してみた。奇跡を信じてみた。では、うまくいかないだろう。

どんな風に作れば、良き演奏施設になるのだという理論を人類として手に入れること。これが最初の目標だ。

必要な人員は。

研究者の存在。

演奏施設の研究者が育つこと。

これこそが重要。

研究者はまず、既存の堤体前をどんどん活用し、学ぶ。

とにかく「歌ってみる」という実践を通じて、堤体前を学ぶ。

見た目について、響きについて、またそれらがプレーヤーにおよぼす心理的作用について。

レクリエーション施設づくりとしてどうあればいいのか。周辺業界からも学ぶ。

もちろんこれらは研究者のみならず、演奏施設を作る「設計者」にも必要な学びである。

多くの学びをもとに演奏施設としての堤体前が研究され、そのバトンを引き継いだ設計者によって演奏施設としての砂防ダム等堤体類が建てられる。

そんな未来があってもいいかもしれない。

われわれ日本国民にとっての財産である河川。

この財産を演奏施設として利用していくことができる。

河川であそぶこと。

それは権利。

だったら、

河川で歌うこと。

それも権利。

権利をきちんと行使することによって、より身近に、より親しみを持って、自分たちの財産の存在を知ることができるはずだ。

フサザクラ
クマシデ
タカノツメ
オオバアサガラ
ツノハシバミ
ヤマグワ
「歌う」ことで学びはうまれる。

戦略

戦略

過去のエピソードのことを書くようで申し訳ない。しかし、今回はそのときのリベンジともいえるゲームである。

山梨県都留市、戸沢川に入渓したのが今年の5月のこと。その方位、ほぼ真東の堤体を相手に朝日のゲームに挑み、失敗をしている。

あれから3ヵ月が経った。

もう8月も下旬。あと1ヵ月ほどで秋分の日をむかえる。

日の出、日の入り。ともに日を追うごとに太陽はどんどん南方へ向かっている。挑むならば、朝日のゲームもそろそろラストチャンスかな。と感じていた。

来年まで待とうか?とも考えた。

いや、だめだ。

今年中にやってしまおうということになった。

午前中に良い成果が上げられれば、未来へ希望が持てるようになる。そのことを知っているから。

ほんとにほんとに不思議なんだけれども。

未来へ希望が持てるようになる。

究極のゲーム。

朝日のゲーム。

リベンジに行ってきた。

「duckアヒルちゃん」の乗り場

duckアヒルちゃん


8月18日、山梨県南都留郡富士河口湖町。

午前4時。まだ夜明け前の河口湖。風浪の無いしずかな湖面。少し遠くには河口湖大橋の橋灯が見える。

湖面に浮かぶのは「duckアヒルちゃん」。

桟橋で待機するduckアヒルちゃん。あとこれから数時間後には湖上での接客が待っている。湖上をプカプカ右往左往、人間どもを遊ばせるのがduckアヒルちゃんの仕事だ。

待機中のduckアヒルちゃん。

今日はどんな接客が?

富裕層がいいか?

金持ちで、時間にシビアで、ちょっと乗ったくらいで「もういいでしょ」と漕ぐ足ををゆるめてくれるような紳士、淑女がいいか。

嫌に決まっている。ガツガツした野郎は。

ゲラゲラ笑いながら、ぶっ壊しかと見紛うくらいにペダルをグイグイ踏み込むようなヤツ。ハンドルは無理に回すな~

ライバルは同僚の「トムキャット」。

モーターボートは湖上を華麗に滑走する。もちろん運転手付きの高速客船は、河口湖の風景をガイドまでしてもらえる。

風を切って優雅に。

高速クルージング。

かたや。

かたや、足こぎのペダル。

こちらはゆったり、スローに。

河口湖の湖上をプカプカクルージング。

モーターボートほどの派手さはありませんが、軽い運動をしながら思い出作りができますよ~

来湖の際はぜひ河口湖遊覧船天晴まえ、duckアヒルちゃん乗り場へ~

出廷を待つduckアヒルちゃんら

押し寄せている!


午前4時50分。湖畔をちょっと移動して「浅川温泉街」バス停まえにやってきた。

河口湖湖畔としては最東部に位置するこのエリア。ここには町内最大の旅館街が形成されている。

「霊水の湯」を源泉とする浅川温泉の旅館街。

ワンド状になった湖畔に寄り添うようなかたちで大型ホテルが立ちならぶ。その姿は圧巻だ。

宿の付加価値が高まるのは、温泉のみならず、河口湖のレイクビューを兼ね備えること。

窓から、テラスから、露天風呂から、とにかくレイクビュー。

強者はさらにすごい。

河口湖の湖面を南に眺望することができる数軒の宿は、レイクビューのみならず、加えて富士山をも眺望に収めることができるのだという。

これぞ日本の景観「富士山」となれば、人気の宿になってしまうことは想像に難くない。一体どんなものかとネットの画像、クチコミを拝見してみれば、もはや隠しようのない盛況ぶりである。

聞いてはいたのだけれど。

外国人が押し寄せている!

そんな噂は山梨に住んでいれば勝手に入ってきていた。

日本人だけではないらしい。失礼。”海外からのお客さん”だけではないらしい。

温泉街各ホテルは戦略もさまざま。宣伝広告をガンガン打っているところもあれば、沈黙とともに勝負する宿もある。

黙っているのも戦略。静寂とか閑静といった空気感を売りにしたいという宿・店もあるであろう。しかし、外圧である。相手は。押し寄せる人。制止のさせようが無い。

成田経由、関空経由、羽田経由。紆余曲折経て、しかしこの地に間違うことなく集結するという状況は、想像するともはや怖いぐらいである。

宿泊希望者以外は、日帰り客となって押し寄せる。旅館街と言ったって、観光施設は宿だけではないのだ。

コントロールなんてしようが無く、賑やかになってしまう。

盛況すぎる状態というのも、それはそれでいろいろと苦労があるような気がする。

「浅川温泉街」バス停まえ
湖面を南に見る旅館・ホテルは強い。
富士山を同時に見ることができるからだ。
旅館街からは河口湖大橋も近い。

大石公園

午前5時20分。河口湖の北西部、富士河口湖町大石にやってきた。

降り立ったのは大石の有名観光スポット「大石公園」。大石公園といえば、初夏のラベンダー。そしてこれからは秋の紅葉シーズンのコキアが有名である。

まだ夜が明けて間もない湖畔庭園はラベンダーの存在感が強かった。

淡い灰色混じりの紫は、花とすれば終盤。しかし、その厚みのある香りからは花としてまだまだ終わっていないという主張が感じられた。むしろその生命感に感心させられた。

香りラベンダー。造形はコキアが担当する。

綺麗な球体に育て上げられたコキアがこれまた見事であった。庭園上、等間隔にならべられたコキアが富士山、湖面、湖面対岸の景色とマッチする。

この視界のなかに無機質な直線景色は存在しない。建造物などによって破壊されることの無いやわらかな景色は多くの人々の心を癒やすであろう。

色付いていない状態のコキア。しかし、これで十分なのだ。自身もホームセンター店員時代には関わりのあった植物であるが、これを商品として扱うとき、つまり店頭にならべる段階でまだ葉は色付いていない。

緑色の状態で売る。緑色をしていても、売り場を歩くお客からは感嘆の声が上がる。独特の球体フォルムが人々の心を惹きつけるのであろう。

秋の紅葉シーズンがいいというのもたしかに言えるかもしれない。だれしも限定という言葉には弱い。秋にだけ赤く色付く。だからみなさん秋に来てね!という戦略。しかし、実体はそれ以外でも全くもって楽しめる植物「コキア」である。秋まで待たずとも大石公園は十分楽しい。

大石公園もまた富士山をのぞむことができる。
綺麗な球体に育て上げられたコキア
葉はモフモフ系だ。
厚みのある香り。ラベンダー。
淡い色好きにはむしろこの位のほうがいいのかも。
大石公園に隣接する「河口湖自然生活館」
残念!まだ開店前。

すでにかなり明るい

午前5時半、車に乗り込み堤体に向かう。

砂防ダム音楽家、森山登真須。本日は、朝日のゲームである。まずは朝、日の出まえの時間に堤体前に立つことが重要だ。

大石公園を出発し、山梨県道21号線を東進する。長崎トンネルをくぐり、「広瀬」の信号交差点を直進でぬける。

すでにかなり明るい。

堤体前の日の出に間に合わないかもしれない。

焦る。

しかしこんな時こそ住宅街の道は避け、なるべく太い道を行く。

音楽と森の美術館まえを通過。「林の橋」をわたり、直後の信号交差点で左折。

道なりにすすみ、国道137号線に突き当たったところでもう一度、左折する。

新御坂トンネル方面に向かって北進。道は峠の茶屋・天下茶屋分店まえが注意カ所。当該カ所のきつい左カーブも越えて山道を登っていくとやがてあらわれるのが「新御坂トンネル」。新御坂トンネル手前の分岐では右折する。

道はかわって山梨県道708号富士河口湖笛吹線(旧国道137号線)。ぐねぐねと曲がる旧道は対向車に注意しながら登っていく。道は2.8キロほど登っていったあたりで左手に土場があらわれる。ここは林業者用の作業スペースなので通過し、直後の左カーブを過ぎたところ(道幅の広くなった)に車を置いた。

音楽と森の美術館まえ
国道137号線は左折(北進する。)
峠の茶屋・天下茶屋分店まえの左カーブ
新御坂トンネル手前分岐にて右折する。
土場(画像左端)

美堤

車から降りて入渓の準備。

ここ最近はクマ出没のニュースが多い。熊鈴、ホイッスル、熊スプレーの3点セットを持ち出す。

あとは、登山用ポール。熊の成獣相手にアルミの登山棒では非非非力なこと此の上ないが、丸腰で闘うよりはあった方が良いはず。

午前6時10分、歩きをスタート。

さきほど車で通過した左カーブまで戻り、2本のカーブミラーのちょうど中間あたりのガードレールを跨いで越える。

すると、下り斜面のしたに石積みの堤体を見つけることができる。この石積みの堤体に向かって斜面を降りる。

石積みの堤体に乗ることが出来たらいよいよ「西川」に入渓する。

入渓の直後に知ることができるのは、美堤の存在。弁当箱大の乱石が等間隔に嵌めこまれたコンクリート堤は平成7年度製の谷止工。

放水路天端の横幅は長く、上流からの流れをしっかり左右に分散できている。

水が乱石に絡まりながら落ちていく様子はなんとも美しい。渓畔林もしっかりとした渓流区間で、そのみどり鮮やかな枝葉の下で過ごす時間は至福の時となるであろう。

しかし、惜しくも。

惜しくもこの堤体は巻いてしまう。

本日のゲームは朝日のゲームなのである。

堤体の方位というのが戦略上、合っていない。おおよそ北東向きに構えられた堤体では太陽の軌道との相性が良くない。

本当に本当に惜しいのだけれども、この美堤はパスすることとし、さらに上流を目指した。

午前6時半、美堤を巻いて堆積地に乗ることができた。目的の堤体は直後にすがたをあらわした。

2本のカーブミラー
斜面下の石積みの堤体
石積みの堤体上へ
入渓直後のようす
美堤。谷止工。
惜しいが、巻く。
堆積地へ
目的の堤体に到着。

水が少なく見える

水はきれいに落ちている。

この堤体もまた放水路天端の広い谷止工である。

流れをしっかり左右に分散できていて、とくに水が集まって落ちているようなカ所は見受けられない。

さきほど巻いてきた美堤よりも落ちる水が少なく見えるのは、

①目の錯覚

②地表水と地下水への分岐

いずれかが原因である。②についてはよくあることで、土砂で一杯になった堤体であっても水ははるかそれより下をくぐり抜け、堤体本体のコンクリート最下部よりもさらに低くなったところをやはりスルリと抜けて下流へ続く。

水が堤体を上から下から越えることになるので、ときには(水が)少なく、ときには多すぎずでちょうど良いという状態を作ってくれる。

本日見たかぎりでは水が少なく、もの足りなさを感じる。

その理由が①にあろうと②にあろうとベストな状態とは言い難い。

堤体水裏斜面を白泡たてながら、もっと分厚く落ちてくれている状態の方が周囲の景観にマッチしてくれるはずである。

もっともそんな状態をお望みでなのであれば、降雨後のタイミングにおいてこの堤体前に入れば良いわけであるし、しっかり地表水となって落ちている堤体前でやりたいのならば、先ほどの美堤を選択することだってできる。

砂防ダムの音楽というのは、堤体の選択ふくめたゲームなのである。

この時期、この時間帯、この一週間どんな雨が降った。そういった情報をもとに、どこの堤体に行ったら良いのかな?という予測をし、それにともなう選択をすることからゲームが始まる。

水が少ない物足りない!じゃなくて、プレーヤー自身の予測が甘かったからここでやらなければならなくなったとするのが妥当。

水は増やせない。

それが堤体前。

まずはそこに今日、行くのかどうか?

戦略を立てる。

動くのはプレーヤー自身。責任もプレーヤー自身。

責められるべきは甘い予測をしてしまったプレーヤー自身なのである。

堤体前。右岸側。
左岸側。
二段のナメとさらに奥には大石。
落ちる水が・・・、薄い。
渓畔林の濃い堤体前だ。

ノイズと声と

ともあれ、堤体の方位は戦略上あっている。

90度。真東方向を向く谷止工の堤体前に立ち、朝日がのぼるのを待った。

午前7時20分、急上昇!朝日がのぼった!

自作メガホンをセットし、声を入れてみる。

渓畔林のなかで声がここちよく鳴っている。

二段のナメと大石の向こう。高いところにある堤体までしっかり声が入れられていることがわかる。

50ヤードの距離を隔てた自身と谷止工の空間のなかで確実に声が響いている。

水がもの足りないといった堤体前。しかし、水は幾重にも連なる段差を越えながら確実にノイズを発している。

ここは音楽ホールではない。スタジオ、ライブハウスでもない。河川の渓流区間である。つねに水によるノイズが鳴っている。しかし、こんなところでも音楽というのは楽しめてしまうものなのである。

朝日がのぼった!
風は計測不能の微風
立ち位置の最大値は~70ヤードくらい。
真東!朝日のゲームにはこの角度!
堤体の種別は谷止工(たにどめこう)
リベンジはうまくいった。

戦略を立てる

結局、この日は午前11時まで堤体前で過ごした。

満足度の高いゲームが出来た一日であった。

高い満足度につながった要因としては川、森、太陽の三者による景観の良さが大きい。

朝日を真正面に見るなかで、堤体水裏にはしっかりとした暗がりができていた。

太陽が強く照らしている空間における影の強さ。それをしっかりと確認することができ、集中して歌に取り組めた。

今後の課題としては、「もの足りない」とした当日の水量について、もっとしっかり予測をしてから入渓するようにしたい。

景観が良かった堤体前も、落ちる水がよりたっぷり、より分厚かったらさらに良かったのではないか。

これはもっと(当日の状況より)水が多い状態が理想的だったのかという仮定。

悪いもので、自身が実績を経ていない仮定のはなしである。

現実には水が増えたときに、ノイズと声とのパワーバランスが変わってしまうケースが考えられる。

歌おうとするときの気分の高まり。

景観によって歌い手の心境に変化がおとずれるのは良いこと。しかし、声がきちんと響いてくれるかどうかというところで、本日のようにはうまくいかなくなるかもしれない。

予測。

しかしこれが難しく、また面白い。

水は増やせない。

木は増やせない。

太陽は好きな位置に変えられない。

それが堤体前。

まずはそこに今日、行くのかどうか?

戦略を立てる。

動くのはプレーヤー自身。責任もプレーヤー自身。

楽しめるかどうかはプレーヤー次第である。

フサザクラ
イヌブナ
コハウチワカエデ
ミズナラ
キブシ

ここがまた遊び場に

道の駅どうし

いよいよ夏休み。

梅雨も明け、アツいアツい季節がやってきた。

夏休みといえば、

勉強?宿題?自由研究?いや・・・、

そうだ!

山に行こう。

あの山に。

あの川に。

道の駅どうしからすぐの吊り橋「かっぱ橋」

まずは道の駅の南側

7月20日午前8時、山梨県南都留郡道志村「道の駅どうし」へ。

まずは道の駅の南側。

あの川は?

あった!

道の駅のすぐ南側。道志川。

およそ30メートルほどに区切られた護岸。護岸からスロープを伝って下ると道志川の川原に降り立つことができる。

公式にも「川あそび場」と名付けられたこの施設。これからの時期は川遊びスポットとしてハイシーズンを迎える。

当地の標高はおよそ700メートル。700メートルとは言っても晴れた日は暑い。現にこの日は午前8時時点で気温が28.2度。

道の駅側、護岸上から見下ろすとすでに何組ものグループが川にいた。水浴びだけでなく、川原で日向ぼっこという手もあるようだ。

賑わう道志川の川原。

川沿いに立地した観光施設といえば、これまで幾つも見てきた覚えがあるところ。しかし、ここまで”川に近かった”ところはなかなか記憶にない。

パンフレットやホームページ上では「川のせせらぎ~」などと言っておきながら、実際当地では「立ち入り禁止」と、川への侵入を抑止しているようなところが多い。

ここでは川で遊ぶことをOKしている。当たり前に。

その育ちの違いからなのか。

川に対する感覚の違いからなのか。

これをあたりまえにやっていいと言ってもらえる。

村人らの英断に感謝!

あと、これまでマナーを守って利用してきた先人たちにも感謝したい。

かっぱ橋から

道の駅の北側

つづいては道の駅の北側。

道の駅の北側は国道413号線から接続する駐車場がある。

ここがまた遊び場に。まぁ、こちらは大人たち限定なのだが。

排気ガスとタバコのけむりが薫るのはバイク駐車場と喫煙スペース。

とくに駐車場に関しては「ライダーの聖地」の称号を得た、道の駅どうしのバイク駐車場である。

この日も朝からすでに駐車場は大混雑。ナンバープレートによれば、国は首都圏方面が多いようだ。

同じ趣味を持つ同士談笑したり、バイクの写真を撮ったり。駐車場内の雰囲気は非常に明るい。

ここまでの賑やかさを裏付けるのはライダーの聖地というネームバリューだけでは無いだろう。

駐車場の目前を走る国道413号線は西(起点)に富士吉田市上吉田を見、東(終点)に神奈川県相模原市緑区を見る。

神奈川県相模原市緑区(終点の位置)の標高が136メートル。富士吉田市上吉田(起点の位置)の標高が992メートル。

最高地点、標高のもっとも高いところは、南都留郡道志村~南都留郡山中湖村に抜ける山伏トンネル内で1095メートル。

136メートルと1095メートル。単純計算の標高差は959メートル。高低差を埋めるようにつづく坂道は当然のことながら一直線にならず、緩急のカーブを描く。

沿線の途中には城山ダム、津久井湖、青野原野呂ロッジキャンプ場(CM、ドラマ等の撮影地)、両国橋(神奈川・山梨両国境の橋)、道志川温泉紅椿の湯、道志村内各キャンプ場、山伏トンネル、山中湖、忍野八海、北口本宮冨士浅間神社など観光名所多く、また内容的にもバリエーションに富む。

道そのものに走り応えがあり、なおかつ途中たち寄って遊ぶのにも事欠かないロードとなれば、ライダー各氏から人気が出るのは当然のこと。しかし、それだけの競争相手がいるなかでこの道の駅がぜんぜん負けることなく勝負できているという事実。これがあるのもまた確か。

一体、なにがそんなにもライダーたちを惹きつけるのであろうか?美しき自然景観?おいしい山の幸?川の幸?水?温泉?

自身はバイクに乗らない。したがってその理由を知ることがない。

ライダーの聖地。道の駅どうし

人生中間駅

午前9時、道の駅内の商業スペースが開店した。

さっそく中に入ってみる。

入口すぐには地元産野菜のコーナー。中間には物産コーナーと観光情報コーナー。一番奥には飲食スペースである「手づくりキッチン」。

手づくりキッチンではふるさと山菜そば、たらこのパスタ、カツカレー、鮎めしなどどれもウマそうなメニューが。

ついつい。いや。

ここは我慢。

今回はこの道の駅にほど近い「きく家」でソースカツ丼を食べると決めている。こちらは約2時間後の午前11時にオープンとのことなので、それまでは食べ物をひかえることにした。

手づくりキッチン側のドアから屋外に出て、ベンチに腰掛ける。

外はバイクのエンジン音で賑やかだった。と、人一倍ド派手に鳴らすライダーがあらわれた。かと思えば、そのライダーはやがてどこかへと居なくなってしまい、またどこからか別のド派手なライダーがやってきた。

元気に入場するライダー。

一方ではどこかへと消えていくライダー。

ちょっとうるさいくらいは若さの象徴?!

入れ替わり立ち替わり。

駐車場交代。

世代交代。

ここは人生中間駅。

道の駅どうしは永遠に。

飲食スペースである「手づくりキッチン」。
ライダーの聖地らしい設備。
8月23日は花火大会であるという。
外に出ると一転、賑やかになった。
入れ替わり立ち替わり。
この活気は永遠に!

道志の湯へ

午前11時、きく家に立ち寄る。

甘だれの~とんかつぅ~

期待に違わぬウマいソースカツ丼を堪能することが出来た。

正午、道の駅どうしを出発。国道413号線を東進し、道志の湯に向かう。

午後0時45分、道志の湯に向かう途中「道志養魚場」まえで途中下車。

車道の上からヤマメ、ニジマスを見た。

その後、ふたたび車に乗り込む。

午後1時10分、道志の湯に到着。

肌がベタベタしている。ここはひとつ湯に浸かって、シャツも着替えてリフレッシュすることにした。

源泉17.8度の湯は37度~40度に加温済み。山梨温度としてはちょっと高めかな?

午後3時15分、道志の湯を出た。道志の湯にほど近い「室久保農村公園」を少し覗いてから車に乗り込み、上流方面に向かう。

午後3時35分、「的様」に到着。頼朝矢射り伝説の地をしばし見学。

午後3時45分、的様より上流100メートルにある駐車スペースに到着。車を駐車する。

きく家のソースカツ丼
道志の湯に向かう。
道志の湯へは東進。
つまり神奈川方面に下ったということだ。
「道志養魚場」まえで途中下車。
養殖池
やまめぇ~
にじますぅ~
にじますぅ~
道志の湯へ
温泉でリフレッシュできた。

一瞬ドキッとさせられ

車から降りて入渓の準備。

足もとはウエーダーで固め、上半身には長袖シャツを着る。さらに計器類の入ったフローティングベストを長袖シャツの上に着用し、頭にはヘルメット。手にはグローブと登山用ポール。

夏なのだけれども慎重装備。

妥協することなく安全かつ機能的な装備に身を包むことは、先ほど多くのライダーたちから教えられたことだ。

午後4時10分、的様の少し上流にある「室久保川堰堤」堆積地から室久保川に入渓する。

入渓直後にわかるのはこの川が白砂の川であるということ。このようなタイプは山梨県内、他の河川でこれまでいくつか確認することが出来ている。しかしそれらの多くは山梨県内国中地方での出来事で、川の系統としては富士川に属する川ということになる(富士川水系の川)。

かたや室久保川。川の系統が相模川に属する(相模川水系の川)本川がこのような状態にあることは非常に興味深い。

水利用に関していえば圧倒的に隣国、神奈川との関わりが大きい道志村の川であるところ、しっかり山梨らしさを見ることができる。

アウェー感が和らいだ。

遡行を開始する。

遡行直後の渓畔林区間。

川は渓畔林の多いところでは暗くなり、少ないところでは明るくなる。

渓畔林の多いところ。

プラス、

午後4時すぎという時間情報。

一瞬ドキッとさせられ。

なんといったって目の前が真っ暗なのだ。

午後4時に堤体前にたどり着くことが出来ていないのはヤバいだろと錯覚。

いや、これはもちろん冬至前後だったら本当にタイムオーバー。しかし今は7月だから全く問題ない。

それにしても月日がしっかり意識できていたところで、いかにも天候が急変しているかのように見えてしまうのは困ったものだ。

空の状態がわからなくなり混乱する。

対処法としては、渓畔林の多い区間を越えることしかない。

逃げるように遡行する。(←変な文章だ。)

やがて渓畔林が少なくなると、空の明かりを見ることが出来た。

遡行をつづけ午後4時半、室久保沢堰堤に到着した。

入渓点。「室久保川堰堤」堆積地
室久保川は白砂の川だ。
遡行を開始する。
こんなところはドキッとさせられる。
明かりを取り戻した!
堤体前着。(室久保沢堰堤)

適度に採光する堤体前

水はたっぷりきれいに落ちている。

放水路天端の左右いっぱいに広がった水は堤体水裏斜面にたよることなく若干投げ出されるように落ちている。

水の落ちた先には水タタキ。水は水タタキを経てから護岸上に厚さ数センチほどの水面を形成し、護岸下流カドにて堤体本体から離れる。

主堤、水タタキ、護岸下流カド。いずれの区間でも水は偏りなく美しく流れている。

渓畔林はフサザクラ主体にオオモミジ、ケヤキ等が混じり。

主堤から40ヤード下流のあたりにだけ渓畔林の切れ目ができているのは右岸の樹木の倒木によるもの。

ここから適度に採光するため堤体前は若干明るい。河床を覆う白砂によって採光は反射し、渓畔林の枝葉を下方からライトアップしている。葉のライトグリーンが心地よい。

本日は夕方ゲーム予定で堤体前にやってきた。

採光が徐々に失われ、あたりが徐々に闇に落ちていく様子を見ながら歌うことができそうだ。

夜が近づくにつれ変化する堤体前の景色。時間の経過とともにそんな景色が見られるのは屋外で展開する音楽ならではの楽しみだ。

水はたっぷりと
絶え間なく落ちる。
護岸上をサラッと抜けていく。
護岸下流カドから落ちるところ
葉のライトグリーンが心地よい。
オオモミジ
ケヤキ
フサザクラ
イタヤカエデのなかま
渓畔林の切れ目を見上げる。

点では無く線になる

立ち位置に設定したのは主堤から47.5ヤードの位置。

自作メガホンをセットし、声を入れてみる。

声が還ってきていることがわかる。しかし、これは響いているという最も心地よいものではなく、単純に声がはね還ってきているという感じ。

渓畔林の豊かな堤体前で期待するのは樹木による反響板効果。樹木が反響板として作用し、声をはね返してくれている状態だ。

もちろん板に向かって声をあてているのではない。

板ではなく、何本もの樹木から構成される林が相手になっている。

歌い手から見て手前側、中間側、奥側。それぞれ異なる距離に立つ木が反響作用することによって、歌い手のもとに戻ってくる時間に差が生じる。手前側は早い。奥側は遅い。

歌い手に還ってくる音は僅かな差を持つことによって、点では無く線になる。音は僅かに長く伸びたように聞こえるようになる。

しかし今日は渓畔林がうまく作用していないのか、そうは聞こえない。渓畔林にうまく声を当てることができていないというのだろうか?

方位は南南東。
距離は47.5ヤード。
当日は~1.0メートル程度の風が吹いていた。
銘板

遊びにすることの強さ

結局、この日は午後7時まで堤体前で過ごした。

砂防ダム等堤体類をまえに歌うこと。

「歌う」という行為は学校教育の一部にもされているから、とかく「学問」にされがちである。しかし、これを自身、遊びとして取り入れるのが一番良いのでは無いかと思っている。

遊びであるからいい時間にしたいし、うまくいくようにやりたいし、真剣に取り組みたい。

今回は堤体前での実践から帰ってきて、「ここがまた遊び場に」というタイトルを付け、本投稿を作成した。

あらためて思うのは、遊びにすることの強さ。

堤体前までやってくること。やってきて成功させるためにいろいろ工夫すること。

遊び。

だから、

一番大切にしたい。

遊びにしてしまえば世の中から切り離される。重々承知だ。とくに公からの援助は得られなくなるであろう。

しかしそれでも遊びにしていきたい。自分自身のなかでどう位置づけるのかが問題。そこが一番大きい。

この日もまた、真剣に、本気になって、堤体に向かって遊ぶことができた。それだけで十分。よかった。いい一日だった。

ここがまた遊び場に。