砂防ダム用品店

静岡県西伊豆釣り場クリーンプロジェクト

砂防ダムに行くにあたって、それなりの装備で臨んでいるということは、当ブログにて日々、書き綴っている通りである。音楽表現の舞台として砂防ダムという野外活動的な場を選んでいる以上、安全性の面から見ても、快適性の面から見ても、アウトドア用品を揃えて、現場に臨むということが必須になっている。砂防ダムに行き始めた頃もそうであるし、また、今現在のように砂防ダムに常態的に通い詰めるようになった今でも常々、安全性、快適性をよりいっそう高めるためにどうすれば良いかと、アウトドアショップへ行き、様々なアウトドアグッズに触れ、砂防ダムで使えそうなものをチョイスしては、それを現場に持ち込んで試してみるという事を繰り返しているのである。

釣り具のイシグロ沼津店

5月某日、例によってアウトドアショップに出かけた。見出しのとおり釣り道具店である。普段そういった店には行かない方のために言うと釣り道具店というのはいわゆるアウトドア用品というものを取り扱っている。釣りに出かけるという行為に際して、海や川といった場所がそのフィールドとなるため、そういったフィールドに行って必要となるあらゆる道具を置いているのが釣り道具店なのである。魚を釣るための道具だけでは無いということが言え、郊外の大型釣り道具店などはキャンプ用品などの取り扱いも多い。私自身、砂防ダム音楽家として、そういったアウトドア用品について、一般的に普及しているものを買い求めることはもちろん、最新のアウトドア用品の発信基地でもある釣り道具店においてこれは前述の通り、砂防ダム行脚に使えそうな物、生かせそうな物を見つけ、取り入れていくことが大事だと思っているため、定期的に足を運んでいる次第である。

見つけた一枚のパンフレット

そこで見つけたのが、標題すぐ下の画像にあるパンフレットである。「静岡県西伊豆釣り場クリーンプロジェクト」とある。企画の概要としては釣りの合間に10分程度のゴミ拾いをすると、中古のルアーか温泉入浴割引券がもらえるというものである。参加費無料で、プロジェクトの開催期間内(終了は未定のもよう)に釣り場(なんと、どこでも良い!)でゴミ拾いをし、最後その拾ったゴミを西伊豆町観光協会の事務所に持ち込むと、「中古ルアー引換券」か「温泉割引券」の特典チケットと交換してもらえるというものなのである。注意点としては、ゴミ拾いに際して西伊豆町観光協会が用意した「西伊豆町ボランティア専用ゴミ袋」を使用しなければならないという事と、観光協会の受け付け時間内にゴミの入った袋を持ち込まなければいけないといったことなどがある。また、中古ルアーに関しては、観光協会の事務所では入手することが出来ず、渡された引換券を持って、町内の「釣り具のたかやなぎ」まで赴く必要がある。

西伊豆町観光協会の事務所

西伊豆町観光協会の企画につき

当ブログに過去書いてきたとおり、私自身は釣り人である。釣りを楽しんだ上、その合間に少しの時間ゴミ拾いをしただけで釣り道具が貰えるなんて、なんと素晴らしいことなのであろうかと西伊豆町行きを決定した。梅雨入り前の6月6日、賀茂郡西伊豆町、宇久須を流れる宇久須川支流の砂防ダムに入った。宇久須川水系とでも言おうか?この宇久須川本流、支流各河川を含めた宇久須川水系は、単一町村を流れる川としては、伊豆半島内で最も砂防ダムなど堰堤類の多い川である。したがって、今後この川の砂防ダムについて記述することは当然あるであろうと思うし、ゆえに今回は詳細に関しては割愛させていただく。今回は、砂防ダム行脚を行った後、宇久須川の最後ながれ出る河口域海岸線に場所を移して、「西伊豆町釣り場クリーンプロジェクト」の趣旨に従いゴミ拾いをしたことについて報告させていただくこととする。

宇久須川河口北岸の砂浜にて釣りとゴミ拾い
宇久須川河口

以下報告書、

今回、釣り具のイシグロ沼津店でたまたま見つけたパンフレットに端を発して、西伊豆町の宇久須川、またその河口域海岸線を訪れることとなった。その中で2点ほど“勉強になった”事があるため、ここに報告することとする。1つめは宇久須川河口域、またその周辺海岸線が見られたということ。普段、砂防ダム行脚を行っていて、川ばかりを見ているのであるが、その川が最終的に行き着く先、海をみる機会というのが最近少なかった。“海”を見て、もっとより深く“川”を知ることが今回、出来たと思ったのと、このことを今後必要に応じて定期的に行い、継続していくことが必要であると思った。勉強になったことの2つめは「釣り具のたかやなぎ」のお店にいらっしゃる淑女が大変な美人であるということ。ここの店主の奥様なのであろうか?まさか釣り道具店でこのようなたいへん素敵な方とお会い出来るとは思ってもみなかった。西伊豆町釣り場クリーンプロジェクトの特典は3個用意されているのである。「中古ルアー引換券」「温泉割引券」「美人」の3つだ。

袋は20分ほどで一杯に
こちらは中古ルアー引換券
アングラーズリパブリック社のギグをゲット!
本業では宇久須川支流に

大好き河津町!vol.2

河津川に架かる「浜橋」

5月23日午後12時。この日私は賀茂郡河津町大鍋川上流の砂防ダムにいた。この日は午前中早い時間に私用があったためスタートが遅くなった。今日は晴れていて日はすでに高い。砂防ダム上の渓畔林の切れ目から青空が見える。

もう5月も下旬である。これだけ遅い時間での開始になってしまうと、もっと汗だくの暑い中での展開も考えられたが、この大鍋川の深い谷底を吹き抜ける風の影響であろうか?意外にも涼しい。今回はこのさわやかな5月の風を感じながらの賀茂郡河津町、大鍋川での砂防ダム行脚についてリポートしたい。

大鍋川へのアクセス

大鍋川上流砂防ダムへのアクセスであるが、東伊豆ルートを行く場合は国道135号線をひたすら南下し河津川を渡ったすぐのところを右折する。地名的な順番としては同じく河津町の「今井浜」の次となるので今井浜の文字を見かけたらいよいよと思っていただければ良い。(どれが河津川なのかわからないという方のために念のため・・・。)そこから県道14号、国道414号と河津川を平行にするようにして道を進む。道はセブンイレブンを過ぎた辺りから上り坂となりやがて左手に学校の校舎(河津町立西小学校)が見える。そこよりさらに約300メートルほど登ったところに左方向への分岐があるのでそちらへ折れる。その後は道なりに進めば良いのだが、この分岐の直後に大規模な工事が行われているため注意をしたい。この地は今「伊豆縦貫道河津下田道路」の建設の真っ最中で、工事関係車両の行き来が多いのである。昼間は交通誘導員が立っていて親切に案内してくれるが、早朝や夜間はそれが無いためスピードを落として通行すると良い。その大工事地帯を過ぎ、大鍋地区の集落を経由したのち道はやがて林道となる。

建設中の伊豆縦貫道河津下田道路(2019年5月27日撮影。)

337

林道に入って目指す地点はおなじみ「地理院地図」の標高337と書かれているあたり。実際の平面上の目印としては、林道が大きく右方向に向かって折れ曲がっており、その逆方向、つまり左手側にオレンジ色のカーブミラーがポツンと一本地面に突き刺さっているだけである。今回はこのカーブミラーの内側少し広くなったところに車を置き、そこから大鍋川本体に向かう。大鍋川は今いる林道から見て谷の下にあるため、今からそちらを目指して急坂を降りることとなる。
午前11時、いつものようにウェーダー、フローティングベスト、ヘルメットに身を包み早速、斜面を降り始める。ここの斜面はガレ場となっており幾分歩きにくいため慎重に歩を進める。

大鍋川の谷に思うこと

この大鍋川の谷についてだが、今回使用した林道のある北側斜面は急激な傾斜地となっていて、岩盤剥き出しのところも多い。その剥き出しの岩盤はときに「崩落」という形で上方向から下方向への移動を行っている。この崩落という現象によって、落石、落石の激突、ガレの発生といった現象が不定期的に行われているため、ここは決して安全な場所とは言い難い。特に、あらゆる業種にとっての作業道となる林道にしてみれば、落石は交通の妨げとなるため仮にも直撃しなければ良いという問題だけではないのだ。そういった問題を半強制的に抑制する建設技術がある昨今において、あえてそこに乗り出さず自然ありのままの姿をできる限り残していること、これは素晴らしいことである思う。私は伊豆半島のみならず各地の山に出向くのだがいわゆるこのような崩落危険箇所、落石危険箇所というのは法覆工で固めきられてしまった場所が多く、景観を損なっている。コンクリートで塗り固められてしまった崖というのは白く無骨で、無残なことこの上ない。そこまでして、自然の姿を醜くしておきながらさらに最後のだめ押しとばかりに「落石注意」などという看板により心理的圧迫感に満ちた言葉を放ったとすれば、その地を訪れた者はその気持ち悪さに、ヒェー!!と足早、その場を通り過ぎ去るであろう。

この大鍋川の林道では、奥地にあるワサビ農家さんとよく車ですれ違うが、その人らはどのような考えで、この林道を将来に向かって受け継いでいこうとお考えなのであろうか?毎日のようにこの危険地帯を通り過ぎ、ワサビ田に向かうのだ。自然の景観としては美しいことこの上ないこの大鍋川の谷に幸せを感じながら毎日作業に向かうのであろうか?

私自身においては毎回ここを幸せな気持ちで利用させてもらっている。

大鍋林道

美しい自然景観を残すために

そんなことを考えながらガレ場を降りきると渓畔林に覆われた平坦地帯に出る。左手方向に見える大鍋川の清冽な流れをさかのぼるようにして少し歩くと堤体本体にたどり着くことが出来る。堤高は10メートル程度とこの大鍋川の深い谷に対比すれば決して高くは無いのだが、渓畔林の樹冠の高さと比べたときにそのことが放水路天端の見やすさに一役買っていて相対的なバランスとしては良い。堤体左前方には小さなゴロ石畑が広がっていて、それらが上方の渓畔林の切れ目からの日の光を浴びて、まるで生き物のようにコケの冠をかぶったその顔でこちらに語りかけてくる。
とても美しいところであり、多くの方に同地への訪問をおすすめしたいのだが、道中に前述したとおりの危険箇所を含んだ行程となっている。そのことに納得していただいた上でご自身にとっても他人にとっても迷惑とならないよう徹底した安全管理のもと楽しんでいただくのが理想だ。私自身においては絶対にここでは事故を起こしてはならないと肝に銘じている。当たり前である。こんなにも美しい自然景観がコンクリートで塗り固められる日などとうてい受け入れられないことなのだ。

大鍋川上流砂防ダム


駐車場に苦慮

山では常に“無料”な反面、注意が必要。

前回の記事では沼津市戸田の観光スポットとして雉ヶ尾滝や戸田しんでん梅林公園を紹介させていただいた。いずれの観光スポットも目指した砂防ダムに隣接する形でそこにあったため紹介することになった。特に戸田しんでん梅林公園に関してはトイレや駐車場を備えているという事もあって、現地で野外活動をしてみようと思っている人にとって有益な情報を発信できたと思う。日頃から伊豆半島各地の砂防ダムを訪問している私自身にとって、そこにたどり着くための “足”は常に自家用車であり、電車やバスと違って時間に縛られることなく自由気ままにどこへでも行ける反面、最終的に車を停めるところ、つまり駐車場に苦慮するケースが多い。

適正な駐車場所への駐車

どこの山に行ってもそうなのであるがその土地の所有者、管理者、地域住民のところへ足を踏み入れるよそ者の自分自身としては、なるべくそのような方々とトラブルを起こさないように行動すべきであると思っているし、ではどうすれば良いかといえば、まずはその足を踏み入れる際の第一歩とも言うべき適正な駐車場所への駐車ということに関して、何が何でも正しいあり方を体現しなければならないと思っている。これは案外難しいことで、たとえば初めて行った土地で、―あぁ、あそこに車が停められる!―と判断したとする。しかしその場所は普段、その地域の林業者や農家の方が仕事をするにあたって作業用車両を置いておく専用駐車スペースであったりしたらどうであろうか?どうであろうと言ったってそんなことを初めて訪れたよそ者は知るよしも無いわけで、良かれと思って駐車する→じつはダメでもめ事になる。となるのだ。幸い私自身においては未だかつて砂防ダム行脚においてそのような経験はないのだが、各地の林道にそういった車を停めてもいいのか、ダメなのか?あやふやな場所は多数みられるし、そのような場所にはできれば車を置きたく無いわけで、であるからこそ公式的に「駐車場」として解放されている戸田しんでん梅林公園駐車場のようなところは大変にありがたいのである。

今回紹介する「戸田もてなしの里公園」

戸田もてなしの里公園

前回の記事に貼り付けた画像を見ていただければお解りの通りである。画像にある看板には「戸田もてなしの里公園」とあるが、今回はそちらを紹介しておこうと思う。交通アクセスは、看板に従って進む。これだけ。道形に数百メートル行くだけで公園に出ることが出来る。広い芝生はグランドゴルフ場を兼ね備えた芝生広場で当日(2019年5月20日)はセイヨウタンポポが咲き乱れていた。公園の設備としては戸田しんでん梅林公園同様トイレ、駐車場があり、そのほか公園の最も西側の一角にはタチバナ農園があり、なんとここは公園の利用者向けに農園が開放されているという点が珍しい。また、公園の南側には画像にある案内図の通り「四季の林木漏れ日スポット」というエリアが設けられ広葉樹の下を散歩することが出来る遊歩道様の道がある。その遊歩道を外れ、さらに南側に寄ると公園の敷地を区切る鉄製のフェンスがあってフェンスの下には戸田大川が流れている。戸田大川は公園から見て崖の下にあり公園から川の中へ立ち入って遊んだりすることは出来ないのだが、川のせせらぎの音を聞くことが出来る。

戸田もてなしの里公園
トイレの屋根の向こうに
セイヨウタンポポ

大好物

そして何を隠そう、そのせせらぎの音の一番“鳴っている方向”に目をやると見えるのである。そう。私の大好物の砂防ダムが。
堤高は副堤も合わせて約10メートルほどあり、なかなかの規模である。前述の通り崖の下という位置関係にあるため降りることは不可能であるが、いずれ何かの機会にアクセス方法を掲載しようと思う。とりあえず今回は3年前の11月頃に撮影した画像を貼っておく。
川のせせらぎが楽しめる公園。芝生広場やタチバナもある。戸田に行った際は是非訪れてみてはいかがであろうか?

砂防ダムの存在が辛うじて判る。
堤体全景。自分の立っている側の上に公園がある。

今年から始めてみようと思うこと

今年から始めてみようと思うこと

今年から始めてみようと思っていることがある。 “朝一番の歌”である。もちろん砂防ダム音楽家である自分自身においてはその“朝一番の歌”をたとえば自宅であるとかどこかのレッスン室で、というわけでは無くて無論、砂防ダムで、ということになる。当ブログをお読みになっている方々からは、朝一番?はぁ。どうぞお好きにやってください。という声が聞こえてきそうだが、この朝一番に歌うということには私自身の大きな決意があるのでどうか関係各位にはご理解いただきたく思う。

迷惑にならないように

関係各位とは勤務先のホームセンターの皆様のことをいっている。つまりはそういうこと。出勤前の砂防ダムである・・・。
5月も中旬となった。およそ1ヶ月後には日の出から日没までの時間が1年のうちで最も長くなる夏至を迎える。現況を言えば朝、日の出時刻はだいたい5時前。空が夜の暗闇から白み始めてくるのがそれより約1時間前の4時前後。(静岡県東部地域)その4時前後から5時くらいまでの間に砂防ダムのあるところに現地入りして、準備し、約1時間うたを楽しんだあと、6時ちょっと過ぎまでに確実に現地を出発することが出来れば、会社の始業時刻に間に合うのでは無いかと考えた次第である。

あめがパラつくなか

5月13日朝3時45分。自宅近くの24時間営業のガソリンスタンドに私はいた。今日これから目指す沼津市戸田に向けて、まずは車の給油作業を行う。実はこのとき、雨がパラつき始めていたため多少の不安があった。まぁ不安があったと言ってもそれは実際に渓流に立って歌がやれるかどうかということについてであって、今日、この朝の時間帯に砂防ダムを目指すということそのものに対してでは無い。今日の砂防ダム行脚というのは、出勤前のわずかな時間の中で、現場に何分でもいいから立って、その後全部後片付けをした後、会社の始業時刻までに戻って来られるのか?ということを検証する意味合いがほとんどなので、不安と言うよりも、それができるかどうかということでむしろワクワクしていた。

じつは戸田が近くなっていた

戸田が近くなっていた。といっても地殻変動が起きたわけでは当然、ない。―そんな道は地元民なら誰でも知っているぞ!-と言われてしまうかもしれないのだが、沼津から西浦経由で戸田を目指すとき、西浦古宇の「レストラン井里絵」前の分岐を左折したのち道形に行くと、道は真城峠を経由し県道18号線、戸田の下り坂道残り三分の一ほどのところに出られるのである。この事実を前回戸田に行ったときに知ったのだ。前回の記事は受け取りようによっては「戸田というのは、とても行きづらい土地なのですよ。」という印象を与えかねない内容になってしまったのでお詫びしたい。上記のルートを使えば、戸田行きはかなりイージーなものになる。大変失礼いたしました。
ショートカットルートを使って、しかしカーブ等危険箇所多数によっての控えめ運転により、自宅近くのガソリンスタンドから約1時間10分ほどで現地に到着することが出来た。

中央オレンジ色の斜め線がショートカットルート

雉ヶ尾滝下流の砂防ダム

現場は戸田の観光スポット「雉ヶ尾滝」の下流にある砂防ダムである。この雉ヶ尾滝近くにはそれと並んで、「戸田しんでん梅林公園」というものが観光スポットとして拓かれており、車はその※戸田しんでん梅林公園の駐車場に停車させる。
朝5時、駐車場に車を停めさっそくウェーダー、レインコート、フローティングベストと準備を済ませ砂防ダムへ向かう。辺りはすっかり夜が明け、明るいのだが、太陽は出ておらず暑くは無い。堤体近くまで歩道を歩き、やがて落水の音が聞こえるようになったところで歩道を右側へ外れ杉林に入る。そこから慎重に足元を見ながら堤体副堤方向に向かって土の勾配を降りる。土の勾配を降りきったら50メートルほど下流方向に歩き、足場を確実に確認できたところから沢へ入渓する。ここは、沢の直前が結構切り立っているため、副堤下流側すぐの地点からエントリーすることは危険である。必ずスロープ状になった足場が一歩一歩目視できるようなところをエントリー地点とし、浮石(沢沿い壁面に引っかかっただけの石)には絶対に足を掛けない。崩れた場合大変危険である。

この看板を左折
ここは直進
戸田しんでん梅林公園駐車場。トイレもある。

1時間ほど楽しんだ後

歌は入渓点よりすぐのところで楽しめる。当日はそこで約1時間程うたを楽しむことが出来た。やっていることはいつも通りなのだが、今日は出勤前という特別な条件付きであったため、とても新鮮な気持ちで楽しむことが出来た。現場を6時に上がり、車を駐車場から発進させたのが6時20分頃。それから帰り道、いや、通勤には行きと同じ1時間10分ほどの所要時間を掛け、会社には到着することが出来た。もちろんこれは始業時刻以前の到着である。万一交通渋滞が起きた場合の迂回路もあらかじめ何本か設定しておいたが、それらを使うこともなく順当に事が運んだことによっての大成功の“朝一番の歌”であった。

※戸田しんでん梅林公園周辺は果樹園、椎茸のほだ場等の農地です。同地を訪れた際はそれらには絶対に立ち入ることの無いようお願いいたします。また、車で走行する際は農家の方の邪魔にならないよう、すれ違いには農家様優先の走行をお願いいたします。

堤体全景。(別日に撮影。)
マナーを守って楽しむ方にはきちんと展望台が用意されている。この場所に来ることは基本的には歓迎されているのだ。

戸田峠越えて反対側は?

前々回、伊豆市修善寺にある桂大師とその上流部の砂防ダムについて書かせていただいた。現場は、水が堤体下部を伏流する形で流れており、自分の理想とする音楽環境とは異なる、残念賞の砂防ダムであった。理想的な砂防ダムというのは、重力コンクリート式の不透過式砂防ダムで、水がいくらかジャバジャバ流れ落ちているようなところである。その水がジャバジャバ流れ落ちている音の環境の中で、どれだけ芸術家曲を歌えるのか?響きの面でいかにマネジメントできるのか、といったところに砂防ダム音楽の楽しみというものがあるわけで、水の流れないしんと静まりかえる、当地の現場環境は不十分と言わざるを得なかった。やはり、砂防ダムを目指していて落水のあるところに行かなければその楽しさは味わえない。―となると、さて、今回はどうしよう―ということになった。いろいろな候補地があげられたが、その中で戸田大川というキーワードが出てきた。戸田に行くこと、それはつまり湯舟川や桂大師を構える伊豆市修善寺と戸田峠をはさんで反対側に入ることを意味する。なぜ、戸田大川に決めたのかと言えば、伏流に関する調査がしたかったからである。伏流という現象が起きることの原因は様々であるが、その中の一因として水量不足があげられる。付近の山のピークでは達磨山の982メートルがあるが、単純に数値的なものから言えば低すぎることは無い。私の経験上、標高の低すぎる山というのは得てして伏流している場合が多い。逆に標高の高い山ほど水を豊かにたたえる能力を持っているものなのである。戸田峠(達磨山)をはさんで東側では残念な結果に終わったが、では、西側ではどうなのか?その辺の調査も含めて今回、戸田大川に入ることを決めた。

藤の花(当日撮影。)

へだといえば

戸田と言えば御浜岬や戸田湾、またそこで水揚げされるタカアシガニ、戸田温泉などが有名である。とくに自然現象で作り上げられた戸田湾はパッと地図を広げてみたとき、起伏のあれこれ多い伊豆半島の海岸線の中でも特徴的で目を引く。釣り雑誌等のメディアでも頻繁に取り上げられるなどしていたため、私も戸田という地名もその漢字の読み方も魚釣りを通して知った。やはり戸田と言えば海なわけでその山間地域はなかなか注目されることは無い。ところが・・・。である。この戸田の地を西伊豆の海岸線を通って訪れた方にはわからないであろうが、修善寺側との往来に戸田峠、つまり県道18号線を使ったと言う人ならばおわかりいただけるであろう。地図上で見た感じ、いかにも山道でウネウネとした区間がチョロっとが描かれているのだが、これがびっくりするほどの急坂なのである。スポーツカーなど馬力のある車でサラッと超えてしまったという方は何も感じなかったかもしれないが、軽自動車等、それほどパワーの強くない車でのこの戸田峠越えという物はなかなかつらい物なのである。わたしは以前、軽ワンボックスカーに乗っていて、そのときに初めてこの坂を登ったのだが、はっきりいってもう二度と同じ車ではやるまいと思った。上がれど上がれどいつになっても峠が現れず本当に面食らってしまった。あまりにもこの坂で得た衝撃が強すぎて、次の車の買い換え時に「戸田峠を余裕を持って超えられる車」と意識したほどなのである。

今そこにある砂防ダムを楽しんでいるだけ

そんな急峻な山稜をもつ当地なだけに土砂災害に関するリスクも相当に大きい地域であるということがいえる。この地域の山間部に局地的に大雨が降ったとすれば、山の斜面が急勾配である当地においては、その雨水が一気に下流部の戸田集落に押し寄せる。その一気に押し寄せる雨水はその猛烈な勢いによって土砂のみならず大型の石や大木を動かすだけの能力を含んでしまうがゆえに、それに対処するインフラとして河川には三面護岸や砂防ダムを含む大小の堰堤が構えられている。自然形成された御浜岬など景観に関して格別な配慮をしている海側と比べて、大雨という自然物理に対して、なにがなんでもということで景観や水中生物に対して何の配慮も無い形で臨む山側のこのような姿勢は皮肉にも思えるが、住宅等市民(村民)の財産を守るというそれぞれの建設当時の「思い」を考えれば、致し方ないのか?と思うのである。私自身においては、そういったインフラに対して賛成だとか反対だとかいうものは全くなくて、ただ、いまそこにある、現実的に建造されている砂防ダムというもの、また、その周辺空間において純粋に音楽を楽しんでいこう。ということなのである。

画像左中央部辺りから入渓する。
戸田村とある。
入渓点入ってすぐの堰堤

5月6日、

5月6日、今回は戸田大川の最上流部の砂防ダムに新規開拓ということで入った。前述の県道18号線を戸田集落側から修善寺方面へ走ると県道が戸田大川から外れる地点があるが、そのまま戸田大川沿いを行ける林道に向かって直進しそのまま道形に一般車両が入れるところまで上がっていく。すると、最後「雉ヶ尾橋」という橋のところに出られるのでその雉ヶ尾橋の手前の道幅が広くなったところに車を置く。橋の手前側に丸太置き場がありその丸太置き場を入渓点としてそこから上を目指す。ここは、かつて村民用の簡易水道の取水施設があったところでその名残が散見される。沢沿いの道も区間全域ではないものの一部カラースプレーで矢印がマーキングされたり、道を示すように土嚢袋が連続で置かれたりしている。そんなものを見ながら約30分ほど登ると画像にあるような砂防ダムに着くことが出来る。幅、高さともに5メートルほどのあまり大きな堤体では無いが、見ての通り渓畔林に色濃く覆われたところにあるため音は響かせやすい。光の面から見ても暗くなっており、しかしながら堤体本体の水通し部分は日の光を浴びて輝いており、気分的な安らぎを感じながら音楽を楽しむことが出来る。

矢印のマーキング。
砂防ダム手前は渓畔林によって暗くなっている。

やはり適度な降水量が必要

戸田峠をはさんで反対側、桂大師上流の砂防ダムは伏流であったが、ここはかろうじて、わずかながら、水通しを越流し落水する形で水は流れている。この感じだと、雨が数日降らなかった場合では伏流も考えられるが、当日は運良くギリギリ水が流れ落ちる状態の堤体を見ることが出来た。今年のゴールデンウィークはよく雨が降ったということもあり、このような状態の堤体に巡り会えた。雨の少ない冬期よりもこれからの時期ますます面白くなってくる場所であろうと思う。当地を訪れる際はくれぐれも安全装備でけがの無いよう登っていただきたい。

さらにもう一つ上に一基あるがこちらは明るめ。
サワガニがシーズンイン。


副業先のホームセンターで

私は普段、副業先のホームセンターで砂防ダム音楽家であるといろいろな方に説明した上で働かせてもらっているのだが、ある日このような質問を受けた。
―なぜ、滝ではなく砂防ダムなのか?-
これは、私の年下上司であるヨシキ氏からの言葉である。当ブログをご覧になってくださっている方で同じような疑問を持っている方も、もしかすれば多いのかもしれないと思い、今回その点について解説しようと思う。砂防ダム行脚を含まない記事になってしまうが、お許しいただけるのであれば、どうかお付きあい願いたい。

中伊豆、萬城の滝

滝ではダメなのか?

まず、滝ではダメなのか?ということについてだが、こたえはNo!である。滝というものがその場所に存在するようになった背景は様々な要因があり、滝にも様々な種類がある。様々な種類とは、ここでは滝本体の周辺環境、周辺空間のことを言っていて、その現場の状態によっては、砂防ダム同様の“価値”が認められ、砂防ダム同様に音楽が楽しめるのである。このような言い方をすると多くの滝愛好家からお叱りの言葉を頂戴してしまうかもしれないが、音楽家の私自身にとっては、滝と砂防ダムでは、砂防ダムの方が価値が高く(これまでの経験上、素晴らしい砂防ダムに多く出会ってきたため。現在では。)、できればそちらを目指したいという意欲が勝っているのである。

萬城の滝より上流にある通称「カーテン滝」

砂防ダムの音楽を始めた頃のはなし

現在、自分自身としては滝よりも砂防ダムの価値が高い。としたが、砂防ダムで音楽をするようになったそのはじめの頃はどうであったかということを述べさせていただきたい。時は2016年の夏頃であったと思うが、人生で初の砂防ダム体験を経験した私は、その魅力にどっぷりとはまってしまい、砂防ダムという、水が直下に流れ落ちるというその景観、音響環境から、「滝」というシチュエーションの中でも同じように、楽しい音楽体験が出来るのではと、滝めぐりをしたのであった。ネット上のブログなどで滝に関する情報を得ては、その場所へ出向き、滝を見つけ、声を出したり、歌ったりして、ここで音楽が出来るものなのかどうか?ということを考えたものである。そう、いま思うと考えたり、悩んだりすることが多かったように思う。

滝めぐりをしてわかったこと

滝めぐりをしてみていろいろなことがわかった。まず、前述の通りインターネット上のブログなどの情報を頼りに、様々な滝を見てまわったのだが、そこは全て、インターネット上の“電子活字”で語られる“名前のある滝”であった。ゆえに滝本体が観光名所として開発された場所にあるものであったり、滝そのものが寺や神社などの伝説物やご神体として、崇拝の対象となっているものであったり、私の住む沼津市と隣町である長泉町境にある「鮎壺の滝」のように周辺が公園として整備された滝であったりと、とにかく多くの人が往来するような場所が多かった。そのせいもあって、滝というものに対して“公共の場”というイメージがついてしまった。私自身は前述の通り、いの一番が砂防ダムであったことから、砂防ダム行脚と平行して滝めぐりをしていたため、人がほとんどいなくて、好き放題、声を出して歌える砂防ダムへの比率が徐々に高まっていったと思う。砂防ダムを目指すことになった理由の一つに、人がいない、ということがあげられると思う。

砂防ダムに決めたわけ

そのようにして、滝に行ったり、砂防ダムに行ったりを繰り返していたのだが、あるときの砂防ダム行脚をきっかけにそれ以降砂防ダムばかりを目指すようになったのである。その日のことについて記したいが、細かいことについては記憶上曖昧な面もあるため、ご容赦いただきたい。時は2016年の秋頃の話しで、場所は伊豆半島、沼津市旧戸田村(へだむら)井田川での体験であった。時間帯としては夕暮れ~日没前後という条件であったと思う。県道17号線より、井田川を上流方向に入っていったところすぐに、堤高4メートルほどの小さな砂防ダムがあり、その堤体下流30メートルほどのところに私は降り立った。ここへ来た理由としては、以前この場所に一度来て堤体の写真撮影を済ませていた(なぜ、最初の訪問時に気がつけなかったのかは不明。)にもかかわらず、デジカメの操作ミスでメモリーを全削除してしまい、畜生と思って当地を再訪したのであるが、その日いちにちの終わり、一日の締めのつもりで声を出してみたのだと思う。滝やら砂防ダムやらをあちこち巡りまわり、それでもはっきり「これだ!」というものを見つけ出せず、自分のそのさき将来に不安を感じながら、そして今日も日が暮れて一日が終わりゆくのだ。とでも思いながら、人生、途方に暮れながら、の歌であったと思う。

驚きと発見

するとどうであろうか。自分の声がワァーと響くのである。砂防ダムという空間で音を響かせられるのか半信半疑であった当時であったと思うが、「間違いなく、ここは響くタイプの砂防ダムだ。」という確信を持った瞬間であった。現場は砂防ダムを取り囲むように広葉樹の渓畔林が押し寄せ、奥行きもあり、下草もうっそうと生い茂った夏の季節の出来事である。今となっては砂防ダムの音楽に、その左右を取り巻く崖や渓畔林の存在が必要不可欠であることが当たり前の事実となっているのだが、その当時は、そのことをよく理解していなかったため苦労したと思う。そして、「ここは、いままで行ってきた場所とは違う。山の木々が音を響かせているのだ。音を響かせるためには木々の生えたところに行かないと行けないんだ。」と気づいた瞬間でもあった。

“撮り直し”となった日の一枚。この日の経験から変わった。

そのような体験から

それ以降に関しては私はほとんど滝に行くことはなくなり砂防ダムばかりを目指すようになった。旧戸田村井田川での経験は自分にとって宝物になった。砂防ダムを見るときはその左右を取り巻く崖や渓畔林を重視するようになり、音がうまく響かせられないときにはまず堤体よりも山の斜面や木々のことを考えるようになった。滝というのがダメなのではなくて、滝の周辺環境、砂防ダムの周辺環境を比較していったときに川をせき止める形で造られた砂防ダムの方が結果的に優れた空間を多く作り出している。ということなのだ。ヨシキ氏の―なぜ、滝ではなく砂防ダムなのか?―という問いに対しては、―砂防ダムでも滝でも良いがどちらかと言えば砂防ダムで、それはなぜなら私が音楽空間の善し悪しを判断するときに、その滝本体、その砂防ダム堤体本体だけでなくその周辺環境全体として見て、判断して、砂防ダムの方が音響的に優れた場所が多かったから。―ということになる。

渓畔林がなくとも、崖から響きが作られることもある。静岡市興津川。

本日は前回の続き

桂大師までの道のり

前回、伊豆市修善寺にある湯舟川ふれあい公園への記事を書いたが、今回の砂防ダム行脚はその続きといってもよい内容になる。地理院地図によれば、湯舟川ふれあい公園の入り口より400メートルさらに上流に、支流の沢との合流点があり、その沢には点線で描かれた徒歩道が寄り添う形で伸びている。徒歩道は直線距離にして約750メートルほどの長さで途切れ、その先には“修禅寺のカツラ”との表記がある。どうやらその場所にはランドマークともいうべきカツラの木があって、そこに向かって道が延びているようなのである。そして、その修禅寺のカツラより約400メートル上流にうれしいうれしい二重線が見つけられたため、今回、砂防ダム行脚は計画された。当地へ訪れた日というのはそれぞれ異なっているが、前回、今回とお互い(スタート地点だけ見れば)場所が隣り合っているため、1日で両方行くことも可能であることから、この記事を見て現地へ行ってみたいと思った方は、前回分とワンセットにして参考にしていただければと思う。尚、今回分に関しては、未だかつて行ったことの無い場所であるため、砂防ダム行脚の新規開拓の記事になることをあらかじめお伝えしておきたい。

駐車スペースの看板

桂大師の看板が目印

4月18日午前6時湯舟川ふれあい公園、上流400メートルにある駐車スペースに車を停める。この駐車スペースの目印として「桂大師」と書かれた石碑と看板があるためスタート地点はすぐにわかる。今回はこの先の行程が未知であるのだが、修禅寺のカツラ(以下、現場の表記に従い、桂大師)まではハイキングコースとなっており、その山の等高線から判断できる高低差は130メートル以上あるためウェーダーはいきなり履かず、リュックサックに入れて背負うことにした。午前中まだ早い時間であったため、気温20度レベルの暑さにはならないだろうと考えたものの、それでも、スタート時に通気性のそれほど良くないナイロンウェーダーを履き、それだけの高低差を登行しようとすれば、ウェーダーの中は汗でグショグショになるのは目に見えてわかっていることのため、とりあえずは山靴を履き、水場等で行く手を阻まれた段階になったらウェーダーに履き替えるという作戦を敷いた。足元以外の準備も済ませ、まずは入り口にかけてある木の橋を渡る。

この橋がスタート地点となる。

ハイキングコースをひたすら登る

今回目指す砂防ダムの中継点ともいえる桂大師まではハイキングコースになっているだけあって、しっかりとした山道がついている。スタート地点に架かっていたような橋も途中何本か同じように整備されているし、看板も要所ごとに複数設置されていて迷わない。沢との高低差があるような崖沿いには転落防止のロープが張られたりもしている。このようなことから判断すると、これはやはり、この桂大師というものがそれなりに人気があるため、ここを訪れる人もそれなりに多いため、このようなしっかりとしたハイキングコースが整備されているのでは。と思った。しかしながら、では、目的地の桂大師まではお手軽楽々な山道なのか、というとそうでもなくて、山の傾斜はさほどきつくはないものの、とにかくダラダラと登り続けるようなタイプの道が続くので結構きつい。途中、緩斜面というかもっと平坦に近いところがインターバル形式で現れてくれればそうでも無いと思うのだがとにかく登り続けることを余儀なくされるため、休みが取れない。(止まって休めばいいのだが。)源流釣りマニアのような人物であればこのような沢沿いのほぼ直線的な山道であっても、そのワクワクの期待感から、登り進んでいくのは苦にならないと思うが、それ以外の方、沢などというものにはさほど興味が無い人にとってはこのような直線的な沢沿いルートはきついと思う。私自身においては息を上げながら約30分ほどの行程で桂大師に到着することが出来た。

桂大師の直前。画像中央下部の丸太橋を渡る。
桂大師
静岡県指定天然記念物とある

桂大師

さて、いよいよ桂大師を過ぎての沢登りとなる。無論、この先はハイキングコースなど整備されていないため自分自身で決めたコースで沢沿いを行くことになる。とりあえず川の状況としては渇水気味でウェーダーを履かなくても行けそうな雰囲気であったため、足元はそのままで続行することとした。川はキンボールサイズの石が中心となるなか、途中それよりも大きい石に行く手を阻まれた際は、脇の林間から巻いたりして(遠回りして)、クリアするなどして歩き続けること約30分で目的の砂防ダムにたどり着いた。砂防ダムについて、画像を見ておわかりいただけると思うが、残念。水が流れていない。いわゆる、伏流状態になっているのである。この砂防ダム堤体より上流部から堤体の直下、堤体下流部数十メートルにかけては川の水は地下水に姿を変え流れている。その最下流部は湧き水となって再び地上部に流れ出しており、まるで何事も無かったようにそこから下流へと続いているため、この事実はここに来ないとわからない。新規開拓につきものな残念賞の砂防ダムであった。
それにしても、ここは途中の感じからしても渓流大好き人種の釣り人さえも訪れたりするような沢では無いように思われ、多分、人の出入りは本当に少ない砂防ダムであろうと思う。人間によって造られたこの10メートル超の城壁はこれまで幾度もの大雨からその下流部の文明破壊を守ってきていながらも、こうして何者にも気づかれること無く静かに山のなかにひとり佇んで、今日もその与えられた生涯を全うしている、というその格好を見ていると、心には本当に愛すべき念のようなものが生まれてきて、ただ引き返す気にはなれず、感謝の意も含めてこの場所で大いに音楽を楽しんだ。春の鳥ウグイスが鳴いているほかは、そよ風で木々の葉がこすれる音がするぐらいの静かな空間の中、思いのほか楽しく活動をすることが出来た。砂防ダムの左右には豊かな樹冠が広がり音響が良く、また、このとても静かな空間の中で音を響かせることで改めて山の中で音楽をすることの素晴らしさを再認識することが出来た。このような水の流れていない砂防ダム空間でも案外、音楽を楽しめるのだということがわかった、大変、収穫の多い今回の砂防ダム行脚であった。

これを見た時点で、ん???
“城壁”全景


ウェーダーを履くことについて

ウェーダーとは何なのかが今回のテーマ

入渓の際の装備として当ブログではウェーダーを履いた、履かなかったといったことをよく書かせてもらっているが、ウェーダーというものがどんなものなのかよくわからない。という方のためにウェーダーについて簡単に説明しておこうと思う。今後もこのウェーダーというものについての記述が頻繁に出てくることになると思うが、わからないままその部分だけ飛ばすようにして読み進めるよりも理解した上で、ああ、なるほどな。とされていったほうがより記事をお楽しみいただけるのではないか、という考えからである。

端的に言えば、胴長靴のこと

ウェーダーというのは、日本語で言うところの胴長靴のことである。胴長靴のことであるのだが、主に魚釣り関係の商品を中心に巷ではウェーダーと呼ばれている。胴長靴と呼ぶのはどちらかといえば農業方面の業界で昔からいわれてきた呼び名であるように思う。下肢を水濡れから守る部分の素材としては主に二種類あり、一種類目はナイロンでもう一種類はクロロプレン(ネオプレン)だ。ナイロン素材に関しては透湿防水素材を複合したもの(ゴアテックスなど)、していないものにさらに細分化される。形状としては胸の高さまで素材で覆われるチェストハイタイプ、腰の高さまで覆われるウエストハイタイプ、両足の付け根まで覆われるニーブーツタイプの3種類があり、それぞれチェストハイウェーダー、ウエストハイウェーダー、ニーブーツと呼ばれている。さらにチェストハイウェーダーとウエストハイウェーダーには足先の構造の違い(ウェーディングシューズを別に用意して履くタイプと、長靴がそのまま一体化しているタイプ)があるため、形状上の違いで大きく分けると全部で5種類ある。そのほかの特徴としては、上記で足先構造の違いを述べているが、ウェーディングシューズの場合も長靴一体化タイプもその製品のほとんどは靴底が厚手のフェルト張りで仕上げられている。これは、ウェーダーが使用される環境においてたとえば、川石の藻がびっしり生えた上であるとか、岩場のノリがこれまたびっしり生えた上を歩くときに、滑らないようにするため考案されたアイデアを形にしたもので、ウェーダーメーカー各社製品ほぼ共通の装備としてフェルト底が採用されている。また、このフェルト底だけでは対応しきれない超スリップ危険地帯を歩くことに対応させたフェルト+スパイクピンのタイプも※最近では多くなった。(※正確には最近、低価格ブランド、廉価製品でも多くなった。)

ウェーダーの価格は様々。高価格帯は伸縮性、耐針性などに優れる。

最近では・・・。と。

最近では。などと書いてしまったが、私はもうウェーダーというものを履き始めて20年近くになる。最初にウェーダーを買ったのが高校生の頃で、それ以来、何本かの買い換えは経ているもののウェーダー歴は短くはない。砂防ダムを前にして歌うようになって2年半ほどなので、そのほとんどの期間はウェーダーを釣り道具として見てきたが、ここへ来てウェーダーというものが音楽関連用品として変化した。このようなことは私自身も無論予想だにしていなかったことであるが、ウェーダーが自分にとって音楽用品となり、日々の渓行に大いに役に立っていることを考えると「ウェーダーを履いていてよかったなあ。」と思うのである。もちろんこれは、その間の経験が生かせるから。という理由からである。

修善寺ICで下りる。

今回行ったところ

今回、湯舟川ふれあい公園に行ってきたので紹介しようと思う。静岡県東部地区の桜が満開となった4月4日、静岡県伊豆市修善寺にある湯舟川ふれあい公園を訪ねた。修善寺といえば曹洞宗福知山修禅寺や温泉で有名な当地であるが、今回はその修善寺にある砂防ダムの紹介である。現地までのアクセスであるが、静岡県東部地域、国道136号線を南下する。途中、有料道路、伊豆中央道、修善寺道路を経由し修善寺ICで下りる。修善寺ICは前回の田沢川への渓行で使用した大平ICの一つ手前のインターチェンジである。修善寺ICで下りたあと、修善寺温泉街のメインストリートとなる県道18号線を行く。そのまま修善寺観光の中心地「修禅寺」前を通り過ぎ、輪田橋という赤い橋の前も通り過ぎる。そのまま道形に行き画像Ⓐの分岐で左折する。ようやく橋を渡り、対岸側の丁字路を右折する。その後は修禅寺奥の院の案内標識にしたがって進む。今回行きたい湯舟川ふれあい公園は修禅寺奥の院の更に奥行ったところ600メートルほどにあるため、この案内標識そのものが、ふれあい公園の案内になるのだ。途中、分岐点について画像を掲載するので参考にしてもらいたい。

画像Ⓐここを左折
ここを左折
ここを右折
すると水池橋に出るので渉る。
湯舟川ふれあい公園入り口。画像左部分にあるのが公園の柵。

湯舟川ふれあい公園について

湯舟川ふれあい公園についてだが、5基の床固工(正式には砂防ダムでは無く床固工)からなる言わば河川構造物区間とその周辺域、おもに北岸側の区切られた土地を公園として解放している。「土地」などという言い方が適切であるほど何も無い公園で、設備のそれとしてはベンチが数個置かれているくらいの程度である。トイレすら無いためここを利用していて、もしもという事態になってしまったら、修禅寺奥の院のトイレを借りて緊急時対応することになる。当日行ってみて、キャンプファイアーをした残骸なども見受けられたが、トイレすらないようなこの公園で宿泊をしたのであろうか・・・?
さて、私自身のお目当てである、床固工であるが、このような公園内のお手軽な雰囲気の場所にあっても、前述したウェーダーの着用によって安全な渓行を実践したい。当日も床固工によって緩やかになった川の流れの中は藻だらけで、フェルト底を備えたウェーダー類以外での歩行は滑って危険と思えるような状態であった。公園敷地内のお手軽スポットゆえ、これからの季節はサンダル履きで河川内に立ち入ることも予想されるが危険である。たまたまこの地を訪れた一般市民ならある程度致し方ない気もするが、この記事を読んだアウトドアーマン、音楽家は、是非万全の装備で臨んでほしい。ニーブーツなどはこのような公園でもおしゃれで場の雰囲気にもアンマッチにならないと思う。私自身においては、どんな場所でも足元がしっかり安定した状態で、気持ちに余裕を持って音楽表現に勤しみたいと常日頃より思っているのである。

湯舟川第5号床固工。ベンチが備えられている。
湯舟川第4号床固工。第5号よりも響きがよい。
湯舟川ふれあい公園の案内板
修禅寺奥の院。


まずは、地理院地図から

発電のための取水を目的とした堰堤。仁科川。

あちこちの砂防ダム行脚をライフワークとしている自分にとって、砂防ダム空間の新規開拓、つまり、今まで行ったことのない砂防ダムを見つけるというのは、いつも新鮮で楽しいものなのである。国土地理院発行の地理院地図、2万5千分の1サイズを見れば山中(さんちゅう)の沢にところどころ、黒く二重線が引かれている場所がある。二重線は下流側の一本がただの直線で描かれ、上流側の一本は破線で表現されている。この二重線は地理院地図の枠外下の欄にある凡例を見れば分かるとおり“せき”を表している。広辞苑によれば“せき(堰)”とは―「塞く(せ)く」の連用形から)取水や水位、流量の調節のために、水路中または流出口に築造した構造物。いせき。―とある。要約すれば、そこに水の取水や流量調節の目的をもって、河川構造物があるということ。実際、現場に行ってみると確かに、水道関係、農業関係、電力関係の取水口というのが、その堰の本体であったり、上流側に設けられている。取水口に“分流”する形で水が河川本流より“逃げていく”のだから、その堰の下流側というのはおのずと水量が減ずるというのは想像に難くない。私が専ら目指す砂防ダムもこの堰の一種で地理院地図の表記に従いその場を訪れると、前述の二重線の描かれた位置のだいたいのところで出会うことが出来る。砂防ダム(または、砂防堰堤)の堤体の名称については、そのようにして訪れた時々に、国土交通省による立て看板や、堤体本体に刻まれているプレートによって確認を行っている。このようなことから、国土地理院は地理院地図作成上、定義として堰の中の一種に砂防ダムを含んでいるということがわかる。そうなってくると、砂防ダムの持つ機能、山の流出土砂の貯留や調節、渓岸や河床の不安定土砂の二次移動の抑制といったものに一切触れることなく、ただ取水や水位、流量の調節のために・・・と謳う広辞苑の説明というのは全くもって不十分で、砂防ダムを仕事とする者の一人として残念でならないのだが、広辞苑という一般市民向けの書籍に対して、建設用語辞典並みの記述がないというクレームを呈するというのは、いささか衒学的な感じもする。何事も最初は本当に本当に簡単なところから(特に若い人には)興味を持ってもらいたいし、当ブログを読んでくださっている方のほとんどが非建設関係の一般市民であると思うので、国土地理院と、広辞苑出版社のそんな定義の違いをただ鼻でご笑納いただければ幸いである。

仁科川水系、白川

今回訪れた白川であるが、場所は静岡県賀茂郡西伊豆町にある。源流は賀茂郡河津町との境にある猿山から諸坪峠あたりまでの尾根に端を発し、最下流部は二級河川、仁科川に合流の後、駿河湾に流れ出る。白川に面する唯一の集落「白川」よりも上流域の地帯はかつてミョウバン鉱石の採掘を行う戦線鉱業仁科鉱山があったところで、今回のスタート地点はその戦線鉱業の中国人殉職者慰霊碑広場になるためまずはそこまで車で向かう。

慰霊碑と奥には小さな谷止工。

背負う物は、リュックサックと歴史

3月28日午前10時、中国人殉職者慰霊碑広場に車を停め準備に取りかかる。と、その前にやはり、慰霊碑前に立つ。ここに来たときはいつもこの慰霊碑の前に立つのである。きっと誰でもここに来るとそうなるであろうと思う。今日はツルハシを担いだ男がいつも以上に私のことを鋭いまなざしで注視しているように感じられた。―あなたの存在、慰霊碑のことをを広くブログで拡散するから―と男に約束し、慰霊碑の階段を降りる。―よし、準備を始めよう。―本日は、ここから約一時間、沢沿いの林道を上るようにして歩くのでウェーダーは履かず、スニーカースタイルとなる。ウェーダーはリュックサックに収納し準備が全て整ったところで入り口の鍵付きゲートを超える。道はこのゲートを超えてすぐ直進方向と右折とに分岐しているが、直進側を選び、あとは沢沿いにただひたすら進めばよい。ところで今回の目的地となる砂防ダムであるが、前述の“地理院地図”から探し出したものである。この白川最上流域で沢がY字型に形成されているところが地図上にあり、そのY字の頂点にそれぞれ一個ずつ前述の“二重線”がある。Y字自体は非常にコンパクトで、極めて狭い範囲内の移動で二つの砂防ダムが楽しめるという、砂防ダム音楽家にとっては非常に魅力的な場所なのである。しかも砂防ダムの規模としては中型クラスの5メートルサイズと小さすぎることがない上、重力コンクリート式であるという点もまた魅力的なのである。この手の狭い範囲内での砂防ダム建設では一基あたりの建設コストを抑えるために、ダムを小さくしたり、鋼鉄素材にしたりというパターンが多いのだが、ここは違う。そんな魅力に惹かれての一時間歩きの今回である。

途中にあるもの

“Y字”までの途中には、Ⓐ~Ⓒの砂防ダムがあり、これらでも音楽は楽しめる。しかしながら、前述したような魅力を持った“Y字”が控える白川なだけに今日はそちらを目指す。だいたいスタート地点から40~50分くらいでⒹの橋に出られるので、そこからはウェーダーに履き替えて、500メートルほど沢沿いに上っていけば、目的地の“Y字”にたどり着ける。画像Ⓔが向かって左側の砂防ダム。画像Ⓕが向かって右側の砂防ダム。

地図上の表記によれば

地図上の表記によればⒺの方が本流なのであるが、水の流量はⒺⒻ共にさほど変わりはなく、どちらも正式には砂防ダムではなく谷止工なのかもしれない。二つの谷止工から、つまり二つの沢からだいたい等しい程度の水が合わさって白川を形成しているといった感じだ。この場所は前述したように、二つの砂防ダムを極めて狭い範囲内の移動で楽しむことが出来る。やや残念な点があるとすればこの二つの砂防ダムの堤体本体を前にして立つとき、いずれも、堤体に対して体を平行に向けることが出来ないという点がある。うまく響かせようとして後退するとどうしても堤体に対して斜め方向から声を発するという形になってしまうのだ。どちらかといえば、ここだけ、となってしまうのにはつらい場所であるが、いろいろな砂防ダムを経験したのち、その次の一ヶ所として研究目的で訪れるのにはいい場所であると思う。

雨、でも夏が近いから・・・

また今日も雨が降った。3月21日、前日より前からヤフーの週間天気予報で確認をしていたのだが、この日は雨予報。それも、私の住む静岡県東部地域だけが、ということなのではなくて、日本列島、本州全域にわたって、というのだからもうお手上げ状態である。そして迎えた当日。雨は午前6時頃より降り始めた。―もう、雨のことは良しとしよう。―雨が降ることに関してはあきらめがついた。週間天気予報のおかげで、雨が降った場合の行き先も事前に決めることが出来ていた。心にあるのは「この雨が土砂降りにならないでくれ。」ただそれだけであった。

本日はこちら

もう3月下旬である

もう、3月に入って20日が過ぎた。今日のような冴えない天気の日と違って、晴れた日の日中の最高気温は20℃を超えるような日もチラホラ出てきた。山の天気は平野部に比べて低いとはいえ、日なたを歩けば暑いし、歌うという行為そのものが難しくなってくる。私はこれまで四季を通じて様々な場所で砂防ダムの音楽を展開してきたが、最も難しいのが夏の季節なのである。それは、私の愛する音楽がヨーロッパの寒い地方の音楽である、ということも関係しているのだと思うのだが、それだけではなく以下のような理由にあると、自分では分析している。

夏、山梨県相又川

夏を楽しめなくなってきている

真夏のミンミンゼミが鳴きしきるような山の中で音楽活動を行うことは困難を極める。太陽の光が燦々と降りそそぐ夏山は子どもにとってはそのミンミンゼミ採取や、川遊びなど、大喜びなことが満載なのだが、大人になった今、その太陽の光燦々というものがどうも苦手になってしまった。これまで人生いきてきていろいろなことを経験するうち、いつしか悲しい出来事に身構えするような癖がついてしまったように思う。子どもの頃を思えば一年の四季のうち、その中心は間違いなく夏にあった。夏の暑い太陽の下、生命体が皆いきいきと活発に過ごす空間の中で、それらに触れ、また自分自身も外で活発に遊びまわり、喜びに満ちた時間を過ごしていたように思う。それが、秋、冬とだんだん寒くなり、生命体が死んだり、冬眠したりで目の前からまさに“自然と”消えゆくと絶望したものである。よく言えば純粋で、悪くいえば行き当たりばったりなのである。そんな季節の移り変わりを何年も経験しながらやがて大人になり物事に対処する力を身につけるようになるとどうであろうか?人生とは夏のように万事うまくいっていて楽しくてしょうがない時間のためにあるのだという考えよりも、冬の、生き物たちが消えていった時に味わった気持ちのようなものをいかにして乗り越えればよいのかというところに重きが置かれるようになる。楽しい時間を後先考えずにただただ全力で楽しむということよりも、人生には悲しみ、絶望がつきもので、その悲しみ、絶望に対してどのように対処しようかということに心の中心が置かれるように変化していくように思う。部屋のインテリアに暗い色を使ったり、紺やベージュなどの暗い色の衣服を着たり、暗い色で描かれた絵画を見たり、ドライフラワーを美しいといって飾ったり。これらの行為は大人にしか出来ないことであり、こういった行為を日常生活に取り入れていくことで“悲しみ”や“絶望”に体を慣らしていこうとはしていないだろうか?少なくとも、私自身はそのような行為をとおして年々変化してきているように思うし、夏は苦手、冬はあらかじめ対処方法を考えてあるから得意、みたいな気になってきている。

生き生きと。生命体。

もう夏が近い

前述したように、もう3月下旬であり、夏が近い。その夏が楽しめない、というのだから今のうちに山を楽しんでおこうと、雨であるが決行することにした。
場所は伊豆市、田沢を流れる田沢川。交通アクセスは、国道136号、伊豆縦貫道より、伊豆中央道を経由、修善寺道路を行き、大平ICを東側に下りる。道路は田方南消防署前の丁字路より、県道349号に入るので、そこを南下する。田方南消防署より計って5.5キロほどで伊豆市田沢に入るので、そこで東に進路を変える。田沢の集落から山が左右に二つ見えるのでその間の谷を上るようにして進み、県道から約1.2キロほどの地点、道幅が広くなったところがあるので、そちらに車を停める。

駐車場所の目印は「山火事防止」の看板

木を使い川に入る

午前9時、車を駐車スペースに停める。雨はさほど強く降っておらず、一安心する。身支度を済ませ、田沢川方向に足を向ける。道路と田沢川は荒れ地をはさんで100メートルほど離れている。その荒れ地にあぜ道が横切るようにして入っているので歩行にはそちらを使う。ほどなくして田沢川に出ることができ、そこから上流方向へ向かう。すると、川の護岸側面を這うようにして生えている一本の木があるので、そこに足を掛け田沢川の中に降りる。木に感謝を告げ、上流方向へ行くとほどなくして、目的の砂防ダム前に出る。ここの砂防ダムは、画像を見ていただければわかるとおり、堤高は7mほど、水通しまでの高さはおよそ5mくらいとあまり大きくはない。前々回、堰口川谷止工での失敗を教訓に、今回はさらに渓畔林が強く作用しそうな暗そうなところを選んだ結果での今回の砂防ダム行脚であるが、ここは堤体の左右を高い杉の木が覆っており、また、堤体前に立ったときの後方、つまり下流側が、川幅2メートルくらいに護岸によって絞られていて、そのぶん光を遮断してくれている。堤体下流部は石畳状の水たたきになっており、その石畳の上をなんともお洒落に水が這うようにして流れている。結果的に今回の場所選びは大成功で、前々回の堰口川谷止工のリベンジを見事に果たすことが出来た。こんな小場所がとても気に入ってしまい、歌、植物の同定作業などで二時間も過ごしてしまった。帰り道、護岸を上がる際も、行きにお世話になった木に力を借りて、無事帰ることが出来た。雨が降っても砂防ダム音楽を楽しむことが出来、本当にうれしい思いが出来たそんな一日であった。

川に降りる際、使う木。種はケヤキと思われる。
木を下から見た様子。
砂防ダム全景。流下してきた水が石畳上で遊ぶ。