
いよいよ夏休み。
梅雨も明け、アツいアツい季節がやってきた。
夏休みといえば、
勉強?宿題?自由研究?いや・・・、
そうだ!
山に行こう。
あの山に。
あの川に。

まずは道の駅の南側
7月20日午前8時、山梨県南都留郡道志村「道の駅どうし」へ。
まずは道の駅の南側。
あの川は?
あった!
道の駅のすぐ南側。道志川。
およそ30メートルほどに区切られた護岸。護岸からスロープを伝って下ると道志川の川原に降り立つことができる。
公式にも「川あそび場」と名付けられたこの施設。これからの時期は川遊びスポットとしてハイシーズンを迎える。
当地の標高はおよそ700メートル。700メートルとは言っても晴れた日は暑い。現にこの日は午前8時時点で気温が28.2度。
道の駅側、護岸上から見下ろすとすでに何組ものグループが川にいた。水浴びだけでなく、川原で日向ぼっこという手もあるようだ。
賑わう道志川の川原。
川沿いに立地した観光施設といえば、これまで幾つも見てきた覚えがあるところ。しかし、ここまで”川に近かった”ところはなかなか記憶にない。
パンフレットやホームページ上では「川のせせらぎ~」などと言っておきながら、実際当地では「立ち入り禁止」と、川への侵入を抑止しているようなところが多い。
ここでは川で遊ぶことをOKしている。当たり前に。
その育ちの違いからなのか。
川に対する感覚の違いからなのか。
これをあたりまえにやっていいと言ってもらえる。
村人らの英断に感謝!
あと、これまでマナーを守って利用してきた先人たちにも感謝したい。

道の駅の北側
つづいては道の駅の北側。
道の駅の北側は国道413号線から接続する駐車場がある。
ここがまた遊び場に。まぁ、こちらは大人たち限定なのだが。
排気ガスとタバコのけむりが薫るのはバイク駐車場と喫煙スペース。
とくに駐車場に関しては「ライダーの聖地」の称号を得た、道の駅どうしのバイク駐車場である。
この日も朝からすでに駐車場は大混雑。ナンバープレートによれば、国は首都圏方面が多いようだ。
同じ趣味を持つ同士談笑したり、バイクの写真を撮ったり。駐車場内の雰囲気は非常に明るい。
ここまでの賑やかさを裏付けるのはライダーの聖地というネームバリューだけでは無いだろう。
駐車場の目前を走る国道413号線は西(起点)に富士吉田市上吉田を見、東(終点)に神奈川県相模原市緑区を見る。
神奈川県相模原市緑区(終点の位置)の標高が136メートル。富士吉田市上吉田(起点の位置)の標高が992メートル。
最高地点、標高のもっとも高いところは、南都留郡道志村~南都留郡山中湖村に抜ける山伏トンネル内で1095メートル。
136メートルと1095メートル。単純計算の標高差は959メートル。高低差を埋めるようにつづく坂道は当然のことながら一直線にならず、緩急のカーブを描く。
沿線の途中には城山ダム、津久井湖、青野原野呂ロッジキャンプ場(CM、ドラマ等の撮影地)、両国橋(神奈川・山梨両国境の橋)、道志川温泉紅椿の湯、道志村内各キャンプ場、山伏トンネル、山中湖、忍野八海、北口本宮冨士浅間神社など観光名所多く、また内容的にもバリエーションに富む。
道そのものに走り応えがあり、なおかつ途中たち寄って遊ぶのにも事欠かないロードとなれば、ライダー各氏から人気が出るのは当然のこと。しかし、それだけの競争相手がいるなかでこの道の駅がぜんぜん負けることなく勝負できているという事実。これがあるのもまた確か。
一体、なにがそんなにもライダーたちを惹きつけるのであろうか?美しき自然景観?おいしい山の幸?川の幸?水?温泉?
自身はバイクに乗らない。したがってその理由を知ることがない。

人生中間駅
午前9時、道の駅内の商業スペースが開店した。
さっそく中に入ってみる。
入口すぐには地元産野菜のコーナー。中間には物産コーナーと観光情報コーナー。一番奥には飲食スペースである「手づくりキッチン」。
手づくりキッチンではふるさと山菜そば、たらこのパスタ、カツカレー、鮎めしなどどれもウマそうなメニューが。
ついつい。いや。
ここは我慢。
今回はこの道の駅にほど近い「きく家」でソースカツ丼を食べると決めている。こちらは約2時間後の午前11時にオープンとのことなので、それまでは食べ物をひかえることにした。
手づくりキッチン側のドアから屋外に出て、ベンチに腰掛ける。
外はバイクのエンジン音で賑やかだった。と、人一倍ド派手に鳴らすライダーがあらわれた。かと思えば、そのライダーはやがてどこかへと居なくなってしまい、またどこからか別のド派手なライダーがやってきた。
元気に入場するライダー。
一方ではどこかへと消えていくライダー。
ちょっとうるさいくらいは若さの象徴?!
入れ替わり立ち替わり。
駐車場交代。
世代交代。
ここは人生中間駅。
道の駅どうしは永遠に。






道志の湯へ
午前11時、きく家に立ち寄る。
甘だれの~とんかつぅ~
期待に違わぬウマいソースカツ丼を堪能することが出来た。
正午、道の駅どうしを出発。国道413号線を東進し、道志の湯に向かう。
午後0時45分、道志の湯に向かう途中「道志養魚場」まえで途中下車。
車道の上からヤマメ、ニジマスを見た。
その後、ふたたび車に乗り込む。
午後1時10分、道志の湯に到着。
肌がベタベタしている。ここはひとつ湯に浸かって、シャツも着替えてリフレッシュすることにした。
源泉17.8度の湯は37度~40度に加温済み。山梨温度としてはちょっと高めかな?
午後3時15分、道志の湯を出た。道志の湯にほど近い「室久保農村公園」を少し覗いてから車に乗り込み、上流方面に向かう。
午後3時35分、「的様」に到着。頼朝矢射り伝説の地をしばし見学。
午後3時45分、的様より上流100メートルにある駐車スペースに到着。車を駐車する。











一瞬ドキッとさせられ
車から降りて入渓の準備。
足もとはウエーダーで固め、上半身には長袖シャツを着る。さらに計器類の入ったフローティングベストを長袖シャツの上に着用し、頭にはヘルメット。手にはグローブと登山用ポール。
夏なのだけれども慎重装備。
妥協することなく安全かつ機能的な装備に身を包むことは、先ほど多くのライダーたちから教えられたことだ。
午後4時10分、的様の少し上流にある「室久保川堰堤」堆積地から室久保川に入渓する。
入渓直後にわかるのはこの川が白砂の川であるということ。このようなタイプは山梨県内、他の河川でこれまでいくつか確認することが出来ている。しかしそれらの多くは山梨県内国中地方での出来事で、川の系統としては富士川に属する川ということになる(富士川水系の川)。
かたや室久保川。川の系統が相模川に属する(相模川水系の川)本川がこのような状態にあることは非常に興味深い。
水利用に関していえば圧倒的に隣国、神奈川との関わりが大きい道志村の川であるところ、しっかり山梨らしさを見ることができる。
アウェー感が和らいだ。
遡行を開始する。
遡行直後の渓畔林区間。
川は渓畔林の多いところでは暗くなり、少ないところでは明るくなる。
渓畔林の多いところ。
プラス、
午後4時すぎという時間情報。
一瞬ドキッとさせられ。
なんといったって目の前が真っ暗なのだ。
午後4時に堤体前にたどり着くことが出来ていないのはヤバいだろと錯覚。
いや、これはもちろん冬至前後だったら本当にタイムオーバー。しかし今は7月だから全く問題ない。
それにしても月日がしっかり意識できていたところで、いかにも天候が急変しているかのように見えてしまうのは困ったものだ。
空の状態がわからなくなり、
混乱する。
対処法としては、渓畔林の多い区間を越えることしかない。
逃げるように遡行する。(←変な文章だ。)
やがて渓畔林が少なくなると、空の明かりを見ることが出来た。
遡行をつづけ午後4時半、室久保沢堰堤に到着した。






適度に採光する堤体前
水はたっぷりきれいに落ちている。
放水路天端の左右いっぱいに広がった水は堤体水裏斜面にたよることなく若干投げ出されるように落ちている。
水の落ちた先には水タタキ。水は水タタキを経てから護岸上に厚さ数センチほどの水面を形成し、護岸下流カドにて堤体本体から離れる。
主堤、水タタキ、護岸下流カド。いずれの区間でも水は偏りなく美しく流れている。
渓畔林はフサザクラ主体にオオモミジ、ケヤキ等が混じり。
主堤から40ヤード下流のあたりにだけ渓畔林の切れ目ができているのは右岸の樹木の倒木によるもの。
ここから適度に採光するため堤体前は若干明るい。河床を覆う白砂によって採光は反射し、渓畔林の枝葉を下方からライトアップしている。葉のライトグリーンが心地よい。
本日は夕方ゲーム予定で堤体前にやってきた。
採光が徐々に失われ、あたりが徐々に闇に落ちていく様子を見ながら歌うことができそうだ。
夜が近づくにつれ変化する堤体前の景色。時間の経過とともにそんな景色が見られるのは屋外で展開する音楽ならではの楽しみだ。










点では無く線になる
立ち位置に設定したのは主堤から47.5ヤードの位置。
自作メガホンをセットし、声を入れてみる。
声が還ってきていることがわかる。しかし、これは響いているという最も心地よいものではなく、単純に声がはね還ってきているという感じ。
渓畔林の豊かな堤体前で期待するのは樹木による反響板効果。樹木が反響板として作用し、声をはね返してくれている状態だ。
もちろん板に向かって声をあてているのではない。
板ではなく、何本もの樹木から構成される林が相手になっている。
歌い手から見て手前側、中間側、奥側。それぞれ異なる距離に立つ木が反響作用することによって、歌い手のもとに戻ってくる時間に差が生じる。手前側は早い。奥側は遅い。
歌い手に還ってくる音は僅かな差を持つことによって、点では無く線になる。音は僅かに長く伸びたように聞こえるようになる。
しかし今日は渓畔林がうまく作用していないのか、そうは聞こえない。渓畔林にうまく声を当てることができていないというのだろうか?




遊びにすることの強さ
結局、この日は午後7時まで堤体前で過ごした。
砂防ダム等堤体類をまえに歌うこと。
「歌う」という行為は学校教育の一部にもされているから、とかく「学問」にされがちである。しかし、これを自身、遊びとして取り入れるのが一番良いのでは無いかと思っている。
遊びであるからいい時間にしたいし、うまくいくようにやりたいし、真剣に取り組みたい。
今回は堤体前での実践から帰ってきて、「ここがまた遊び場に」というタイトルを付け、本投稿を作成した。
あらためて思うのは、遊びにすることの強さ。
堤体前までやってくること。やってきて成功させるためにいろいろ工夫すること。
遊び。
だから、
一番大切にしたい。
遊びにしてしまえば世の中から切り離される。重々承知だ。とくに公からの援助は得られなくなるであろう。
しかしそれでも遊びにしていきたい。自分自身のなかでどう位置づけるのかが問題。そこが一番大きい。
この日もまた、真剣に、本気になって、堤体に向かって遊ぶことができた。それだけで十分。よかった。いい一日だった。
