吊り橋

船原川

8月20日は船原川に入った。

朝5時、伊豆市月ヶ瀬にある下船原トンネルのアーチをくぐり、延長わずか208メートルの暗がりを抜けると下船原の平(たいら)地区に出ることができた。

直後の左手には、船原川に架かる吊り橋。

トンネル含めこの道が出来てからおよそ1年7ヵ月。それより以前、旧道の「出口」三叉路から平地区へ進んでいた頃には、ここに吊り橋があるなんて知る由も無かったが、新道の開通によるルート変更では、今まで見ることが出来なかった景色が顔を出した。

とりあえずは今日もその前を通過。

朝一番のチャンス前という時間、入渓点に急いだ。
そこからおよそ2キロ先にある船原桟道橋ちょく前でハンドルを左に切り湯端橋を渡る。旧船原ホテル裏の堰堤前に到着したのが午前5時すぎ。

そそくさと準備を済ませ、入渓し、歌を楽しんだのち退渓したのが午前8時すぎ。

湯端橋

気になっていた吊り橋に

今日は行って見てみるか?

気になっていた件の吊り橋であるが、行って確かめてみることにした。来た道を戻るようにして東へ進む。「宝蔵院」という寺の前を通過すると3階建ての比較的大きな集合住宅があって、その集合住宅を過ぎたあたりが旧道との合流点。

左折し旧道に入ったら「原の前」バス停手前の右折道。

ここかな?

と、曲がってみるとビンゴ!新道をくぐり抜けられるガードを発見。陽はすでに高く、ジリジリと照りつけてくるので、そのガード下に車を停め、歩いて吊り橋に向かった。

橋は幅20メートル程度。桁がしっかりとしていてほとんど揺れることがない。橋の上から上流方向を見渡せば、新道を保護するようにガッシリ固められた護岸が並んでいる。また、立っている橋のほぼ真下には高さ1メートルにも満たない床固工が作られていて落水している。

それらがジリジリと照りつける太陽によって光る。

眩しい眩しいと言いながらガード下に駐車した車に逃げ込んだ。

吊り橋(伊豆市下船原平)
船原川は床固工が随所に見られる。
橋から上流方向を臨む。
新道からの吊り橋

ギャラリーの橋

吊り橋と言ったらねぇ・・・、やっぱり。

今度は別な橋、狩野川に架かる「松ヶ瀬橋」を目指すことにした。マツセ、マツセと気分が陽気になり、出口三叉路から道を間違えて国道414線を南下(正しくは北上する。)する。ようやく嵯峨沢館の前を通過する頃になって、

あっ・・・。

と気がついて嵯峨沢橋をそのまま渡り、市山の丁字路から北上。せっかくここまで来たのだからと“チョウズバの神様”こと「明徳寺」参道入り口にある茶屋に寄って草餅を買い、再出発。5キロほど走って松ヶ瀬橋前に到着。

到着したはいいが、今日は画像を撮ったりで暫時ここに留まる必要があるため車をしっかりとした所に停めなければならない。しかし、駐車スペースを見つけられず。困ったあげく近くにあったおとり鮎店の「旭水園」に駐車料金を払って停めるつもりで交渉したところなんと、

タダでいいよ!

と。

ありがたく駐車させてもらい、歩いて松ヶ瀬橋に向かった。橋にはものの数分で到着。ここはアユ釣りの名所で、吊り橋がそのギャラリーになるという不思議な場所。昼前の時間だったため丘に上がって休んでいる釣り人が多かったが、それでも川の中にはまだ数人のアユ師が残っていて竿を振っている。

こちらは、いったん橋から下がって近くの土手に腰掛ける。先ほどチョウズバの神様目前で購入した草餅を取り出してかぶり付く。

コンロの火で熱々にしてもらった草餅は、ここに来るまでの道のりの間にだいぶ熱が抜けてしまっているが、まだ温もり程度にはあたたかさが残っており、そのおかげか非常に甘く感じられる。表面の皮が固くなった感じも、真夏の暑さの中では張り付くような感じが無くて逆に心地よく、非常にさわやかな感触をを満喫することができた。

その後橋の上に戻ってしばらくのギャラリー。連掛けのアユが宙舞う瞬間に期待して見続けたが、どうやら渋いようで見るのは叶わず。退散することにした。旭水園まで戻り、お礼を言ってから駐車場をあとにした。

松ヶ瀬橋
下流側
上流側。黄色い建物は近藤鋼材、その隣が旭水園。
草餅

どうせならばと3本目

さて、どうせならばと3本目。
県道349号線を戻るように南下する。市山の丁字路まで戻って左折。国道414号線に切り替わるとまずは旧天城湯ヶ島支所前を通過。さらにひなと丸、浅田わさび店前などを通過し、簀子橋を渡って“奇跡の店”ことセブンイレブン天城湯ヶ島店に立ち寄る。

前々から気になっていて一度も買ったことがなかったアイスコールド・コカコーラを買い、試してみると確かに凍った。その場で飲むことは無く、店を出て次に向かったのはマルゼン精肉店。

イノシシコロッケは現在販売休止中ということで、和豚コロッケとホタテクリームコロッケを買い、店を出る。

そのままさらに南下をし、旧眠雲閣落合楼玄関前で右折し坂を下る。坂をズルズルくだり、瑞祥橋を渡り直後を左折。そこから100メートルも走れば吊り橋が姿を現す。車は橋を過ぎて少しのところに、道幅の広くなったところがあったためそちらに置いた。

道路から下へと続く階段を降り、橋に降り立つ。橋の規模は下船原よりは長く、しかし松ヶ瀬には及ばないくらい。前に渡った2本同様、安定していてほとんど揺れることが無い。そのかわり橋の中間で分けて西側と東側。西側には渓畔林による影が落ちていて涼を得ることが出来る。

依然として太陽の光がジリジリと照りつけていたため、これには助けられた。橋の東側に立てかけられていたハシゴを使って川岸に降り、川に転がる大石をジャンプして日陰のある西側へ移る。

やはり購入したコロッケを取り出し、川石の上に座って食す。コロッケの脂が美味い。ここは少し上流には水恋鳥広場という親水公園があるほどの清流。泳いだって問題ないくらいの水質を前に食すジャンクフード(←2個も食べるからこうなる・・・。)の脂に妙に安心感を得る。

あっという間に完食し、それから川岸をウロウロ。ゴロゴロ転がる川石の上を歩いていると視界の中をチョロッとしたヤツが横切った。これはこれは日光浴を邪魔してしまったと相手を植物に切り替える。橋のすぐ上流側にはタマアジサイが咲いていた。

真冬の一番寒い日を一年の基点と考えれば、この花の開花はその一年のちょうど折り返し地点。まだまだ暑い日は続くだろうが、これからは秋・冬に向かうことになる。夏を満喫した今日の日に感謝し、これからのシーズンの準備をしようということでもういいかと退渓することにした。その後はようやく帰路に。

吊り橋(伊豆市湯ヶ島大滝)
橋の半分は影が落ちる。
左が和豚コロッケ、右がホタテクリームコロッケ
チョロッとしたヤツ
タマアジサイ

35分。

今回のエピソードの最後にこの日の朝、旧船原ホテル裏での歌のことを書こうと思う。

やはり真夏のシーズン中にあった今回も時間帯にこだわった。画像Ⓐ~Ⓕまで用意したが、結論から先に言ってしまうと実際つかいものになったのはⒷ~Ⓕの間だけ。(早朝のチャンスタイムに関しては。)

Ⓐは日の光が当たる前。白く落水する水の形状を見ることができるが、これではもの足りない。もっと涼しいシーズン中であればこれでハマる時もあるが、外気温が24度もある中でのこれは温度感覚的に合わない。午前5時50分撮影。

Ⓑは日の光の照射範囲が山の上から降りてきて、ようやく落水の一部を照らしはじめた頃。指差す先がその状態になっている。
照射範囲は徐々に広くなるので、それを待てば良いと思う。午前6時40分撮影。

Ⓒ~Ⓔの状態。ここがいちばん楽しめるとき。
ⒸとⒹはよく見るとその違いが分かると思う。ⒸよりもⒹのほうが若干明るい。ⒹとⒺはほぼ同じ。撮影時間的には10分間の開きがあるが、Ⓔに関しては早朝のラストチャンス的な局面なので(焦ってはいないが)もう、そろそろかな?と思いながら歌っている。
Ⓒは6時46分(Ⓑ~Ⓒ間わずか6分でこの変化!)、Ⓓは6時57分、Ⓔは7時07分にそれぞれ撮影。

Ⓕであるが、チャンスタイム終了の状態。堤体から落ちる落水は魚屋に並ぶ魚たちのヌメりのような生々しい光でしかしながら鋭く輝く。この光をこの形状で見たのならば、歌を楽しむ時間は終わったと考えれば良い。以降の時間は、海水浴に行くなり観光施設に行くなりして有意義に過ごせば良いので別に残念がる必要は無い。Ⓕは7時15分に撮影。

まとめるとⒷ~Ⓕまでその間35分。決して長いとは言い切れない早朝のチャンスタイムであるが、夏の朝はやく、さわやかな気分の中で楽しむ歌は最高であった。気温条件的にも「寒い」ということが無く、快適に過ごせることも他のシーズンより魅力的であると付け加えたい。

山あいの川の中で、誰にも迷惑を掛けず歌う早朝の音楽の楽しさ。今しか出来ないその楽しさを満喫した朝であった。

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