今回は11月21日~11月23日の3日間にわたって行った京都遠征についてのエピソードのその前編としたい。
11月21日午前10時。京都駅出てすぐにあるレンタカー会社の京都駅新幹線口店を出庫する。京都までは新幹線で来た。予定ではこれから、京都府内を北上。太平洋、日本海を分ける中央分水界を越え、一級河川由良川を目指す。由良川を選んだ理由は、もう釣り人としていろいろ情報源を漁っていた時代(中学生くらい?)にすでにこの川のことを知っていたということが大きい。知名度的に言えば「京都の川」と言うと、由良川よりも鴨川のような淀川水系の川が有名であるように思うが、今回は都の観光が目的では無い。砂防ダム探しが目的であるため、京都府北部の山間地を目指すこととした。因みに「砂防ダム探し」などと言うところからお察し出来るかもしれないが、今回、事前情報で京都府内の“歌えそうな”砂防ダムがまだ見つけられていない。地理院地図の情報をたよりに、二重線を一つ一つ叩いて、時間の許すかぎり回っていく予定を立ててスタートしたのであった。
そんな計画が頓挫した
一日目。結論から申し上げるとその“歌えそうな”砂防ダムを見つけることが出来なかった。周山街道(国道162号線)を北上し、南丹市美山にある安掛の信号から府道38号線を由良川に沿って東進。地図上に描かれた支流を適宜選びながら佐々里峠まで見てまわったのだが、良さそうなところを発見することが出来なかった。主な敗因としては、一つ一つの谷が思っていたほどの深さを持ち合わせていなかったということ。高低差が少なく堤体のサイズがみな小ぶりであった。地理院地図上では、二重線をいくつも見つけられていたため、出発前はむしろ―時間が足りなくなってしまうんじゃあないか?―と心配をしていたくらいであったのだが・・・。そんなわけで、ひどく落胆した。落胆しながら一日目を終えた。
賭けにも敗れ
二日目。この日はいったん京都府を抜け、滋賀県西部を南北に横断する国道367号線に出る。北上してから再び京都市内に入るルートを選定し、見てまわることにした。一日目の夜、急きょインターネットカフェに入りグーグルマップを開いて堤体を探したのだが、京都市左京区久多(くた)の大谷川で、堤体の一部であるが、良さそうな谷止工を発見したためまずはそちらに向かうことにした。
午前9時。滋賀県大津市を国道367号線に沿って北上し、「梅の木バス停」前の前川橋を渡る。8キロほど進んでお目当ての谷止工を見る。しかし、画面上で確認した“堤体の一部”の賭けに敗れた。思っていたほど堤高が無く、また左岸側の渓畔林も伐採されている面積が広すぎた。その場をあきらめ今走っている府道110号線に沿って京都市左京区広河原まで出る。この広河原から南へ続く道は昨日の夕方、京都市内に戻る時に使用した道路だ。入り口が違うだけで同じルートをたどっていることとなる・・・。焦った。焦りながら昨日とは違うルートを走ろうと、花背の農協前にある橋を渡らずに直進し、灰屋口バス停前を左折。草原橋を渡り、灰屋川という沢に入ることにした。
気配を感じたら・・・
午後1時。草原橋から4キロほど登った時のことだった。滝か?しかも結構デカい。よく見れば、堤高10メートルほどの透過型砂防ダムであった。惜しい!堤体の二階より上段真横、林道沿いには「砂防指定地」の看板。ん?指定区域を囲う赤い線によって出来た、大きめの四角形が現在地とは別にもう1コ上流側にある。これは期待出来る。そこからさらに2.1キロほど上流側に走った時のことだった。
!!!ついに見つけた!
fussreise
冷静になり数百メートル下流側にある「小広谷橋」の横から入渓する。そこから遡るとほどなくして、堤体前に出ることが出来た。堤高は目測10メートルほど。右岸側は崖から各種の広葉樹が、左岸側は低いところにはイロハモミジが、高いところにはスギが生えている。渓畔林が高いところにありそこまでは声が届いていないようであるが、この不透過型砂防ダムを見つけた喜びによって大変に気分良く歌えている。京都の山でフーゴ・ヴォルフが歌えた!
温泉+ラーメン
退渓したあとは再び灰屋口バス停前まで戻り、そこから西を目指した。一日目、周山街道を走っていた時に見つけた「京都北山杉の里総合センター」に向かった。館内にある北山杉の床柱製品、調度品、資料などを見学させてもらったあと再び東へ戻り、くらま温泉に浸かることに。もうこの頃にはすっかり日が落ちていたが、露天風呂は電灯の数が少なめで完全に癒やされた。そのあと、木船口まで下りて京都市内まで戻り、うまいと評判の繁盛店に寄ったのち二日目を終えた。
〈前編おわり〉