スマートフォンのタップ1つで

今回は戸田のエピソード

連日の降雨である。

ホームセンターという小売業に日々勤務していて、その日の売上額が天候に左右されるということは、この業種の経験者であっても無くても想像に難くないことであろうと思う。雨が降れば客足は遠のき、売り場で見かけるのは店のユニフォームを着た店員ばかり。まさに閑散という状態。そんな中なのに対して、お客でごった返して売り場の商品があれよあれよと売り減っていくことを想定して作られた売り場は高く商品が積み上げられ、さながら見本市の新製品発表会のプロモーションのようである。店を統括するホームセンター本部にしてみれば天候不順による売上げ減というのは本当に本当に悩ましい問題であり、特に昨今のようにスマートフォンを開いて、タップ1つでモノが買えてしまうような時代にあっては雨のせいでほんらい来店するであったお客が家に籠もってしまうというのは由々しき問題なのだ。

気が気では無い

ホームセンターにおける商売のあり方では例えば、石けん、紙、洗濯洗剤などの日用消耗品を売ったりすること、“お客がもともと欲しいと思っていたモノを売る”という事のほかにもう一つ、 ある日あるとき一人のお客が売り場をフラフラ歩いていて、「おや、なんだこれは?」という気づきから始まって、最終的には買っていこう!となる、つまり“お客がもともと欲しいと思っていなかったモノを売る”という商売をするということが欠かせない。ホームセンターというのは、後者のようなお客の心の変化、購入動機の発生をねらって、日々販売計画が練られ、店内の模様替えともいうべき売り場変更がなされているのである。その点においてはインターネット通販というのは実に巧妙でよくできており、どうすれば見てもらえるのか?どうすれば買ってもらえるのか?が徹底的に考えられており、お客に対して購入を訴求する仕掛けや仕組み作りの開発が著しい。モノを販売するための研究がもの凄く、フラフラとネットサーフィンをしようものなら気づいた頃には端末の画面が通信販売の「最終確認」とやらに行き着いてしまうのである。そんなお客への訴求、誘導に長けた甘い甘いエサのついた仕掛けを持った釣り人のような者たちを勝負の相手とする我々、店舗販売の面々は天気が晴れていたって気が気では無い。天気が晴れていたって気が気では無いのに雨などふって皆が家に籠もってインターネット通販によって購買行動を済ませてしまえば、こちらは商売あがったりなのである。

梅雨の連日の長雨である

そんな、インターネット通販という敵と戦いながらの日々であるのだが、雨が降った、にもかかわらず多くのお客が来店する日というのが時としてあるのである。もしやインターネット通販などというのは幻で実際はこうやって建築資材の多くがそうであるように皆、今の時代もわざわざ店まで赴いてモノを買うということに消費者行動の本流があるのでは、とも思うのだが実際どうなのであろうか?雨が降ったことにより部屋干し洗剤のような関連商品の需要が高まったのか、雨という自然災害の発生物質に対する備えとしてホームセンターを利用したい機運となったのか、はたまた今日は休日なんだけど行楽地で遊べ無くなったからショッピングに切り替えたので今その場ににいるのか?様々なことが考えられるのだが、梅雨の連日の長雨である。「濡れるのが嫌で家に籠もり続けていたが、とうとう備蓄(これは食品でも食品以外でも)が底をつき、嫌々ながらも仕方なく買いに来た。」というお客が少なくないのでは無かろうか?前述のように石けん、紙、洗剤のような日用消耗品は、生活必需品とも言われるものである。またそれ以外のものであっても晴れをうかがって買いに来るつもりでいたが、いつまで経っても雨がやみそうに無かったため「辛抱たまらず買いに来た!」という事では無いのだろうか?

そんな思いで勤務終了後に

というわけで音楽家である私自身も「辛抱たまらず!」行くことになった次第の今回の砂防ダム行脚である。7月の第1週はスケジュールが詰まりに詰まっていたため5日の夕方、ホームセンターの勤務終了後の出動となった。場所は沼津市旧戸田村の石原沢である。この日もパラパラ雨が降っていたが、今日向かう先は沢に橋が架かった場所である。沢に降りることなく音楽が楽しめるという便利な場所だ。ホームセンターを5時過ぎに出発し、6時半頃には現地に到着することが出来た。現場は雨が降りしきり山の上から谷を下るようにして風も吹いている。

「石原沢」入り口
橋はキャンプ場入り口道路の最奥部にある

ん~集中できん

この日の条件は過酷であった。風に関して言えば山の上からの吹き下ろしの風であり、自分の向いている方向に対して真正面からとなるため音は当然響かせにくい。それでも常にビュービュー吹き下ろしているわけでは無くて、時折それがピタッと止まるタイミングがあるので、逆にそのタイミングでは楽しめた。問題となったのは雨で、真正面から吹き付ける風と複合して私の顔面を叩きつけた。眼鏡を掛けているにもかかわらず、そんなものは何の保護にもならず雨粒が目に当たる。雨粒が目に当たる事で集中力を失い、曲の持っている詩、音の世界に入っていくことが出来ない。それでもどうにか訪れないものかと小康状態の訪れに期待し、結局7時半前まで現場に立ち続けた。無情にも山は一切の隙を見せることなく雨風で私の顔面を叩き続け、暗闇の訪れとともにこの日の砂防ダム行脚はタイムアップとなった。終わって車に乗り込んだのだが途中からは疲れで車がフラフラ。これではイカンと思い、途中コンビニの駐車場で仮眠をとりながら家路についた次第である。

正面から
橋の手前側にある看板
雨に容赦なく叩かれた

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