スタート地点は道の駅

今回の砂防ダム歩きのスタート地点

2月7日、本日のスタート地点は、伊豆市湯ヶ島にある道の駅「天城越え」である。前日、丸一日降り続いた雨による本谷川の増水が心配であった。ここまで、自宅のある沼津市を出発し、途中、国道414号線、嵯峨沢橋より見下ろした川の様子は、やはり若干、この時期にしては、水量が多いように感じられた。一抹の不安はあったものの、砂防ダム行脚を本職としながら、日々、小売業の販売員もこなす兼業族としては、せっかくものにした空きスケジュールを無駄にすることはできないと、当地「天城越え」ではGOの決心をしたのであった。

安全装備に身をつつむ

川への入渓に際してであるが、防寒、防水、快適性をとると、やはりウエーダーに分があるように思え、一年中これを愛用している。そのほかの装備としてはヘルメット、レインスーツ、ライフジャケット、ウォーキングポール1本といった感じで“完成”となるため、そそくさとそれらを身に纏う。装備が整ったところでいよいよ今回の砂防ダム歩きがスタートする。
まずは「天城越え」の北端にある小さな沢への入渓となる。沢への降り方としては、「天城越え」より伊豆湯ヶ島-河津間の山のハイキングコースである「踊子歩道」に入り、すぐにある小さな橋を渡る。それから踊子歩道を行くと、まもなく沢へ下る、けもの道があるのでそちらへ外れる。なんのために出来た、けもの道なのかははっきりとしないのだが、おそらくは釣り人か河川関係の職員か「天城越え」に立ち寄ったモノ好き者の仕業か、それらが数度の往復で作り上げた、けもの道であるためあまりはっきりとしない。―道がわかりにくいなぁ―なんて思いながら進んでいると道はすっかり途絶えて・・・、

藪こぎ状態になってしまった。

のであるが、ここはまだまだ軽度なほう。地はしっかりとしており、木々は落葉樹の中低木中心の見通しが効くような状態であり、歩きにくくはない。藪こぎをしながら徐々に小さな沢に近づいていき、藪を抜けるとそこから2本低い堰堤をおりる。するとまもなく本流、本谷川が姿をあらわした。前日に降り続いた雨の影響が当初は心配であったが、渓流歩きには全く問題はないように見られひとまず安心する。今、降りてきた小さな沢から、完全に本谷川本流へ移り、まずは上流方向、下流方向と見わたす。
渓流を歩くための装備としてウエーダーを履いてきてはいるが、その役目というのはどちらかといえば水濡れ防止というわけで、水中歩行ではない。したがって、まずは、渓流を歩くにあたって川の右岸側を歩くのか左岸側を歩くのかを決めなければならない。これからの歩きをイメージし右岸側に決めたため、いきなりの

渡渉である。

中央に見えるのが本谷川。右下は小さな沢。
小さな沢との本谷川合流点から見た上流側

深さ的にも、流れの強さ的にもなるべく水圧のかからなそうな“瀬”をルートとして選び出し、1本のウォーキングポールで体を支えながら、川を横切る。無事に渡渉を済ませ、いよいよ川の上流方向への歩きが始まる。事前に仕入れた情報源、地理院地図によれば、本谷川入渓後まもなく川はS字カーブにさしかかり、そこを抜けると、数百メートル直線の後、砂防ダム直前でまたもS字カーブといった渓相である。前日、降り続いた雨の影響で、そのS字の2ヶ所の、もともと狭いところの増水となれば、歩行不能という事態も予想されたが、なんとか右岸、左岸と幾度にもわたるコースチェンジを繰り返しながら、とにかく歩いた。その甲斐あって

行程途中の上流側の様子。

スタート地点からおよそ2時間

こちらも行程途中のワサビ田

で、目的の砂防ダムにたどり着くことが出来た。これが、おそらく本谷第2砂防堰堤。側壁護岸、副堤を備えた堤高、目測にして15メートル程の不透過式砂防堰堤。歌をやってみたところ、幾分、水量が多めで、あまり心地よい響きは得られなかった。前日の雨の影響があってこのような状態になったのか、という点が悔やまれる。シューベルトの作品を数曲の後、写真撮影をし、帰路に足を向ける。ここまで来るときの道のりが約2時間だったので、またここから帰り道に2時間となるわけだが、ショートカットはいけない。また来た道を引き返す。これが最も安全であるという基本を守り、下流へ進む。行きの行程で見た幾つかのワサビ田を目印に、―あと、これくらいか―というイメージを持ちながら、ようやく入渓の小さな沢、藪こぎ、踊子歩道までの登りの後、「天城越え」に無事帰った。時計の針は午後1時を指していた。

砂防ダム本体。これだと水は多め。

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