西へ西へ

西へ西へというタイトルに似合わず、今回のエピソードは伊豆半島も最南端に近い下田市。
おなじみ国道414号線は終点が東急ストア前、「中島橋」の交差点。

その中島橋の交差点から下田警察署方向に向かって北上。中村大橋、下田警察署前を通り過ぎて賀茂クリーニング西中店(旧サークルK)前の信号機をまっすぐ通過。つづいて次の信号「柳生入口」を左折。

道形に進んでいくと、やがて左斜め前方に見える学校は稲生沢(いのざわ)小学校。その稲生沢小学校校庭フェンスには大きな文字で「蓮台寺温泉」の看板。看板にしたがい左折すると、西へ西へと進む。

県立下田高校前、蓮台寺温泉、吉田松陰寓寄処前を通り過ぎてさらに行くと、まだ真新しい消防庫の前にY字分岐が現れる。分岐を右に曲がれば何ともユニークな交通安全看板の連続。

12月9日の朝。まずはその交通安全看板の見学ということで下田市大沢(下大沢)を訪れた。

下田市大沢(下大沢)

志戸松尾起伏堰

午前9時半、看板を一通り見学したあと大沢を出発。(本当に見学目的だけでここにやって来た。)来た道を戻るかたちで進み、稲生沢小学校前まで出る。

この日は午後から堤体に入ろうと思っていたのでまだ時間があった。小学校前を左折し、お吉ヶ渕の信号まで走る。

道は三叉路より国道414号線となり、そのまま北進しようとも思ったが稲生沢川沿い、芝生の上で地元の人たちが楽しそうにグランドゴルフをしていたので自身も車を降りてみることにした。

空はどんよりと曇っていたが寒くはない。

そのまま稲生沢川沿いを少し歩くことに。川で何かを突つこうとしているシラサギに導かれながら下流側に歩いて行くと、やがて護岸上にコイの泳ぐ池を見ることが出来た。池に注ぐ水はかなりきれい。ここより上流には稲生沢川の川水を堰き止める「志戸松尾起伏堰」があるはずだが、そこからの水であろうか?

いや、池のある稲生沢川の護岸上から国道414号線挟んで反対には立派な山が控えている。湧き水か?

今(書いている。)になってみれば、もうちょっとよく調べてくれば良かったと思っているが、川の護岸下から4メートルほど上がったところに素晴らしい池があったこと、そこでゆったりと泳ぐコイの姿に癒やされたこと、その事実に間違いは無い。

稲生沢川(お吉ヶ渕周辺より上流側を見る。)
餌を漁るシラサギはまだ幼齢。
お吉ヶ淵遺蹟とも
著名人による心情の歌

“稲”

再び車に乗り込み、北上した。志戸松尾起伏堰を少し見学した後、道は稲生沢川ともども西に向かって大きくカーブ。そのまま箕作の信号も直進し、県道15号線に入った。

箕作信号直後の「深根橋」をわたって、川を右手側に見るようになったが、やはり先ほどのお吉ヶ渕周辺と同様に、道路を挟んで川の反対側には立派な山が控えている。

ちょうどヤマザキショップ(下畑商店)のあたりから、南方向へ登っていったあたりのピークが藤原山(331.6m)という山らしいので、先ほどの大沢や蓮台寺温泉とは藤原山を隔てて一本北側の谷を走っていることになる。

まぁ、谷とは言ってもこちらはかなり広く平野が形成されていて水田となっているところが多い。稲生沢川の“いの”は、いのししじゃなくて本当に“稲”なのか?それともやっぱりイノシシなのか?

そんなことを考えながら平野を西へ西へと行く。このさき賀茂郡松崎町へと通じる婆娑羅トンネル(ばさらトンネル)を目指した。お目当てはその婆娑羅トンネル直前にある喫茶店マンダラ。道は富田橋を渡った辺りからゆるい登り坂となって、うっかりスピードを出してしまいそうになるが我慢してジワリジワリ進み、午前11時、無事マンダラの駐車場に到着。

店に入ってブレンドコーヒーとホットケーキを注文する。

ここの店はなんと言っても水が売り。コーヒーや紅茶、そして料理に使う水も全て湧き水の「大師の聖水」を使用している。

店ではタンブラーでその大師の聖水を出してくれるのだがこれが極上級のクリアーさ。最初に出てくる無料の水が何よりも一番美味いという、何とも広告システムがしっかりした店である。

しばらく待って出てきたブレンドコーヒーとホットケーキ。
間違いの無い美味さ。
堤体に入る前、ちょっと贅沢なひとときを過ごした。

志戸松尾起伏堰
別名「風船ダム」とも。
マンダラ
大師の聖水
店は軽食のほかランチも出してくれる。

カシャカシャ

正午過ぎ、マンダラを出発。県道15号線を再び富田橋まで戻って橋を渡った直後を右折。下田市加増野集落の道を西へ西へと進む。集落最奥の民家はガードレール欄干の橋を越えたあたりにあるお宅。それも過ぎると手前側と奥側に左折ヵ所が2本。

奥側の左折ヵ所を選択し、道幅の広くなったところに車を置いた。

さて、本日はこの駐車場所からさらに西を目指して堤体を目指す。地理院地図にバッチリ二重線マークが2ヵ所入っているまさにその堤体だ。

準備を済ませ、いざ林道歩きへ。直後にはスギの人工林、さらに進めば今度は竹ヤブ。林道を歩くその足元がカシャカシャと鳴るのは乾いた落ち葉を踏んづけているから。分厚く層状になった今年生まれの落ち葉は実に種類豊富。 

ケヤキ、クヌギ、エノキ、アカメガシワ、イタヤカエデ、ホオノキなどなど。竹ヤブのなかに出来たホオノキの一帯は印象的で思わず画像に撮ってしまったが、この後に現れた小さな橋の辺りもクヌギだらけで面白かった。

林道はかなりきれいに整備されていて、その感じたるや親水公園とか親水ロードといったものに近い。私の住む沼津市の愛鷹広域公園せせらぎの径に雰囲気がよく似ている。チョロチョロと流れる沢の流れを見ながら、森林浴を楽しむことが出来るすばらしいエリアで林道歩きを楽しんだ。

堤体には午後2時に到着。

水は予想通りの伏流。わかってはいたけれど本日はこれで良いと思っている。林道の落ち葉をカシャカシャ鳴らしながら紅葉シーズン終盤の道を歩いて来られたことに価値を感じている。

手前側と奥側と堤体があるうち奥側を選び出し、まずは風速計を取り出す。風は無風。続いてVメガホンをセットし、声を入れてみる。
音は文句なく響き、もはや堤体関係なしといった感じ。

針葉樹の木々の中に声を入れていくような、「無制限」きわまりない響きがボーン、ボーンと返ってくる。
辺りは本当に静かで、水が鳴っていないとこんなにも良くないのかと思いながら、斜面上に生えるスギの木々を見上げながら歌う。

水が鳴っている方がもっと注意深く聞けている気がする。
注意深く聞けているからこその楽しさが味わえていないような・・・。

こうして静かなところで声を入れているとまた新たな発見があって面白い。辺りに生える木々の観察をしながら、歌も楽しみながらおよそ2時間ほど堤体周辺の環境を楽しんだ。

迎えた時刻は午後4時すぎ。退渓の進行方向である西とは逆方向の東へ。

富田橋を渡ってすぐ右折
ホオノキの落ち葉
落ち葉の林道を歩く。
とても歩きやすい林道だ。
左からマユミ、ミズキ、ハリギリ
手前側の堤体。堤体前のスペースが狭い。
風は無風。
手前側、奥側ともに昭和63年。
奥側の堤体。

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