本日は前回の続き

桂大師までの道のり

前回、伊豆市修善寺にある湯舟川ふれあい公園への記事を書いたが、今回の砂防ダム行脚はその続きといってもよい内容になる。地理院地図によれば、湯舟川ふれあい公園の入り口より400メートルさらに上流に、支流の沢との合流点があり、その沢には点線で描かれた徒歩道が寄り添う形で伸びている。徒歩道は直線距離にして約750メートルほどの長さで途切れ、その先には“修禅寺のカツラ”との表記がある。どうやらその場所にはランドマークともいうべきカツラの木があって、そこに向かって道が延びているようなのである。そして、その修禅寺のカツラより約400メートル上流にうれしいうれしい二重線が見つけられたため、今回、砂防ダム行脚は計画された。当地へ訪れた日というのはそれぞれ異なっているが、前回、今回とお互い(スタート地点だけ見れば)場所が隣り合っているため、1日で両方行くことも可能であることから、この記事を見て現地へ行ってみたいと思った方は、前回分とワンセットにして参考にしていただければと思う。尚、今回分に関しては、未だかつて行ったことの無い場所であるため、砂防ダム行脚の新規開拓の記事になることをあらかじめお伝えしておきたい。

駐車スペースの看板

桂大師の看板が目印

4月18日午前6時湯舟川ふれあい公園、上流400メートルにある駐車スペースに車を停める。この駐車スペースの目印として「桂大師」と書かれた石碑と看板があるためスタート地点はすぐにわかる。今回はこの先の行程が未知であるのだが、修禅寺のカツラ(以下、現場の表記に従い、桂大師)まではハイキングコースとなっており、その山の等高線から判断できる高低差は130メートル以上あるためウェーダーはいきなり履かず、リュックサックに入れて背負うことにした。午前中まだ早い時間であったため、気温20度レベルの暑さにはならないだろうと考えたものの、それでも、スタート時に通気性のそれほど良くないナイロンウェーダーを履き、それだけの高低差を登行しようとすれば、ウェーダーの中は汗でグショグショになるのは目に見えてわかっていることのため、とりあえずは山靴を履き、水場等で行く手を阻まれた段階になったらウェーダーに履き替えるという作戦を敷いた。足元以外の準備も済ませ、まずは入り口にかけてある木の橋を渡る。

この橋がスタート地点となる。

ハイキングコースをひたすら登る

今回目指す砂防ダムの中継点ともいえる桂大師まではハイキングコースになっているだけあって、しっかりとした山道がついている。スタート地点に架かっていたような橋も途中何本か同じように整備されているし、看板も要所ごとに複数設置されていて迷わない。沢との高低差があるような崖沿いには転落防止のロープが張られたりもしている。このようなことから判断すると、これはやはり、この桂大師というものがそれなりに人気があるため、ここを訪れる人もそれなりに多いため、このようなしっかりとしたハイキングコースが整備されているのでは。と思った。しかしながら、では、目的地の桂大師まではお手軽楽々な山道なのか、というとそうでもなくて、山の傾斜はさほどきつくはないものの、とにかくダラダラと登り続けるようなタイプの道が続くので結構きつい。途中、緩斜面というかもっと平坦に近いところがインターバル形式で現れてくれればそうでも無いと思うのだがとにかく登り続けることを余儀なくされるため、休みが取れない。(止まって休めばいいのだが。)源流釣りマニアのような人物であればこのような沢沿いのほぼ直線的な山道であっても、そのワクワクの期待感から、登り進んでいくのは苦にならないと思うが、それ以外の方、沢などというものにはさほど興味が無い人にとってはこのような直線的な沢沿いルートはきついと思う。私自身においては息を上げながら約30分ほどの行程で桂大師に到着することが出来た。

桂大師の直前。画像中央下部の丸太橋を渡る。
桂大師
静岡県指定天然記念物とある

桂大師

さて、いよいよ桂大師を過ぎての沢登りとなる。無論、この先はハイキングコースなど整備されていないため自分自身で決めたコースで沢沿いを行くことになる。とりあえず川の状況としては渇水気味でウェーダーを履かなくても行けそうな雰囲気であったため、足元はそのままで続行することとした。川はキンボールサイズの石が中心となるなか、途中それよりも大きい石に行く手を阻まれた際は、脇の林間から巻いたりして(遠回りして)、クリアするなどして歩き続けること約30分で目的の砂防ダムにたどり着いた。砂防ダムについて、画像を見ておわかりいただけると思うが、残念。水が流れていない。いわゆる、伏流状態になっているのである。この砂防ダム堤体より上流部から堤体の直下、堤体下流部数十メートルにかけては川の水は地下水に姿を変え流れている。その最下流部は湧き水となって再び地上部に流れ出しており、まるで何事も無かったようにそこから下流へと続いているため、この事実はここに来ないとわからない。新規開拓につきものな残念賞の砂防ダムであった。
それにしても、ここは途中の感じからしても渓流大好き人種の釣り人さえも訪れたりするような沢では無いように思われ、多分、人の出入りは本当に少ない砂防ダムであろうと思う。人間によって造られたこの10メートル超の城壁はこれまで幾度もの大雨からその下流部の文明破壊を守ってきていながらも、こうして何者にも気づかれること無く静かに山のなかにひとり佇んで、今日もその与えられた生涯を全うしている、というその格好を見ていると、心には本当に愛すべき念のようなものが生まれてきて、ただ引き返す気にはなれず、感謝の意も含めてこの場所で大いに音楽を楽しんだ。春の鳥ウグイスが鳴いているほかは、そよ風で木々の葉がこすれる音がするぐらいの静かな空間の中、思いのほか楽しく活動をすることが出来た。砂防ダムの左右には豊かな樹冠が広がり音響が良く、また、このとても静かな空間の中で音を響かせることで改めて山の中で音楽をすることの素晴らしさを再認識することが出来た。このような水の流れていない砂防ダム空間でも案外、音楽を楽しめるのだということがわかった、大変、収穫の多い今回の砂防ダム行脚であった。

これを見た時点で、ん???
“城壁”全景


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