8月26日午前0時、目が覚めた。
寝巻からベルトの通ったズボンに履き替え、自宅を抜け出す。
車のエンジンを掛ける。
駐車場から出庫し、沼津市内、山に向かって坂を登る。まだ電気の点いている住居が何軒もある。受験勉強か?
子どもの数が随分と増えたなぁ・・・。
外を出歩く者はいないか?
幸い、歩行者、自転車は見あたらない。猫の心配だけすれば良い。
坂を登りきると明るかった。足高のアンナバンの上を一台の乗用車が転がる。
ETCは無言であった。いつもカードのことには口うるさいのに。
時速100キロの制限速度になり、嬉々としたのもつかの間、辺りはいちめんトロ箱の世界になった。
トロ箱の世界を右に左に逃げながら進んだ。ちょっと調子に乗って。けっして捕らえられることはなかった。だが、いつの間にやらそのトロ箱同士で出来た部屋に迷い込んでしまい、抜け出すことが出来なくなってしまった。
魚は自分の体の何倍も大きいトロ箱の壁に囲まれながら、逃げ道を探した。しかし、それは無かった。以降しばらくは状況かわらず。
続く膠着状態。
魚の脳で悩むのか?
悩まなければいけないのか?と、ここで急に左が明るくなりコースをフェードアウト。
あぁ、よかった・・・。
その後、フードコートまで歩いて。
券売機でチケットを買い、震える小機をもらってしばらく待った。
ようやく出てきて口にすることが出来たのは午前1時。
深夜のカレーうどんは格別だった。
冷房はかけない派
ようやく寝惚けまなこから立ち直ることが出来た。
カレーうどん完食後、サービスエリア周辺をウロウロ。カブトムシがいるかな?と思って常夜灯のまわりを探し回ったが見つけることが出来ず、やることも無くなり、車に戻ることにした。
!!!車に戻るとびっくり。こちらは普通乗用車。その隣には5トンくらいのトラックが乗用車の駐車スペース5台分くらいを利用して、真横を向くように駐車している。
どうやら、大型車両駐車スペースが埋まっていてはじき出された車がやむなくこちらに進出してきている様子。当然ながら中には人がいるようで、アイドリングしながら、車内ではおそらく冷房をかけて寝ているようだ。
こんなことが日常茶飯事なのか?
気にせず、こちらも睡眠を取ることにした。さほど暑さも感じなかったので冷房は使わず上着を一枚かけてアイマスクをし、シートに身を預けたのが午前2時過ぎ。
はやおき
午前6時50分、車内の暑さに目が覚めた。もう外ではセミが鳴いている?ようであるが、その音もガラガラと鳴り続ける隣のトラックのアイドリング音によってかき消されている。
取り敢えずは車を降りてトイレに行き、そのあとコンビニに立ち寄ろうかと思うもテナントのレストランが朝定食をやっているようだったのでそちらに立ち入り、「足柄はやおき定食」をいただく。
こちらの“はやおき定食”であるが、どうやら午前10時までオーダーが可能な様子。早起きした人も、別段そうでなかった人もその恩恵に浴することが出来るようなのだがとうてい私自身、
はやおき
したなんて自覚は無くて、
まだオッケーですか?
と尋ねたくなった。
太陽熱に蒸された車内でやっと目覚めさせられた。のであったから。むしろ寝坊したくらいに思っていた。
まだまだ寝ぼけた舌に定食の味噌汁が沁みる。
ETCで退場
車に戻ると時刻は午前8時。ドアを開けるとマイカーの車内はさらに暑くなっていた。
この場から逃げよう。
半夜世話になった駐車マスを外れ、通路上に引かれた矢印の線と案内板に従う。
案内板はみどりと紫があるうち紫に従うこととし、レーンに合流してくる車両に注意しながら進み続けた。
さてゲート越えであるが、本来午前1時前には通過となるはずのところおよそ7時間以上も遅れてしまっている。ゲートには監視カメラとスピーカーが付いていて、遠隔でやりとりができるところ、オペレーターにツッ込まれてしまうかとドキドキしたが(あちらもいろいろ忙しいであろう。不正通行の監視等で。)何事も無く通過。通行料金は深夜に入場したため割引が適用されていた。
一般道に出てからは東を目指した。昼の太陽光同然のそれから一刻も早く逃れるには一番近い山が良いはずだ。
JR御殿場線桑木踏切を渡り、直後の新金時橋も越える。山久荘前の丁字路を左折し、金時向平橋を渡るとあまり見通しの良くない山道に入り、それでも進んだ先に現れたのがギャツビイゴルフクラブ。
そのクラブハウス直前。従業員駐車場の裏に金時山登山道入り口となる未舗装道路があってそこをガラガラ音を立てながら進むと、
ありえないくらいの暗がりにゴール!
ここが一番涼しくて、太陽光を避けられるのだけれどそのままグイグイと突き進んで針公混公林、谷川に向かって斜めに伸びるコナラの大木前で車を停めた。
まだ寝ている。
車から降りると木々のすき間から金時川の砂防ダムが確認出来た。
入渓の準備を整え、さっそく谷の様子をうかがう。堤体前の谷は急斜面でなおかつ、岸際には浮石がゴロゴロしている。ここをすぐに降りてしまうのは危険と判断し、いったん下流側にそのまま向かうことにした。
針公混交林、だけれどほとんどスギという木々の下を谷川の法肩に沿うようにして歩く。するとほどなくして川面まで安全に降りられそうな斜面を発見することが出来、それを伝って下まで降りた。ようやくの入渓。
そして再び下流まで下がってきた分を取り戻すように遡行すると、堤体前に出た。
やっぱりまだ寝ている。
時刻は午前9時前。
先ほどまで足柄サービスエリアでマイカーを熱され、ここまで逃げてきたことが嘘のよう。
堤体は副堤の側壁護岸の一部にはカケラ程度に日が当たっているが、それ以外の本堤天端、水裏、副堤天端、水裏、そして落水すべてにまだ太陽の日が当たっていない。
起きるのを待とうか?
残暑の疲れに要注意!
堤体の放水路天端上の水に太陽の日が当たり始めたのは午前9時20分頃。
Vメガホンをセットし声を出し始める。
あるのは「違和感」の三文字。
放水路天端上の水が主役であってほしいのに、副堤の側壁護岸のほうが強くギラギラと光っている。視界内にある堤体において明らかに、
「光っていてほしいところ」
と
「影になっていてほしいところ」のバランスが悪い。
これでは楽しめないと光る側壁護岸が見えなくなるようにするための移動。立ち位置を変える。自分自身の目と側壁護岸の間に大石が一つ挟まるようにして対処した。すると側壁護岸の光をみごと死角に封じ込めることに成功。
これで解決!
以降は午前10時半頃まで休んだりまた声を出したりでちょっとダラダラしながら歌を楽しんだ。そして退渓後は林道沿いに生える樹木を同定し、全く暑くない車内に戻ってやはり冷房をつけること無く昼寝をしたあと山を降りたのが午後1時。
目ん玉バッチリで帰りの高速路を走り抜けた。