2月14日は修善寺へ。時刻は正午過ぎ。まずは食事処へ。
ここへ入るのは初めてだ。今まで幾度と無く店の前を通り過ぎてきたが、なぜだかここを左に折れることは無かった。大きな看板を構えたそば屋だが、戸田峠に通じるこの県道上、団体向けかなんかの雰囲気があって個人客である自分には向いてないんじゃないかと思い遠慮があったからだ。
それに、道はこのさき数百メートル行ったところにある「修善寺虹の郷」前までの区間、わりと急な登り坂である。急な登り坂を前に車のアクセルペダルをさあ踏もうかという時に、ふわっ。と現れるものだからいつも通り過ぎていた。
入ったことの経験が無かったとして今後別に困ることは無いが、過去のエピソードではこの周辺にある修善寺もみじ林や修善寺虹の郷のことについて、ちょっと偉そうにあれやこれやと講釈を垂れたような記憶が無くも無い。
せっかくの機会だからと今日は立ち寄ってみることにした。
テラス席へ
店はちょうどお昼時ということもあり混んでいた。それでも入り口に置かれた記名札には誰の名前も無いような上京ですぐに中に通された。
カウンター席はあるものの椅子が用意されていない。
推察であるが、感染症予防のために撤去したか、もともと用意が無かったのであろう。
「一人です。」と告げると、こちらにどうぞとテーブル席を案内された。
いやいや一人でテーブル席(しかも4人掛け)など申し訳ないと思い、代わりに外の屋根下のテラス席を提案してそちらに腰掛ける。
接待の方が持ってきてくれた湯呑みが温かい。気温は9.5度ほど。同地は修善寺温泉街よりもさらに標高の高い場所にあり寒い。まあ、寒いには寒いが逆に言えばそれが山らしくていい。山上のそば屋の屋外テラス席で、新鮮な空気ともども栄養分を補給できるなんてありがたい。
食事を済ませ代金を支払い、車をいったん別なところに置いて再度店の前へ。なにやら店のわきに更に上に通じる階段を見つけたからだ。
修善寺梅林
修善寺梅林が有名であることは以前から知っていた。しかし、ここのところ静岡県東部地区の観光客の入客増の要因になっている河津桜や、競合するさらに早咲きの土肥桜や熱海桜で頭の中は桜モードになってしまっていた。
桜と前後して開花する梅の花のことなどすっかりどこかに飛んでしまっていて、今日もどちらかといえば観光のホットスポットを避けて修善寺に来たつもりでいた。
そば屋からほど近い大型バス専用駐車場から団体の観光客が列になって歩いて来た。先頭を歩くバスガイド風の女性は何食わぬ顔をして店の横を通り過ぎて行き、観光客もそれに続く。
通行証はどうやら要らないようである・・・?!
観光客を追って階段を登った。
つぎつぎに
梅林には階段の始点(画像)から7分ほどの歩きで到着。登り専門になるのは最初のコンクリート階段の1~2分ほどで、あとは平坦な砂利道を歩く。
梅林に実際到着したときは一瞬気がつかなかった。ここからが梅林だという看板が到着を教えてくれたが、その看板の近辺には梅の花が咲いていなかったからだ。で、よく見ると奥の方に白やピンクの色彩が確認できる。
梅林全体満開とはいかない状況・・・。
花が咲いている木がちらほらとあり、それより大多数は音沙汰ない。それでも咲いている木を見つけては近寄って鑑賞する。桜のような鋭さをともなった開花ではないが、こちらは丸くふんわりとしていて温かみがある。
白やピンクやその中間色の花を楽しむ。梅林内に無数に植えられた木はこのあと時間を追ってつぎつぎに開花をするであろうから楽しみだ。
橋へ
梅林散策を終えていったん修禅寺に立ち寄ったのち(散策で手がキンキンに冷えてしまい、立ち寄った。修禅寺の手水は温泉で温かいのだ!)堤体に向かう。
堤体は修善寺川第一堰堤。冒頭立ち寄ったそば屋前から戸田峠方向へ6キロ行くと左手に「広域基幹林道達磨山線」の看板があるのでそちらに折れる。折れたところから1キロほど進めば「三ツ石橋」の登場だ。
朱く塗られたガードレールの欄干がついた橋で、橋の中央から西の方向を向くと修善寺川第一堰堤はある。
橋を架けた者が意図したこと、橋を朱く塗った者が意図したことはわからないが、橋と堤体両者は互いに遠すぎず近すぎずの距離にあり、視覚的に一つのセットとして楽しめるように設計されているのではないかと個人的には思っている。
両者の銘板によれば修善寺川第一堰堤が昭和42年。三ツ石橋が昭和50年。あとに出来たほうの三ツ石橋が修善寺川第一堰堤ににじり寄っていて、その橋台コンクリートは堰堤下流の側壁護岸として浸食防止の機能を兼ねている。
機能的なWin-Winが得られるこういった堰堤と橋のセットというのは日本全国各地に見られると思うが、ここ静岡修善寺の三ツ石橋は谷の方角や山の斜度、そして先人たちの植えていった針葉樹、広葉樹のおかげもあり非常にハイバランスで良い景観をもたらしている。
架けてみたら・・・、なのか?
架ける前から!
なのかは不明だが、橋の欄干を朱く塗ってくれた方には僭越ながら賛辞と感謝を贈りたい。
こんな素敵なところを作ってくれてありがとう。
レインコート
雨が降っている。
車の中で待機した。
しばらく待っていると雨が雪に変わってきた。
ラッキー!
濡れるのと、積もるのでは気分が違う。雪の方がやりやすい。それに季節限定で特別な感じがする。
レインコートを上下に着込み、インナーには電子メトロノームをセットした。これは最近ハマっているゲームのやり方で、チクタクいうメトロノームの音を聞きながらアカペラで歌う楽しみ方だ。
車の中から抜け出し歌ってみる。
音は渓畔林というよりはさらにその外側にある針葉樹の林に当たって帰ってくる感じで響く。口先50センチで失速するか、スギ・ヒノキまで届いて帰ってくる感じ。その距離まで音が届くようにメガホンを使用していることは効果的であると思った。
コンディション的には無風で悪い状態にあるが、強制的に音を送り込んでやることである程度は響きが得られたと思う。
北又川の降水(雪)による増水はあまり気にはならなかった。橋の上から挑むことでノイズ発生源からの距離が長く確保されるからだ。
この日は空が暗くなってきたところでゲームセット。再度キンキンになった手をカーエアコンで温めながら帰路に就いた。