11月23日、午前8時。奇跡の店ことセブンイレブン天城湯ヶ島店でカップラーメンを購入する。
そのまま湯を入れず店を出て、車に乗り込む。国道414号線をあまご茶屋まで戻って左折。本日も猫越川沿いを走り抜ける。
途中にあるのは天城湯ヶ島温泉。
今年の夏、ホタルの舞う姿を鑑賞した「出合い橋」付近の今日はどうなっているのか?今週の天気のことが気になる。
目立って荒れたのは20日金曜日の風。そして前日22日にはあまり強くはないが雨が降った。
今はアレの季節だから・・・。
紅葉狩り
紅葉狩り。
古くは平安時代の貴族がはじめたのがのが起源という。当時の身なりで気温20度にも満たない寒空の下をたかだか木の葉のためによくも山行したなと、早くもアンダーウェア装着で完全装備の現代人は思っているが、その先人たちの苦労は脈々と受け継がれ、現代には「お金に変わる文化」となって、様々な分野で有効利用されている。
天城湯ヶ島温泉もまた。紅葉狩りの季節。であるから、そこに終止符を打つ荒天は不快でならない。
せっかく色づいた落葉樹の葉を吹き飛ばしたり、雨で叩いて枝から落としてしまう。
赤や黄色に色づいた紅葉の葉たちはまだ残っているのかと、今さら急いでもしょうが無いのだけれど急いだ。
出合い橋に寄ることもなく、あせび野、旧湯川屋、白雲楼といった銘館前を通過。前回左折した水抜橋を渡ったあとの丁字路。本日は県道59号線に沿う形で右折し、持越川を並行するように走った。やがて眼前に現れる「中外鉱業持越工場」を目指して。
午前8時半、工場の看板をようやく見ることが出来た。さらに進んで渡るのが持越川に架かる八千代橋。今回はこの八千代橋を起点として、その先約1キロ、宇久須沢林道の入り口Y字路までの区間を紅葉狩りスポットとして楽しむ予定。
工場付近はほとんど私有地で駐車できず。さらにソロリソロリと進んで「小沢橋」手前、道幅が広くなったところに車を駐車した。
針公混交ならでは
午前9時前、車を降りて辺りを散策する。
周辺には2基の堰堤と小さな滝があったりする。
主役の葉はどうか?
満開ではない。しかし、
美しい。
とくに良いのが針公混交、つまり針葉樹と広葉樹が混ざったところ。
持越川の川水によって散布されたか?イロハモミジがそのまま川沿いの低いところに根を下ろしているのがわかる。そして時間軸的には恐らくそのあと、人の手によって植樹されたと見られるスギの木々がその周りを取り囲む。
割合的にはスギの方が多くて、しかもそれは川沿いの斜面に植えられているものだからもともとの根の位置が高い。
植えられたスギの木々たちは、高いところにある樹冠で空からの光を遮る。
よくスギの木々が間伐されていないと「林床が暗い。下草が育たない。」と言って非難する人がいるが、やっぱりここも完全に暗い、とまではいかないものの若干暗め。そんな暗さが広葉樹イロハモミジの“色”を猛烈に引き立てているのだ。
いま歩いている県道59号線からスギの樹冠の下を覗き込むように見ると、その暗がりの下でイロハモミジの黄色やオレンジがもの凄く光って見える。
手前側もそして対岸側もほぼ似たように。そして全体的に見ても山の傾斜自体がかなり急で、そのことも「暗がり作り」によく作用している。
惜しむらくはイロハモミジが若干落葉気味であったこと。やはりここ数日の荒天によって枝から振り落とされてしまったか?
河原にも路上にもじゅうたんになるほどの落ち葉が散らばっていた。
テルメいづみ園
午前11時、ここでいったん天城湯ヶ島温泉まで戻ることに。先ほど走ってきた道を引き返す。
「テルメいづみ園」に到着したのは午前11時15分。
入り口で入場料とタオルの購入代金を払い、さっそく入湯。本日はあまり熱くは無い。ここの湯も各地の温泉がそうであるように日によって温度が変化する。湯ヶ島温泉は雨が降った日だと湯が熱くなるなんて言ったりする人がいるので、もっと頻繁に通って真偽のほどを確かめてみたい。
露天風呂、内湯の順で満喫したのち湯から上がる。
脱衣場で再び衣服に着替えたあとは、休憩室。と行きたいところだったのだが、例のウイルスの影響を受けて休憩室は使用不可。
代わりに案内された中庭で休憩を取ることに。中庭にはかなりの太さのケヤキの木が一本そそり立っている。そしてそのケヤキの木の根元にガーデンテーブルとベンチがポツンと置かれていた。
昼食はそのガーデンテーブルで摂ることに。ちなみにここの温泉施設は飲食物の持ち込みが可能。朝、買ってきたカップラーメンにお湯を入れて3分待った後にいただいた。
ケヤキの大木の葉はもう全部散ってしまっていて、空からはじかに青の光が差し込む。暑くも寒くもない快適な温度環境の中で昼食を楽しむことが出来た。
綺麗なんだけどなぁ・・・。
じっくり休んで午後1時。いづみ園を出発。再び県道59号線を八千代橋方面に向かって走った。走った距離は7.2キロほど。県道59号線の宇久須沢林道入り口Y字路を越えた位いからあたりは本格的なスギの針葉林の様相を呈すが、駐車スペースもちょうどその針葉林の樹冠の下にある。
具体的には、幅1メートル程度の伏流沢を跨ぐ「松ノ木橋」という橋があるのでそれを渡ってすぐ。駐車スペースは堤体の落水の音が聞こえるほど近いところにある。
車を降りて、準備を整え、歩きはじめる。綺麗に間伐された針葉樹の森を横断すると、あっという間に持越川に出ることができた。
さて、歌の立ち位置決め。堤体まで40メートルほどの位置に決め、Vメガホンをセット。さっそく声を入れてみる。
はぁ?今日もか・・・。
今日もまた。
いや、恐らくは(森は)きちんと鳴ってくれている。
全体的に大きな石がゴロゴロしていて、その石のすき間から水がタルんでいるところが何カ所も見られる。
堤体本体からの落水は水褥池と化した堤体水裏にサラサラと落ちているだけなのだが、そこから手前側がうるさすぎる。
うるさすぎる空間で頑張って声を張っても無駄に疲れるばかりでなんとかならないかと思う。
あ~鳴らない、鳴らない。
景色は綺麗なんだけどなぁ・・・。
この日は持越川沿いの紅葉狩りをやっただけでほぼ終わってしまった。
まぁ、こうしてこの地に来ることが出来て美しいものをいろいろ見られたのは良かったと思っているのだが・・・。
音楽的には不十分だった反面、この土地の魅力を感じることができた一日となった。
また来よう。
次こそはと誓って渓を後にした。