セブンイレブン天城湯ヶ島店

セブンイレブン天城湯ヶ島店。手前は簀子橋。

セブンイレブン天城湯ヶ島店という店がある。伊豆半島中央を南北に縦断する国道414号線(下田街道)で伊豆市市山の信号を過ぎて旧天城湯ヶ島支所前を通過、ひなと丸(土産物店)、浅田わさび店、浅田自動車などを見ながら進むと、左手におなじみの「7」の数字があらわれる。言わずと知れた“天城越え最終コンビニエンスストア”である。天城越えとはこの国道414号線を河津町方面に向かって行くと標高643mの地点に「新天城トンネル」というトンネルがあり、そこを通過して河津町内へ抜けることを言う。その昔は実際に峠道(二本杉峠)があったということで、天城峠越えと呼んでいたようであるが、その後、天城トンネル時代を経て、現在の新天城トンネルを利用しての峠越えとなっている。

観光の看板も備える。

安心感

セブンイレブン天城湯ヶ島店は、その峠越え前の最後のコンビニエンスストアということになる。以降は峠越えしてから河津町佐ヶ野までその恩恵にあずかることは出来ない。恩恵などというと少し大げさかもしれないが、この店以降は徐々に民家の数が減っていき、新天城トンネル前の誰も住んでいないような地帯に侵入していくことになる。そのような環境が待ち構えていることが解っているならば、自然とハンドルを握る指先にも力が入ると思うし、その緊張感を解きほぐすようなツールがあれば・・・ということで、自然とこの店の駐車場に入ってしまうのである。夏場であればここでアイスクリームなどを買って食べればいいと思うし、これからの時期であればホットコーヒーなどが嬉しい。いずれの商品を買い求めるにしても、レジで決済が終わったあと手元にあるのは商品と少しの安心感である。都市部で日常的にコンビニエンスストアを利用しているという人も、この店では普段とは違う買い物が出来ると思う。きっと、いつも手にしているあの商品が、今日はなんだかズッシリとしていて心強いな・・・となるであろう。

こちらは最終スタンドの伊伝(株)湯ヶ島店

奇跡の店

12月5日午前10時。件のセブンイレブンの駐車場に入る。まずは、店舗に入り昼食を買う。店を出たらその駐車場のフェンスを隔てて北側に流れている長野川の様子をうかがう。水量はいつも通りたっぷり流れている。2日前に降った雨の影響もあるであろう。ここの店に寄った時はいつもこんな感じである。長野川に入る時はもちろん、本谷川本流、支流、そして河津町方面に行く時もまずはこの長野川の様子をチェックして、行き先の状態の参考にする。水系が同一で無くとも、ここで普段より水が出ているな。と感じれば、それから実際行った川もだいたいそのような結果となっているし、そのようにある程度予測が付くものだから、ここで予定を変更して違う川に向かったりすることも出来る。長野川は狩野川の支流河川であるが、それをこの地で観測することが伊豆半島全体の河川を観測することとほぼ変わらない結果につながることを考えると、しかもそれが一軒のコンビニエンスストアの駐車場で出来てしまうという、これは便利なことこの上ない。店にある商品が「安心感」を伴ったタダものではないこと、こうして伊豆半島全体の河川を予測するインフラが店のすぐ北側を流れていること・・・。これは奇跡の店である。

長野川。簀子橋より。

静岡なのに長野

本日は、店の駐車場から観測した長野川にそのまま入る。ただし入渓点はそれよりも上流側にあるためまずはそちらへ向かう。午前10時過ぎ、店を出てわずか100メートルほど先にある「湯ヶ島宿」の信号を左折する。そこから長野川に沿うようにして3キロほどの行程をドライブする。ここは静岡県なのにその地名を「長野」とする不思議な所だ。長野の「野」の字を充てるには本当に大大大適切な場所で、伊豆市南部はほとんど険峻な山岳地帯で構成されるが、この地は比較的緩やかな丘で、広く開墾されており、そこで稲作などをしている。ちなみにその稲作をしているあたり、集落の中は非常にのどかな田園風景を見せるが、長野川の最上流部はコテコテのワサビ生産地となっており、そのワサビ田を囲む山の斜面も相当にきつくなる。ただ、集落のあるあたりと比較して広く開墾していることは最上流部にも共通していて、空からは太陽の光が燦々と降りそそぎ、天城の山から育まれる冷水とともにワサビを育てている。そんな環境で育てたモノは絶対にうまいに違いないと思っているのだが、残念ながらこれを食したことは無い。機会があれば試してみたいと思っている。

長野橋
用水で出来た滝があったりする。(画像中央)

今年一年、出来るようになったこと

午前10時30分。長野第三砂防ダムのすぐ横にある駐車スペースに車を停める。本日向かう堤体は、この第三砂防ダム(副堤上は立ち入り禁止)では無く、もう一本上流側にある。準備を済ませた後、第三砂防ダム主堤上に溜まった土砂に向かって入渓し、そこから10分も遡ると目的の砂防ダムにたどり着くことが出来た。堤高は第三砂防ダムとほぼ同じくらいと思われ、それでは15メートルといったところであろうか?横幅(堤長)と水通し天端はこちらの方が長く、2階部分の景色が広く開かれていることがなんとなくわかる。砂防ダムとしては大型の部類に入る堤体だ。
今年はこのような大型の堤体での遊び方を知った年であった。水がドカンと落ちていて、自分の出す声がほとんど響いていないのだけれど、それを逆に楽しんでしまうということの面白さを覚えてしまった。以前は音楽というのは音を響かせてナンボ、そうで無くてはいけない。という概念の縛りつけのようなものがあったように思うが、自然界の中での音楽活動によって、それがものの見事に崩れ去る瞬間に立ち会うことが出来た。そしてそのことは同時に、何事もやる前から全て決めつけてはいけないのだという戒めのようなものを自分自身にもたらしてくれた。音楽のことに関して言えば、大堤体のドカンを前に「ただ響いていない。」ということでもあるので、これから改良すべきところは改良して伸ばしていきたい。砂防ダム音楽の楽しさ、その追求に終わりは無い。

長野第三砂防ダム。主堤上にあるのはライブカメラ。
用水の取り入れ口がある副堤上は立ち入り禁止。
シラカシの渓畔林の下に入る。
堤体全景。

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