ウイテマテ

午前中は、安全講習に参加した。

11月15日、日曜日。
午前中は、安全講習に参加した。講習のテーマは「水の防災」。
静岡県内の河川管理を担当する専門機関や消防署の担当者を講師として、水の事故に遭わないためにはどうすれば良いか?また、水の事故にもし遭遇してしまったらどうすれば良いか?といったことを学べる講座に参加した。

沼津河川国道事務所

まず、はじめは国土交通省中部地方整備局 沼津河川国道事務所の担当者のお話。同局は河川に詳しい方ならご存じの通り、国を管理者としている「一級河川」の地方担当事務所である。

これまでの私の経験からいえば同局(以下、沼津河川国道事務所)とは「狩野川」というワードで繋がってくる。
今、沼津河川国道事務所のホームページを見ながら書いているが、その「河川事業」のタブをクリックすると以下のような文言が出てくる。

〔狩野川は、伊豆半島中央部の静岡県伊豆市の天城山系に源を発し、大小の支川を合わせながら北流し、田方平野から駿河湾に注ぐ幹川流路延長46㎞、流域面積852㎞2の一級河川です。
昭和42年6月に一級河川として指定され、このうち本支川(狩野川24.9km、黄瀬川2.7km、柿田川1.2km、大場川2.6km、来光川1.5km、柿沢川0.9km)の直轄管理区間(計33.8km)及び狩野川放水路(3.0km)について、河川改修及び維持管理を行っています。〕

狩野川本流であれば伊豆市修善寺の修善寺橋より下流、黄瀬川であれば寿橋(国道1号線から見下ろせるかなりネンキの入ったコンクリート橋)より下流を管轄しているようだ。
どちらかといえば流れの速い上流部というより、流れが淀んでくる中・下流部を担当しているわけだから、彼らの仕事の主要は「とにかく早く海に流す。(水を)流しきれない分は堤防や水門で守る。」といったところであろうか?(←いや、わからないけどね。)

当日、お話をしてくださった担当者の鈴木さんからは狩野川の堤防、人口水路である「狩野川放水路」に関する説明のほか、気象庁と共同で「洪水予報」を発表したり、ハザードマップの改良などを行っているとの説明をいただいた。

また、洪水から命を守るには建設物・構造物によるハード対策と、情報発信や避難の呼びかけ、防災教育などのソフト対策の両立が欠かせず、それらを行うのが沼津河川国道事務所の仕事なのだとも仰っていた。ちなみに、

「うるせぇ。オレは溺れたりなんかしねぇよ。」

という方にも、そうで無い方にも、今の時代に対応して“ヤバい時”には緊急速報メールが、「洪水情報のプッシュ型配信」として手持ちのケータイ&スマートフォンに強制的に送られてくるらしい。

受信したらまず素直に、冷静に、避難行動を取れば良いと思う。

今回は実際に「防災教育」を受けた形だ。

スマートフォンのチューニング

次には、3つのグループに分かれて順番に講座を受けることに。。
私の参加したグループが入ったのは、ライフジャケットを使って実際に水面上に浮いてみるという内容のもの。

講師は海上保安庁第三管区 海上保安本部 清水海上保安部の担当者小林さん。
まずはライフジャケットの体験に先立って、スマートフォンの取り扱いについてお話をいただいた。

小林さんによれば現在、市販されているスマートフォンはそのほとんどが防水機能を備えたものであるが、レジャーなどで持ち出す際は、これを必ず防水ケースに入れて欲しいという。防水ケースも「防水」で無ければいけないと言い、「防滴」ではその役目がしっかりと果たせないという。

さらに、これも現在のスマートフォン事情が絡んでいて、防水ケースにそのまま入れているだけではスマートフォンが沈んでしまう(大型画面化によって重くなっているため。)ため、ポケットティッシュなど浮力体になるものを防水ケースに一緒に詰めるなどして、はじめて現場でスマートフォンが使用できるのだと教えてくれた。

なぜこれほどまでにスマートフォンを珍重するのかといえば、言わずもがな、救助を呼ぶためである。落水者が自分自身である場合、自分以外の者である場合、いずれにしてもパーティ内の人間の力で解決できなければ、然るべき機関に救助を要請しなければならない。

海上保安庁は118番。警察は110番。実際の事故の現場に遭遇するとパニックに陥ってこんな事すら判別がつかなくなってしまうらしいが、小林さんによれば通報先はどちらでもOKとの事。両者は事故の情報を連携して取り扱っているからだという。

防水ケースは浮力体になるものを詰めて使う。

セウキ!

清水海上保安本部の講座のあとは、駿東伊豆消防本部沼津南消防署静浦分署(以下、第一方面)佐藤さんによる講座、NPO法人グロウワイズ森田恵美子さんによる講座へと続いた。

第一方面の佐藤さん、森田さんの講座に共通していたのは助ける側の人間が、「大きな声で指示を出す」ということ。

救助の必要な人に対して大きな声で指示を出すのはもちろんのこと、救助に「協力してくれる人」を請うために大声を出すことも重要だという(佐藤さんより)。

そして、溺れてしまいそうな人に対しては「セウキ!(背浮き!)」と指示することで、仰向けになって浮いてくれるという(森田さんより)。

また、実際の救助に際してはモノを投げ入れるのが有効だということで、ペットボトルやランドセルを投げ入れる体験を行った。
ペットボトルに関しては、空のものよりも少し水を入れたもののほうが飛距離が出て、なおかつコントロールがしやすい。
ランドセルについては、空の状態より少し教科書が入っていた方が、ランドセル本体の浮き姿勢が安定するなどのメリットが出るという。

そして、いずれの場合もなるべく「水に飛び込まない。」。合言葉は「ウイテマテ(浮いて待て)」。

ペットボトルは少量の水が入っている方が有利。

無事故で終わりたい

午前中に安全講習を終え、午後には猫越川となったのだが、今回はいつも以上に渓に下りる時も、入渓してからも気を使って行動した。

自身は砂防ダムを主戦場としていて、それはやっぱり川で行われることで、川は水で出来ている。

講座で第一方面の佐藤さんが仰っていたこと、「助ける側の人間の安全をまず確保することが大事。」だそうだが、実際の現場で助けられる側の立場になってしまった時、それが洪水などの自然災害で運悪く被災してしまったのと、遊びのためにわざわざ危険とも言われるフィールドに出向いていった末路の結果だというのでは意味合いが全く違う。

自分自身が事故に遭うことで、助ける側にも危険がおよぶという事。これを特に理解して行動しなければいけない。
その踏み出す一歩は正解なのか?

そして、たかだかスマートフォン一つが、「一般使用」用では全く役に立たないということ。実際、事故に遭った時の状態をしっかりイメージしてチューニングされていないと役に立たないということも学んだ。

一つ一つの行動、モノで(変な言い方、)いくらでも危険な目に遭うことが出来るということを知った安全講習となった。

そういえば、2020年もあと2ヵ月。
今年中にやらなければならないことはまだまだあるわけで、それらに果敢にチャレンジしていきたい。
もちろん全て無事故で終わりたいと思っている。

ライフジャケットの講座にて
午後は猫越川に。
世古橋
世古橋から下(世古峡)を覗き込む。
水抜橋
水抜橋から下を覗き込む。
カーブミラー前
指定地看板の範囲は広い。
マダケの渓畔林を下りる。
堤体前に下りきったところ
猫越川一号堰堤
堤体全景。

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