書店に行くと誰でも目にすると思う。こんな雑誌を。
「究極のラーメンぴあ静岡版」というムック本らしい。中を開けば、この表紙にあるような画像の連続で、とにかくラーメンばかりを掲載している。
私はラーメンのことにはあまり詳しくは無い。なんとなく食べてみて、魚介だなとか鶏ガラだなとかいうことがわかるのだけれども、それ以上はただ「うまい!」としか言いようがない。全くもってグルメという方面の知識に疎いのだけれども、最近ラーメンでいい思いをしたことがあったのでその時のことを書いておこうと思う。
下校時刻より早く
1月16日。この日は中伊豆天城山北麓を行脚した。時間のほとんどを菅引川の探険に費やし、残りは大見川、地蔵堂川の様子見に使い一日を終えた。
空からの光があることで成立する砂防ダムの音楽は、日没を迎えてしまえば以降は楽しむことが出来ない。今の時期だとだいたい夕方5時前には外はかなり暗くなってしまうので、それより前に退渓して帰路をたどることになる。
この日も、最後の地蔵堂川の様子見を午後3時頃に終えた。5時までは残り2時間程度あったが、ギリギリまで粘ること無く早めに切り上げる。これが理想形である。こちらは石がゴロゴロした渓を歩くのが常であるため、万が一のアクシデントを想定しているからだ。途中で足をくじいたとして、その直後に闇が訪れるようでは危険すぎる。突然、その場から身動きがとれなくなったときに冷静に対処するには、まずは何より時間的余裕が確保されていることが条件であると思う。
今の時期は計画段階から、午後の2時とか3時を退渓の時間として設定するのが通例。夕方狙いで後に伸びることもあるが、そういう楽しみ方をするのは稀。
「一日を終えるはずの時間」はもはや、小学生の下校時刻より早いのだ。
きょうはノボリが
ということでの、一日を終える午後3時。地蔵堂川でまだまだ一心に働くワサビ農家さんたちを尻目に川沿いの坂を下りはじめ、万城の滝入り口看板のある滝川橋を渡る。以降、原保、戸倉野、宮上を経由し、八幡東(はつまひがし)の交差点を左折。県道12号線を西に向かって進む。
そういえば・・・。
そういえば、来る時にこの道を通ってラーメン屋のノボリが立っていたことを思い出した。じつは以前から、ここにラーメン屋があったことは知っていたのだが、私の通過したタイミングが悪かったのであろう。店は営業している様子が無く、いつもはスルーしていた。だが、きょうはノボリが立っている。
―おぉ、やる気があるでは無いか!―(本当に申し訳ない。誠に失礼ながらもそう思ってしまった・・・。)
店はどうやら午後5時から夜の営業を再開するようなので、それまでは近くのホームセンターに寄ってみたり、仮眠を取ったりしてオープンを待った。
時がきた。
午後5時すぎ、県道12号線を走りながら店の看板が点灯していることを確認。Uターンして店のあるアパートの駐車場に車を止める。
明らかに自分以外に客がいない。
駐車場が空であったのだ。だが、腹はもう決まっている。どんなにヤバそうな店だったとしても、今日はここでラーメンを1杯注文して食べてから帰る。
店の引き戸を開け中に入った。予想に反して店は超キレイ。外はもう真っ暗なので、余計に店内のカウンター、壁、天井の清潔さが引き立つ。入り口すぐには券売機がありそこで食券を買い、店主に手渡す。
しばし待った後、ラーメンが登場。薄緑色のどんぶりにキャベツ、チャーシュー、ホウレンソウ、海苔とともに麺が盛られている。
早速食すと、一口目からうまいということがわかった。食べ続けてもその印象は変わらず、どんどん箸が進む。この頃になると、ほかのお客さんが続々と来店して賑やかになってきた。最初じぶんしかいなかったのは夕方5時のオープン直後であったからのようである。店らしい雰囲気に完全になったところでこちらの気分も緩み、ぬるくなったどんぶりのスープを最後無くなるまで楽しんだ。
店を出て、また冬の空気に触れる。鼻から抜ける息もひんやり爽やかであった。伊豆半島内で一日遊んだ後に、まっすぐ家まで帰るのもいいが、こうして当地で作られた食べ物とともに一日を締めくくるのもなかなかいいなと思った。
この日、一日を終えたあとのうまい延長戦であった。