箱根峠

6月23日は、昨年も入った黒岩橋下流の床固工群に。

今回のエピソードも日没前のゲーム。

6月23日午後5時すぎ。ホームセンターの駐車場を出発し、箱根峠を目指した。利用する道路は国道1号線。日本の大動脈だ。

この国道1号線、とにかく交通量が多い。普通乗用車もそうだが、大型車両の通行が目立つ。夕方の時間帯はさほど多さは感じないが、深夜や早朝などは何台ものトラック、ダンプ、タンクローリーいった車両が鉄の軋む音を鳴らしながら走る姿を特に見かける。“巨体”はそれに似つかぬ猛スピードで我々市民の目の前を通過し、瞬く間に遠く彼方へ消えてゆく・・・。

こちらの在住は静岡県東部地区(沼津市。ほかに三島市、裾野市、御殿場市等)。これら大型車両は、同範囲内を出発地、目的地として走っているものももちろん含んでいるが、多くは都道府県を越えて移動している長距離輸送の車である。車のナンバーを見れば、北は北海道から南は沖縄まで実に多彩だ。

北海道も沖縄も離島でしょ。どうやって来たの?

このような日常の光景は、静岡神奈川両県県境に位置する静岡県東部地区ならではの出来事だと思う。そして国道1号線(とくに上石田インター以東)で見かける県外ナンバーの車両は「箱根峠越え」に多くが関わっている。

標高846メートルにある県境、箱根峠を越えてやって来た、あるいはそこを目指してこれから坂を登るという車両の面々。
市街地で制止しているトラックのドライバーは何を思うか?赤信号が切り替わるのを待つその姿を見ていても、ほとんどそこまで想像する事は無いが、これから先にあるのは峠道。

緊張か?それとも楽観か?

大型は運転した事が無いのでわからない・・・。

こちらは普通乗用車で今から。僅かに感じる緊張感とともに、坂を登り始めた。

三島塚原IC交差点

三ツ谷工業団地

この日は、神奈川県足柄下郡箱根町を流れる須雲川、黒岩橋下流の床固工群を目指しての箱根峠。伊豆縦貫道(東駿河湾環状道路)との交差地点である三島塚原ICを通過し、以降は登り主体の道が始まる。三島塚原IC通過直後には、道は大きく右にカーブしながら伊豆フルーツパーク前を通過。

塚原橋をわたり、一番亭前、富士食堂前、三島青果市場前などを通過すると、道の左端に登坂車線が現れる。スイスイと軽快に登って行ける車用に、今までの車線を譲るかたちでそちらに逸れる。このあたりは三ツ谷バイパスと呼ばれる区間である。

大型車両の通行も多い国道1号線なだけに、バイパスはなるべく歪(いびつ)なラインにならないよう、なるべく直線的に、カーブは大きな円を描くようにしながら上へと続く。

地元有力物流企業であるアオイトランスポートの前を通過すると、右手側には区画整理された真っ更な土地が見えてくる。このあたりは三ツ谷工業団地と言うそうで、最近では鹿児島資本の業務用食品の会社が営業所を作った。

三ツ谷工業団地も越え、馬坂口バス停を過ぎればやたらと長い直線区間が現れる。
―ここは変わったなぁ・・・。―

やさしく走ろう箱根路

大曲

変わったのはその長い直線区間の最後のほう。今までの道路はこの長い直線から大きく左方向に曲がるヘアピンカーブを介して急激な登り坂を迎えていた。どうやら直線区間でスピードを上げる車が多かったようで、ヘアピンカーブの存在を注意喚起する大きな看板や道路上の舗装が特に印象的であったが、今はそれらも消され、物々しかった雰囲気を無くしている。

左にカーブして登った先には「杉崎商店」という名の酒屋があって、その看板を見るたびにとある美人アナウンサーの顔を連想したものだったが、今ではそんなことも無くなってしまった。現在、杉崎商店方向に行くには元ヘアピンカーブがあったあたりに出来た「大曲」信号を左折して坂を登ることになる。

そして、箱根峠を目指す車は大曲信号をそのまま直進するよう変更に。信号を越えてからは山を削って作られた新区間を行くことになる。新区間の名称は笹原山中バイパス。総延長約4.3km。かなりの規模で山を削ったということは、周囲を見れば容易に分かることだが、この笹原山中バイパスはその事業着手年がなんと昭和63年であるという。

そして実際くるまが走るようになったのがめぐりめぐって今年の2月。
およそ30年以上もの時を経て供用開始に至ったまでの経緯は知る由も無い(用地買収?難工事?)が、そこに莫大な資金と人手が投入されたということは想像に難くない。

大型車両および一般車両が事故を起こすことを防ぐために作られたバイパスの新区間は想像以上に、ドデカい公共事業であったようだ。

新しく出来た大曲信号交差点。箱根峠へは直進するようになった。

インスペクション

山中城1号トンネルを抜け、笹原山中バイパスの区間も過ぎると、箱根峠までの登りはおよそ中間点越え。以降も右に左にぐねぐね曲がる道を進みながら峠を目指す。このあたりは今の時期であれば路面の(凍結の)心配はする必要が無いが、霧による視界不良が怖い。

最大に危険と感じるのは登りきった箱根峠を過ぎてからで、国道1号線が芦ノ湖方面と箱根新道に分岐する「箱根峠IC」のあたり。静岡→神奈川方面へのインターチェンジ越えは道がそれほど複雑では無いため難なく越せるのだが、反対車線の通行時、つまり神奈川→静岡方面への移動は濃霧時において格段の注意を払いたい。

現在でも一番リスクが高くなるであろうインターチェンジの合流は悲しいかな、ほとんど有効と思われる対策がなされていない。良くも悪くも信号機が無い。日本の大動脈上に信号機を付けて安易に経済活動を妨げてはならないということか?徐行運転をするなどして各自解決せよ。ということになっているようだ。

案内板を掲示するために立てられた鉄柱やガードレールの袖ビーム(ガードレールの端にクルッと付いている鉄板のこと)との衝突にも注意をする必要がある。

箱根峠ICを初めて通過する、もしくは初めてで無くとも久しぶりにここを通るというのであれば事前にインターネットというツールを利用してインスペクションしておくのも手では無いかと思った。

グーグルマップのストリートビューを利用すれば、道路の形状を把握しておくことが出来る。

ここは霧の名所。要注意。(画像は別日に撮影したもの。)

富士食堂

6月23日は午後6時40分に入渓。つかの間の歌を楽しみ、午後7時20分に退渓。

帰りは霧の発生にドキドキしながら、箱根峠ICに向かって走ったが、幸いにも、困難に直面することも無く無事通過してくることが出来た。そのまま箱根峠も越えて、笹原山中バイパス、三ツ谷バイパスと来た道を戻る。

とここで、前々から気になっていた「富士食堂」に立ち寄る。箱根に行った帰りと言えばたいてい「味の終着駅」こと次郎長に立ち寄るのだが、この日はそれより以前にある富士食堂で腹を満たすことにした。

店に入り、迷うことも無く注文したのはモツ煮定食。店にはこの店のママと、常連おぼしき夫婦がいて、その夫婦の姐さんとママがおしゃべりをしている。
やがて、料理が運ばれて来た。すると手の空いたママが話しかけてくる。

「お兄ちゃん、トラックの運転手?でも無さそうな体型だねぇ・・・。」

今日は箱根に行った帰りだと、また昼間はホームセンターで園芸の仕事をして、それが終わったあとの箱根だったと告げるとママ、姐さん共々大喜び。

「あぁ、そうなのぉ。こんど行ったら声かけるねぇ。」と。やっぱり女の人はどの人も花が好きだなぁ。
温かいモツ煮を食べながら、安心感に浸ることができた。峠を下りてきたという安心感に。

富士食堂
床固工群への道。樹木で回廊のようになっている。
コアカソ
コクサギ
フサザクラ
護岸によってコース状になっている。
堤体全景。

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